朝米首脳会談がアメリカ側の都合により中止になりました。首脳会談というものは、それまでの実務者級協議で詰めた内容を結論として確認し合う「儀式」的な要素が強いものなのだから、会談1か月前になっても、やれ「リビア方式の非核化で」だの「いやトランプ方式になる」だのと、
初歩的なレベルでのすり合わせさえも完了していない現時点では、まさにトランプ米大統領がいうように「現時点での会談は不適切」なのかもしれません。
ここ最近になってからは朝米双方から「延期ないしは中止」の見立てが出てきていたことを併せて考えると、それほど「驚くべきことはない」のかもしれません。
■このタイミングで合同軍事訓練なんてやらなければ良かっただけ――「対話のための圧力」が、対話を台無しにした
アメリカ側は、共和国側について「
約束違反」だの「
ここ数日応答がなかった」だのと言い立てています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00050079-yom-int「約束違反」会談中止の要因、北は1週間無反応
5/25(金) 11:57配信
読売新聞
【ワシントン=大木聖馬、黒見周平】トランプ米大統領は24日朝(日本時間同日夜)、ペンス副大統領やポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)らと協議し、米朝首脳会談中止を決断した。
ホワイトハウス高官が24日、記者団への説明で明らかにした。
同高官は、中止を決めた要因として、北朝鮮の「一連の約束違反」を指摘。〈1〉いったん容認した米韓合同軍事訓練に反対した〈2〉南北閣僚級会談を一方的に中止した〈3〉米朝間の事前協議に応じなかった〈4〉核実験場の廃棄で約束した外部専門家の受け入れを認めなかった――などの点を挙げた。
米側はこの1週間、北朝鮮に何度も連絡を試みたが、北朝鮮は反応しなかったという。
読売記事で挙げられている「4論拠」のうち、「いったん容認した米韓合同軍事訓練に反対した」ことと「南北閣僚級会談を一方的に中止した」は同一理由であり、
これは和平局面にあっても北侵演習を展開した米「韓」側に非があるというべきでしょう。外交交渉の背後には軍事力の担保があるといっても、朝米間の圧倒的な軍事力の差は、何も今ここで誇示しなくても明々白々のことです。このタイミングでの北侵演習は「牽制」のつもりだったのかもしれませんが、軽率に過ぎました。
とりわけ中国が共和国の後見人としての存在感を強めつつある中での北侵演習は、牽制球ではなく朝中の結束を固める方向に作用したようです。
「対話のための圧力」が対話を台無しにしたわけです。
「米朝間の事前協議に応じなかった」ということについては、
この期に及んで「リビア方式」を口走る高官が重要な役回りで参加する会談には、「体制維持」が至上命題である共和国側としては参加する意味がありません。詐欺師が同じ手口を持ち出しつつ「この間は騙したけど、今度は本当の儲け話だから!」といって信じる馬鹿がどこにいるというのでしょうか。
「核実験場の廃棄で約束した外部専門家の受け入れを認めなかった」についても、そもそも「核実験場の廃棄」という決断自体が和平志向を明確に示すものです。もともと、米「韓」両国の北侵への抑止力として共和国は核開発をしてきたわけです。元来、「米韓合同軍事訓練」と「北朝鮮核開発問題」はセットの関係です。にもかかわらず、
共和国は北侵演習が続く中で核抑止力向上の手段を自ら廃棄したのです。
構図としては共和国側が相当譲歩しているわけです。外部専門家を云々言うのであれば、
このタイミングで合同軍事訓練なんてやらなければ良かったのです。
キム・ゲグァン朝鮮外務省第一次官が言うように会談の中止は
非常に遺憾なことです。キム・ゲグァン氏が「
歴史的な朝米首脳の対面と会談それ自体が対話を通じた問題解決の第一歩」が述べているとおり、交渉というものは一回や二回程度で妥結するものではありませんが、
「とりあえず顔をつないでおく」ことが重要だからです。しかし他方で、
絶対に譲ることのできない「体制維持」に照らせば、繰り返しになりますが、まだまだ基本的な非核化プロセスでさえ両国間で共有できておらず、それどころか
