2018年03月19日

ソ連が恋しくない者には心がない。ソ連に戻りたい者には脳がない。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180319-00000090-asahi-int
>> 「ソ連時代がよかった…」プーチン氏再選、冷めた空気も
3/19(月) 20:56配信
朝日新聞デジタル

 ロシアのプーチン大統領が18日の大統領選で再選を果たした。だが、ライバル不在の選挙に、国民の中には冷めた空気も漂う。経済格差や生活への不満は支持者の中にも根強く、政権の課題は山積している。


(中略)

 プーチン氏支持者からも不満の声を聞いた。会計士の女性は(61)は「ソ連時代が一番よかった。両親のように、年金生活者でも外国旅行ができる社会にしてほしい」と注文する。

最終更新:3/19(月) 21:05
<<
「ソ連が恋しくない者には心がない。ソ連に戻りたい者には脳がない。」――今回の選挙で完勝を果たしたプーチン氏が2000年に述べたとされる言葉です。

ロシアの一般庶民が置かれている厳しい現状を見れば、「ソ連時代が一番よかった」などと思わず口走ってしまうのも理解できないことはありませんが、まさにプーチン氏が言うように「ソ連に戻りたい者には脳がない」といったところでしょう。

両親のように、年金生活者でも外国旅行ができる社会」――たしかにソ連時代は、一般庶民であっても年1回以下の頻度での海外旅行は可能だったと聞きます。共産圏諸国への監視付き団体旅行に限られていたようですが。

「共産圏限定の監視付き団体旅行でもいい! 不自由でもできないよりはマシ!」という声もあるのかも知れませんが、そういう不自由を嫌がった人々がソビエト政権を引っ繰り返して「民主化」を果たしたのが歴史だったはず。人間は、ある程度の範囲で物質的に満たされてくると、次は精神的な自由を求めるものです。もし仮にここでプーチン氏が大転向を果たして、社会政策的な意味でソ連復活を実行したとしても、数十年後にまたも「民主化」が志向されるのは目に見えていることです。

そもそも、「ソ連時代が一番よかった」などと本気で思っている人は、全ロシア国民のうちどの程度いるのか。会計士の女性(61)がそう思っているのは事実でしょうが、それはメディアが取り上げるべき「代表値」なのでしょうか?

いろいろ疑問に思わざるを得ない記事です。
ラベル:メディア
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2018年03月13日

競争の切磋琢磨としての側面を正しく評価した日本共産党のオリンピック報道

ピョンチャンオリンピックが閉幕してから2週間以上たちました(たってしまいました)。スポーツというものは、単に肉体を鍛えるだけではなく、思想的な効用もあるものです。いわゆる「スポーツマンシップ」は、単なる競技場内での約束事ではなく、広く社会的にも実践されるべきものだと私は考えています(ちなみに私は、「スポーツマンシップ」は好きですが、いわゆる「スポ根」は大嫌いです)。

その角度からピョンチャンオリンピックや、それに関連する報道を振り返ったとき、私は日本共産党機関紙『しんぶん赤旗 日曜版』の報道に注目します。私は左翼ではあるものの日本共産党をまったく支持しない立場ですが、今回に限っては『しんぶん赤旗 日曜版』の論調に全面的に賛同するとともに、ちょっと日本共産党を見直しました

『しんぶん赤旗 日曜版』編集部は、ピョンチャンオリンピックで展開されたアスリートたちの競い合いながらお互いを高め合っている姿から、競争の切磋琢磨という側面を正しく評価しています。

2月25日づけ『しんぶん赤旗 日曜版』は、「競い合える友がいてこそ」という見出しと「高みを極める選手の競い合いが「雪と氷の祭典」平昌五輪を熱くしています。競技のレベルを飛躍させて高め合う競技者たちの共演と、欧米の列強にくさびを打ち込むアジアの躍動を紹介します。」というリード文に続き、日本の小平奈緒選手と韓国のイサンファ選手の一幕について次のように書いています。
 過去も高め合ってきた日韓の両エースは優勝候補として大会にのぞみ、小平選手は空気抵抗が高く、記録の出にくい低地リンクで世界初の36秒台をマーク。(中略)
 李選手は小平選手が転倒事故を続けて不振に陥った5年前、誰よりもなぐさめ、励ましました。
 (中略)
 レース後に2人で交わした言葉は、心からの思いでした。「今もあなたを尊敬している」と小平選手。李選手は「あなたを誇りに思う」と伝えました。
それに続く次段落では、フィギュアスケートの羽生結弦選手について、
4回転ジャンプの質と量が飛躍的に増大したこの4年の競技力向上について、「僕が引き上げたとは思っていない」と断言。「(競い合う仲間がいて)時代に恵まれた」とのべ、(中略)新たなジャンプの挑戦を競いながら、競技の魅力を高めた仲間たちへの感謝の念が込められていました。
とも書いています。

