支持者も、「維新」の核心政策が僅差とはいえ否決された衝撃から一段落したのか、言い訳・・・じゃなくて分析を始めました。「維新」支持者の思考回路がよくわかる内容です。見ていきましょう。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150522-00043438-gendaibiz-pol&p=1
>> 政治家・橋下徹はいずれ復活する。維新よりも民主党が党分裂にふさわしい「政策は正しかったが、情勢が悪かった」「市民が構想を理解できなかった」――20世紀を通して完膚なきまでに叩き潰された典型的な前衛意識です。
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はっきり言うが、住民投票で負けたのは「主張が正しくなかった」からではない。正しい政策を受け入れるだけ、大阪市民の理解と決意が十分に熟していなかった。市民の揺れ動く気持ちを見極め損なって「5月17日に民意を問う」と決めた、橋下市長以下の「政治判断が間違っていた」のである。
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大阪都構想は市と府を廃止して、新しい都と特別区に編成し直す。その過程で市と府が握っていた権限の一部を特別区に移す、という大胆な統治機構の見直し案である。市にも府にも職員と議会議員、それに補助金その他で利権にぶらさがっている企業や団体がある。
そんな既得権益勢力は市民の目に見えにくい。都構想実現のような大改革を成し遂げるには、既得権益をあぶりだして議員や政党はもちろん関係業界、マスコミを含めて幅広い支持を集める必要がある。その先に初めて、肝心の主役である市民の支持が期待できる。
そういう広い意味の政治運営で、橋下氏がどうだったかといえば、きわめて強い発信力があった半面、慰安婦問題に関する発言などで無用な反発を招いていたのはたしかだ。そこは本人も認めているとおりだ。自分に対する反発を自覚するなら、もっと慎重、ていねいであっても良かった。
つまり政策は正しかった。だが、肝心の大阪市民が正しく理解して受け入れるほど機は熟していなかった。そこを見誤った。失敗の原因はここである。政治の世界に「イフ」はないが、もしも勝負の時をもう少し遅らせて市民の理解が進むのを待っていたら、成功したかもしれない。
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そもそも、政治とは「生活の道具」であり、前回の記事(http://rsmp.seesaa.net/article/419188843.html)でも指摘したように、間接民主主義は「社会的分業」の一種である以上、「投票で否決された=お客さまに選ばれなかった」のです。
むろん、だからと言って現在の生活ことだけを考えれば良いわけではありません。しかし、ここで忘れてはならないのが、「人間社会は諸個人の行為の合成である」こと、そして、「未来は、どんな天才であっても設計し、約束することはできない」ことです。
今までの歴史を振り返ってみれば、国家・社会のしくみは、生活者としての人民大衆が「究極の現実」である日々の生活行為の合成として自生的に形成してきた秩序であり、長い時間をかけて生活の場で動作確認されてきたものです。「国家百年の計」などと称して、一部のエリートが頭のなかで紡ぎ出したものではありませんし、頭のなかで設計することなどできません。むしろ、そういうエリートの企画物は、現実の生活に照らし合わせたとき、合理性を欠く場合が少なくありません。うまくいったエリートの企画物にしても、生活の実態に根差しており、その時代の人民大衆の支持を取り付けていたからこそ成功したのです。あくまで、理念世界の国家ではなく、現実の生活者としての人民大衆こそが「リトマス紙」なのです。
その点、人民大衆の支持が受けられていない段階での「政策は正しい」という主張には、根拠がありません。そして、その段階ですべきことは、「市民に説明する」ことではなく、市民に「吉田松陰マインド」を持たせることでも当然なく(「共産主義思想改造」と何処が違うんでしょうか? あまりにも馬鹿馬鹿しい内容で笑えないレベルでしたが、気になる方は検索してください)、「人民大衆に受け入れられる規模の政策にスケールダウンし、段階的に構想を実現してゆく」ことです。
人間知性の限界を踏まえたとき、人間の政治においては、小規模の構想を1つずつ「お客さま」としての人民大衆に提案し、その承認を得て漸進的に有効性を実証してゆく他にありません。その過程では、思いもよらぬ副作用を呈する場合もあるでしょう。しかし、小規模の改革であれば悪影響の及ぶ範囲は狭く、生活に及ぼすダメージも小さく済みます。改善のための措置も迅速に展開できます。このことは、「生活の道具としての政治」の本分に合致します。大規模急進的改革に対する小規模漸進的改革の絶対的優位性です。
維新の党支持者の姿勢は、私の目には、設計とプログラミングしかしていないシステムを、十分なテストフェーズを経ずに一気に完全に置き換えるようはものに見えます。まともなシステムは、小規模なテストを積み上げ、徐々にアプリケーション結合を大規模化してゆくものですし、移行本番で不測の事態が生じてシステムダウンした場合でも業務執行自体には影響が及ばないように、当該新システム以外の別経路(場合によっては旧システムの緊急稼働・新旧併用)を確保するものです。