「リビア方式」を持ち出したり、敢えて合同軍事訓練を直前に強行してくるような不誠実なアメリカ側の一連の言行を鑑みれば、現状では共和国側の立場で一貫している私でさえも「現時点での会談は不適切」と考えます。
共和国側の「約束違反」や「ここ数日応答がなかった」ことの原因は、アメリカ側にあるわけです。■軍事局面になるか、なったとしてどういう結末に至るか
アメリカは朝米会談を一方的に破棄しましたが、まだまだ軍事行動に出るつもりはなさそうです。
すくなくとも「斬首作戦」を決行できる段階にはなさそうです。
可能性は低いものの、
「限定的な軍事攻撃」はあり得るかも知れません。防空施設や軍事施設に対するピンポイント爆撃はあり得る話です。そしてそれはおそらく、デモンストレーション的な要素の強いものとなることでしょう。しかし、最近のシリアに対する散発的な軍事行動の例を見るに、
仮にアメリカが多少の軍事攻撃を共和国側に加えたとしても、「体制維持」という共和国にとっての至上命題への大勢には影響はないと思われます。毒ガスを撒いたという廉で巡航ミサイルを撃ち込まれ空爆を受けたシリアのアサド政権ですが、政権は尚も健在で、それどころか首都;ダマスカスを完全に奪還して勢いを増しています。
ロシアがシリアの後見人になっているように、いま再び中国は共和国にとっての後見人になっています。「限定的な軍事攻撃」以上のことは現時点では敢行しづらいはず。そして、
その程度であれば既に共和国も織り込み済みかもしれません。
■一連の対話局面では誰がどんな利益を得たのか
一連の対話局面では誰がどんな利益を得たと言えるでしょうか。
共和国は、もっとも得をしたと言い得ます。共和国は急転直下的な北南和解と朝米和解の局面を演出することによって
中国との関係性を再構築する機会を得ました。いままで冷たかった中国が共和国援助に乗り出しています。第1次朝中首脳会談以降、共和国では「急にガソリンの市場価格が下がり始めた」との情報さえ入ってきています。ロシアからの供給かもしれないし、大口の瀬取りが成功したのかもしれませんが、まあ普通に考えれば朝中関係の改善と見るべきでしょう。
米中が足並みを合わせるのは、ここ数年継続的に見られてきた展開でした。
朝中関係はここ数年、最悪レベルに冷え込んでいました。それがここ数か月の展開で一気に回復したのです。
中国を味方に引き戻したことは、共和国にとって大きな成果です。
共和国は、米「韓」関係にも楔を打ち込むことに成功し、また、
新たな「ストーリー」さえも構築できました。以下の記事は興味深い分析を提供しています。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10227_2.php金桂冠は正しい、トランプは金正恩の術中にはまった
2018年5月23日(水)17時23分
(中略)
そもそも金がなぜ米朝首脳会談を呼び掛けたのかについては、専門家の意見は分かれる。しかし金王朝は昔から、自らの存続を脅かす近隣諸国を互いに争わせることを最大の戦略にしてきた。特にアメリカと東アジアの同盟国の関係を弱めること、すなわち米韓、そしてチャンスがあれば日米に溝をつくることを目指してきた。
トランプは金正恩が絶対に受け入れない要求をすることで、この術中にはまった。首脳会談が中止か物別れに終われば、金正恩は、自分は誠実な呼び掛けをし、国際的な基準に沿った手法(段階的で同期的措置)を提案したのに、トランプがむちゃを要求したと主張するだろう。そして韓国とは別途、平和を探ろうとするだろう。それは韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとって、むげに断りにくい提案になるかもしれない。
(中略)
今回の騒動で、米朝関係の主導権を握るのは金正恩であることが、これまでになくはっきりした。それは金桂冠の談話にも一貫して読み取れるメッセージだ。北朝鮮は核保有国であり、いかに壮大なざれ言を並べてもそれを変えることは誰にもできないのだ、と。
朝米首脳会談に黄色信号が灯り始めた頃から韓「国」の「政府」は、朝米の仲介役を申し出ていました。日本が「国際社会の結束」などと称してアメポチの誓いを立てたのとは対照的です。
依然として韓「国」の「政府」はアメリカ側であるとはいえ、一定の「距離」を取っています。米「韓」関係には間違いなく楔が打ち込まれています。「
アメリカと東アジアの同盟国の関係を弱めること、すなわち米韓、そしてチャンスがあれば日米に溝をつくることを目指してきた」という
目標は果たされています。
また、「
首脳会談が中止か物別れに終われば、金正恩は、自分は誠実な呼び掛けをし、国際的な基準に沿った手法(段階的で同期的措置)を提案したのに、トランプがむちゃを要求したと主張するだろう」という指摘は、
共和国側が自己を正当化し得る新たな「ストーリー」を確保したことを指摘しています。
アメリカについて言えば、「少なくとも損はしていない」と言えます。そもそも極東の小国との関係が改善したところで得られる利益はさほど大きくなく、アメリカ・ファーストの観点に鑑みれば、現状が維持されたところで、それほどの損失にもなりません。アメリカにとって共和国は「生かさず殺さず」くらいが一番よいというのが正直なところでしょう。
その点、以下の記事はなかなか面白いところを突いていると思われます。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180525-00010002-newsweek-int&p=2米朝会談キャンセルで、得をしたのは中国を味方に付けた北朝鮮
5/25(金) 16:47配信
ニューズウィーク日本版
(中略)
ただ現在の状況が2017年と違うのは、米朝首脳会談にからんで、北朝鮮が中国との関係を改善できたという事実だ。金正恩にしてみれば、それだけで十分にこの米朝会談「騒動」を巻き起こした甲斐があったのかもしれない。そう考えると、今回のすべての騒動は、トランプの失態だったという見方もできるかもしれない。
またこんなシナリオも考えられる。今後の行方を曖昧なままにしてダラダラと時が過ぎる、というものだ。トランプは「この重要な会談について気が変わったら、遠慮なく電話または手紙をくれればいい」と、書簡に記しているが、今後会談が行われるのかどうか、両国関係はどうなるのか、はっきりしない状況が続き、外交的な交渉は停滞し、時間だけが過ぎていく可能性が高い。
筆者はこのシナリオが最もあり得ると考えている。実はそれこそが、多くの利害関係者にとって最も落ち着ける状況なのかもしれない。心の準備ができていないまま米朝会談の騒動に巻き込まれ、置き去りにされていた日本政府も、内心ホッとしているはずだ。
(以下略)
一番困惑しているのは、韓「国」でしょう。そして、そもそも蚊帳の外だった日本は良くも悪くも影響なしといったところでしょう。
■対話局面に戻るか、その条件はどこにあるか
ポンペオ米国務長官が興味深い発言をしています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00000003-reut-kr北朝鮮、首脳会談巡る問い合わせにここ数日応答せず=米国務長官
5/25(金) 0:48配信
ロイター
[ワシントン 24日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は24日、米朝首脳会談の準備に関する米国側からの問い合わせに対し、北朝鮮がここ数日は応答していなかったことを明らかにした。
(中略)
また、北朝鮮のこのところの言動について遺憾を表明。ただ米朝首脳会談の中止は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「弱いリーダー」であることを示唆するものではないとの認識を示した。
「
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「弱いリーダー」であることを示唆するものではない」というのは、
会談をご破算にしつつも、キム国務委員長に一定の配慮を示しているとさえ読めるものであり、将来的な会談の芽を明示的に残しているとも言えます。
トランプ大統領自身の書簡も、トランプ氏らしからぬ内容であり話題になっています。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180525-00000013-sasahi-int&p=1米朝首脳会談中止 トランプ節を封印し、金正恩へ投げた“癖玉”とは?〈AERA〉
5/25(金) 11:01配信
AERA dot.
(中略)
6月12日にシンガポールで開催予定だった米朝首脳会談の中止が明らかになったのは、ワシントンのある米国東部時間で5月24日午前9時46分(日本時間同午後10時46分)。ホワイトハウスが全文公開した、トランプ大統領から金委員長に宛てた1枚の書簡だった。
「最近のあなたの声明で示された激しい怒りやむき出しの敵意」を理由に、首脳会談の開催は「現時点で適切ではない」と断じる内容。首脳会談に向けてここ数日繰り広げられていた、双方の姿勢を批判し合う米朝間の言葉の応酬を受けたものだ。
ただ、相手の感情を逆なでするようないつものトランプ節は封印され、極めて丁寧な言葉遣いで、慎重に言葉を選んだ跡がうかがえる。米CNNのキャスターが「嫌なことを言われたからという子供のけんかのようなことを理由にしているのに、書簡では全くトランプ大統領らしくない言葉遣いになっている。隠されたメッセージがあるのではないか」といぶかったほどだ。
書簡でトランプ大統領は、北朝鮮が拘束していた米国人3人を金委員長が5月9日に解放したことにわざわざ触れ、「素晴らしい意思表示でとても感謝している」とも書いた。書簡の締めくくりはこうだ。
「この最も重要な首脳会談に向けて、もし、あなたが考え方を改めるなら、遠慮なく電話や手紙をください。世界、とりわけ北朝鮮は、恒久平和や偉大な繁栄、裕福さを得る素晴らしい機会を失った。失われた機会は歴史上、非常に悲しい時である」
5月8日にイランとの核合意を一方的に離脱した際の国民向け演説で、イランを徹底的にののしったトランプ大統領とは別人のようだった。
(以下略)
ここ最近の情勢を振り返った時、朝中両国の急接近と、それと軌を一にする
キム・ジョンウン委員長の強硬化についてアメリカ側は「習近平の入れ知恵」などと無遠慮などと言い立ててきましたが、@このことと、A今回の会談中止、そしてB「
米朝首脳会談の中止は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「弱いリーダー」であることを示唆するものではないとの認識」の3つを連続的文脈に位置付けて考察すれば、
今回のアメリカ側による一方的な会談中止は、共和国がどうこうというよりも、その背後に控える中国の影を意識したものとも言い得るでしょう。つい1か月ほど前まで朝米会談に前向きで、「前のめり」とさえ言い得るくらいだった
トランプ政権の急転回が、朝中両国の急接近と時期的に連動しているのです。このことはすなわち、
今回のご破算は、「朝米関係の問題」というよりも「朝中チームとアメリカとの関係の問題」に話が発展している証左かもしれません。
「対話のための圧力」が思いのほか朝中間の結束を強化する結果となり、思い描いていたゴールに至れないと判断したアメリカ側は、急に「習近平の入れ知恵」などと恨み言を言い始め、「一連の約束違反」を理由にとりあえず6月12日の会談については中止したが、朝中関係が悪化し、自国にとって有利な展開になった場合に備えてキム国務委員長に一定の配慮をしておいたのかも知れないというわけです。事実としてアメリカ側は、60年以上も戦争状態にある国同士が画期的な会談を行おうとしているときに「
この1週間、北朝鮮に何度も連絡を試みたが、北朝鮮は反応しなかった」といった程度のことで会談自体をご破算にしてしまったわけです。さすがに、このことを単に「トランプは本当に堪え性がない奴だ」として片づけるわけには行かず、国際関係と関連付けて考察すべきでしょう。
その意味で今後、朝米間が再び対話局面に戻るか否かは、朝米関係を見るだけでは判断できないと言えます。朝米関係、米中関係、朝中関係を総合的に判断する必要があるでしょう。おそらく再び米中が接近するとすれば、共和国は北南関係や朝露関係に活路を見出すことでしょうから、予測は困難です。
さすがに米中露が朝鮮半島情勢で足並みを一致させる確率は低いと考えられます。
今後も共和国は、各国の国際関係の間隙を縫う形で、したたかに生き延びることと思われます。
その点、日本言論界隈の認識レベルの低さは目を覆うばかりです。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180525-00000016-nnn-int米朝会談“中止”…最強カードを切ったワケ
5/25(金) 6:21配信
日テレNEWS24
アメリカのトランプ大統領は北朝鮮の金正恩委員長に書簡を送り、来月12日に予定されていた米朝首脳会談を中止すると伝えたと発表した。首脳会談が中止に至った背景に何があるのだろうか。ホワイトハウスから井上幸昌記者が伝える。
