>> <安保法案抗議集会>国会議事堂取り囲み「戦争法案反対!」毎日新聞は人数を報じていませんが、主催者発表の12万人だろうが、警察発表の3万人だろうが、少なくとも「普段よりは多い」と言うことはできるでしょう。「日本人は立ち上がった」というのも、あながち間違いではありません。しかし、私は「日本人は釣られた」と言うべきだと見ています。
毎日新聞 8月30日(日)15時52分配信
参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民らの大規模な抗議集会が30日、東京・永田町の国会議事堂周辺であった。学生や子連れの親、戦争を知る高齢者など、世代や立場を超え危機感を持つ人々が正午過ぎから国会を取り囲み、「戦争法案反対」を訴えた。
市民団体「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催する「国会10万人・全国100万人大行動」の一環。同団体の呼び掛けで29、30の両日、抗議の集会やデモが全国47都道府県の計300カ所以上で開かれた。同法案を巡る抗議集会としては過去最大規模とみられる。【樋岡徹也】 <<
安保法制については、私は当ブログでは一切触れてきませんでした。ヘイトスピーチまがいの安倍首相に対する罵倒など日に日にヤバい思考回路が明々白々になっており、ウォッチャー的には一言も二言も言いたくなる事態が展開されています。また、個人的な左翼経験談も交えて色々語りたい事態であります。国防が「国家・国民全体に関わる重要な問題」であり、喫緊の問題であるということも重々承知しております。しかし、福祉や労働といった「生身の人間の今日・明日の生活に関わる国内問題」についての主張の執筆を優先させたかったのです。
安保法制反対の主要な主張として「アメリカとともに海外で戦争をする国になる」や「徴兵制につながる」といったものがありますが、現実を見据えれば、少なくとも半年や一年では「戦争国家化」は間に合いません。戦争を遂行するためには「銃後の守り」が必要ですが、まったく戦時向けの社会体制ではありません。また、「後方かく乱」への備えにいたっては、もう惨憺たる状態です。
一方、福祉や労働といった「生身の人間の今日・明日の生活に関わる問題」は、待ったなしの問題です。安保法案反対の大規模デモも決して悪いわけではありませんが、福祉・労働問題といった重要な国内問題をまったくスルーしてしまって良いのだろうかと思うのであります。
安保法制の陰で着々と進んでいる派遣法改定は、連合動員の国会デモに780人が集まったそうです(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015082902000126.html)。12万人vs780人。あまりに温度差が激しいですね。
安保法制の陰で川内原発は早速、海水漏出トラブルを起こしているようです(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015082702000239.html)。再稼動ありきで急いだ結果、「機器が劣化している恐れも」。おいおい。
「外国の脅威」や「国防問題」が国内の社会矛盾から目を背けさせる道具として使われてきたのは、古今東西、枚挙に暇がありません。まんまと釣られてしまった構図に見えます。
安倍政権としては、今後、何か国民の視線を逸らしたい不都合な事態が起こった場合には、安保ネタを使っていけばよいのではないでしょうか。たとえば「徴兵制」。いまの時代、素人集団の召集兵など自衛隊の方がお断りですが、どうも本気で徴兵制がしかれると思っている人も少なくないようです。
「ちょっと匂わせる」、それだけでまた大規模な抗議活動が展開され、その裏で色々とコッソリ進めることができるでしょう。徴兵制なんて施行しないほうが国防のためですから、テキトウなタイミングで撤回すればよい。たぶん、白紙撤回を表明すればしばらくお祭り騒ぎでしょうから、ちょうどいいガス抜きにもなるでしょう。