また、3月4日づけ『しんぶん赤旗 日曜版』では、「発揮したカーリング精神 対戦相手も"仲間" そこが魅力」という見出しの記事において、次のように書いています。
カーリングの素晴らしさとは何か――スキップの藤沢五月選手(26)は2年前、日曜版のインタビューに「相手チームは敵ではなく仲間。それがカーリング精神であり、大きな魅力」と答えています。
 どの大会でも試合相手に「ナイスショット」と声をかけ合うのが"カーリング流"です。
 (中略)
 敬意をもって、認め合い、切磋琢磨する――選手たちの真摯でさわやかな関係が、競技の発展を支えています。
運動会での「お手々つないで・・・」は、さすがに最近は廃れる方向性にありますが、依然として日本では「競争」を否定的に見るむきが根強くあります。たしかに順位至上主義に陥ったり、ルール違反を犯したり他人を蹴落としたりしてまでのし上がるといった競争の「マイナスの側面」には厳重に注意し、アノミー的状況にならないようにしなければならないところですが、競争には切磋琢磨という「プラスの側面」が間違いなく存在しています。「お手々つないで・・・」は、切磋琢磨までをも殺してしまうものです。

歴史的・世界的に見て、リベラル勢力や左翼勢力は、長く「競争」を位置づけるのに苦心してきました。チュチェ105(2016)年6月6日づけ「朝鮮労働党第7回党大会は経済改革・競争改革を漸進的に継続すると暗に宣言した画期的大会」やチュチェ106(2017)年12月24日づけ「フランシスコ法王の懸念に答える「集団主義・社会主義的競争」という新しい競争の在り方」でも触れたとおり、近年になって、ようやく朝鮮労働党が第7回党大会を目前に控えた70日戦闘において「社会主義的競争」を定式化しましたが、逆に言えばこれくらいしかイデオロギー的に特筆できる「競争の定式化」に乏しいのが、リベラル・左翼界隈でした(全世界のすべてのケースを見てきたわけではないし、あくまで社会主義的立場をとる人物・集団についての話であり、中国共産党のような転落者は除外しています)。

そんなご時世に出てきた『しんぶん赤旗 日曜版』のオリンピック報道。特に3月4日づけ記事の「敬意をもって、認め合い、切磋琢磨する――選手たちの真摯でさわやかな関係が、競技の発展を支えています」というくだりには、よい意味で衝撃をうけました。スポーツの世界で発揮されるような意味での競争、そしてその結果としての切磋琢磨的な意味での成長――こうした「競争のプラス面」を、日本左翼業界の老舗たる日本共産党の中央機関紙が正面から肯定的に評価したことは、私は大変よかったと思います(我が懐かしの党員諸君、今もあの頃から変わっていないのであれば、党中央の見解を学習せよ!)。また、朝鮮労働党が掲げている「社会主義的競争」とも一脈通じる発想である点、「反日共・チュチェ思想派」として日本共産党を少し見直しました

ところで、ここからは日本共産党からは離れますが、競争を経済政策として考えるとき、競争の最大の効用である「切磋琢磨」を生かし得る制度設計こそが求められるものであると言えるでしょう。その点、カーリング精神やスポーツマンシップから学べることは多いと考えられます。正々堂々とした競争でお互いを高め合い、その結果としてマクロ経済全体をも発展させる――三方よし的な発想です。

「社会主義的競争」を掲げて社会主義の枠内での切磋琢磨を展望する朝鮮労働党ですが、党委員長であるキムジョンウン同志は、スイス留学時代にバスケットボールに打ち込んでいらっしゃったと聞きます。このころのスポーツ経験が切磋琢磨の効用を感覚として学び取る契機となり、それが今日の「社会主義的競争」に至ったかどうかは分かりません。しかし、可能性としてはあり得ると思います。スポーツマンシップを単なる競技場内での約束事にとどめるのは勿体ないことです。

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2018年03月11日

各国のメンツが立つストーリーが出揃い、いよいよ朝米首脳会談へ

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20180310-00000867-fnn-int
>> トランプ大統領「決断」の裏に日本あり
3/10(土) 18:17配信
Fuji News Network

9日、電撃的に発表された米朝首脳会談。トランプ大統領がこの決断に至る過程で、日本政府が主導的役割を果たしてきたことがわかってきた。


(中略)

今回の米朝首脳会談に至る過程で、日本が蚊帳の外に置かれていると懸念する声も出ているが、首相官邸を取材している、フジテレビ政治部の千田淳一記者はこれを否定する。

政治部 官邸担当・千田記者は「今回の米朝会談へという流れは、実は、日本政府のシナリオ通りでもある。日本が主導して、アメリカと韓国を動かして、圧力を強めてきたという経緯がある。日本政府は、1カ月以上前から、北朝鮮が折れてくると読んでいて、平昌(ピョンチャン)オリンピック後に、トランプ大統領と安倍首相が、事前に直接会談するということは、すでに決まっていた。トランプ大統領の方から、安倍首相に『グッドニュースがある』と伝えてきたのをみると、2人がこうしたシナリオを共有していたとみることもできる。日本としては、今後もアメリカに積極的に働きかけて、拉致問題の進展にも結びつけることを狙っている」と話した。