トランプ大統領は「中止」という最強のカードを切って、金委員長に安易な妥協はしないぞ、と最後通告を突きつけたと言える。
(中略)
今後、トランプ政権は、北朝鮮への最大限の圧力を続けるにとどまらず、追加の制裁、さらには武力行使もちらつかせながら、北朝鮮に「降伏」を迫るとみている。
両国とも首脳会談を行いたい意思は変わっていないとみられるが、北朝鮮が対決姿勢を強めた場合は情勢が一気に緊迫する恐れもある。
ここ3週間あまりで急に強硬姿勢を示すようになった共和国の「転向劇」の背景に存在する朝中関係の劇的改善や前掲のポンペオ米国務長官発言を踏まえれば、
「金委員長に安易な妥協はしないぞ、と最後通告を突きつけた」とは言い難いし、まして
「北朝鮮に「降伏」を迫」れる立場にアメリカは位置していないと言わざるを得ません。
「日米間の制裁に北朝鮮が屈した」というストーリーに立脚する日本言論界隈では、こういう結論に至ってしまうのかもしれませんが、事実に反することです。
■結局のところ
結局のところ、「『対話のための圧力』が対話を台無しにした」のが一次的な意味での今回の朝米首脳会談の中止の真相です。
しかしその背後には、会談1か月前になっても初歩的なレベルでのすり合わせさえも完了しないくらいに両国の主張は平行線を辿っていたという事実があり、さらにその深層には、一連の対話局面で再構築された国家間の利害関係――とりわけ朝中関係の再構築――が横たわっているわけです。
そして少なくとも現時点では、関係各国にとって最も利益になる展開は、「このままダラダラと時が過ぎる」ことであるわけです。
ふたたび情勢が朝米会談に傾くとすれば、それは朝中関係の動向がカギを握っていると言えるでしょう。
仮にアメリカが軍事オプションを選択するとしても、それは「限定的な軍事攻撃」以上のものにはなり得ないが、シリアの例を見れば、その程度であれば体制維持の大勢には影響しないと考えられるところです。
■とまあ、ここまで書いてきて
とまあ、ここまで書いてきて、
まだ速報レベルですが、トランプ大統領が「6月12日の開催も、まだあり得る」などと口走り始めました。どっちだよ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=20180525013896月12日会談「あり得る」=北朝鮮と再調整模索−米大統領
【ワシントン時事】トランプ米大統領は25日、中止を24日に通告した米朝首脳会談に関し、当初予定されていた6月12日の開催も「まだあり得る」と述べ、北朝鮮側と接触を続けていることを明らかにした。ホワイトハウスで記者団に語った。大統領は「彼らは(会談を)とても望んでいるし、われわれも行いたい」とも表明。米政府は、会談の再調整を模索しているもようだ。
トランプ氏はこれに先立ちツイッターで、北朝鮮側が出した対話継続を求める談話について、「温かく、建設的な談話を受け取るのは非常に良いニュースだ」と評価した。ただ、今後の対応については「時がたてば分かる!」とするにとどめた。
北朝鮮の金桂冠第1外務次官は25日、米側からの会談中止の通告を受け、「われわれはいつでも、どんな方式であれ、向かい合って問題を解決していく用意がある」と語り、首脳会談は「切実に必要だ」と訴えていた。
これに対し、トランプ氏はツイートの中で「どこに向かうかすぐに分かるだろう。長く続く繁栄と平和に向かうことを希望する」と応じた。
トランプ氏は24日、首脳会談中止を発表した際、記者団に「予定されていた会談を実施することや後日開催することも可能だ」と述べ、会談の再設定に含みを持たせていた。
トランプ大統領は揺さぶっているつもりなのかもしれませんが、前掲の
キム・ゲグァン朝鮮外務省第一次官の「遺憾談話」、そして
前掲News Week誌の「
首脳会談が中止か物別れに終われば、金正恩は、自分は誠実な呼び掛けをし、国際的な基準に沿った手法(段階的で同期的措置)を提案したのに、トランプがむちゃを要求したと主張するだろう」分析を踏まえれば、
トランプ大統領が「北朝鮮側が出した対話継続を求める談話を評価した」というよりも、衝動的に交渉テーブルの椅子を蹴ってみたことを後悔しているという方が正確かもしれません。
仮に6月12日に首脳会談が開かれたとしても、「顔合わせ・顔つなげ」くらいにしかならないでしょうが、依然として情勢を見守る段階であると言うほかありません。