実際、安倍首相は、これまで「圧力を最大限まで高め、北朝鮮の側から『政策を変えるから対話をしてほしい』と言ってくるような状況を作っていかなくてはならない」と話していて、まさにその通りになったとも言える。


(以下略) <<
なんとなく後出しの無理矢理な理屈である感は否めないものです。いわゆる「対北朝鮮制裁」が効いているかといえば、共和国国内で自力更生キャンペーンが張られている点において「まったく効果なし」ではないものの、それで共和国側が音を上げているわけではないので、これを「効いている」といってよいか私は疑問に思っているところです。

しかし、そういった事実認識は別にして、なかなか思い通りの展開にならず行き詰まり感のあった日本にとって、ようやく自己正当化し得るストーリーを設定できたことはよかったと思います。圧力一辺倒の余り、もはや「頑迷」なる域に達していた日本ですが、ようやく持っていく先に困っていた「振り上げた拳」を下ろすことができ、国家としてのメンツがある程度保たれた状態で対話局面に入り得るストーリーが得られたわけです。

ここまでの経緯を振り返ってみましょう。共和国は、昨年11月のミサイル実験の成功を受けて核武力完成を宣言し、今年1月の「新年の辞」で対話を呼びかけたところです。共和国側は既に「やりたいことはやりきった」というストーリーを持っており、その流れの上に次なる対話を位置づけているわけです。

他方、圧力に偏っていた日本を含む西側諸国としては、共和国の「やりたいことはやりきった」というストーリーの上に位置付けられる対話の呼びかけにそのまま乗っかるわけには行かないところです。これでは完全に共和国側のペース。この流れで対話に応じることは、それはすなわち自分たちが掲げてきた外交戦略の敗北を自ら認めるようなものです。メンツ丸つぶれ。外交交渉ではなく「降伏の調印」に出向くようなものです。

西側諸国の対共和国政策が、対話する以外に選択肢がないことは明白であるにも関わらず、長期間にわたって行き詰まり状態のままだったのは、結局のところ、自分たちのメンツをある程度保った状態で対話に入る目途が立たなかったことに起因するものと思われます。自らのストーリーを持っていた共和国が早々から自信満々に対話を呼びかけていたこととは対照的です。

前述のとおり、いわゆる「対北朝鮮制裁」は、共和国側があの手この手の対策を講じている点において、「白旗を上げるほどには効いていない」ものです。しかし、制裁がなければわざわざ講じるはずのない「あの手この手の対策」が実践されている点において、「まったく効いていないわけではない」ところです。私は、前者の事実を重視するので、「共和国側が代替策を講じることによって自国の目標を達成しているのであれば、制裁は効果を上げているとは言えない」と現状を認識する立場ですが、後者の事実に重点を置くならば、「北朝鮮の側から『政策を変えるから対話をしてほしい』と言ってくるような状況」と現状を認識する立場もアリかもしれません。日本政府は、後者の事実に重点を置いているのでしょう。

とにもかくにも、これでようやく共和国、米国、日本、韓「国」の各国それぞれが国家としてのメンツがある程度保たれた状態で対話局面に入り得るストーリーを得ることができました。共和国にあっては「経済制裁をものともせずに核武力を完成させたから西側諸国が対話に応じてきた」と言い張ることでき、西側諸国にあっては「核・ミサイル開発に対する経済制裁が効いてきたから北朝鮮が対話に応じてきた」と言い張ることできます。核・ミサイル開発と経済制裁がセット的であったがゆえに、「ニワトリが先か卵が先か」的な構図だったのが幸いでした。

中露、とくに中国に割と「蚊帳の外」感が漂っているのが気になる(朝米接近でヘソを曲げなきゃいいけど・・・)ところですが、関係各国においては対話を突っぱねる動機はこれで一旦はなくなったわけです。真っ赤な大嘘ならば話は別ですが、対話が実現するのであれば、この程度のコジツケなど取るに足らない問題です。ここらへんで手を打っておきましょう。

ようやく、朝米首脳会談という3代にわたる大事業が実現しようとしています。遺訓が貫徹されるときです・・・!
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2018年03月08日

キムジョンウン同志のターン

경애하는 최고령도자 김정은동지께서 남조선대통령의 특사대표단 성원들을 접견하시였다.
https://www.youtube.com/watch?v=g6xrD1l_Mcw
<<높이 날려라 우리의 당기>>(高くたなびけ我々の党旗)と<<사회주의 조국찬가>>(社会主義祖国賛歌)が会談シーンのBGMとして採用され、動画ラストのBGMは<<빛나는 조국>>(輝く祖国)。

徹頭徹尾、「キムジョンウン同志のターン」でした。少なくとも、朝鮮中央テレビのBGMの選択を見るに、共和国側は「自分たちのペースで物事を運んだ」という理解のようです。
posted by 管理者 at 22:49| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする