https://news.yahoo.co.jp/articles/b12c10e15a70a7299b79ac374f5e4e2b06e2bb1a吉村府知事うがい薬発言への批判に「僕にとってはそれほど想定外の事態は起こってません」
8/6(木) 16:53配信
スポニチアネックス
大阪府の吉村洋文知事が6日、日本テレビ系の情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」(月〜金曜後1・55)に府庁から中継で生出演。新型コロナウイルスの感染拡大防止にポビドンヨードを含むうがい薬が有効だとする4日の発言について釈明した。
研究途中で発表したことなどに対して吉村知事への批判が渦巻いている中、元NHKで外交ジャーナリストの手嶋龍一氏(71)は「今、袋叩きにあっているとおっしゃってますが、こう拝見してる限り、ほとんどめげてない感じを受けますけれども」と指摘。
吉村知事は苦笑いした後、「僕にとってはそれほど想定外の事態は起こってません」と返した。
全国のドラッグストアで品薄が続き、転売などで定価で約1000円の商品が6倍ほどの価格がつく騒動についても「一時的には品薄になるだろう。それを見越して数日前にはそれぞれの製薬会社に増強ラインをお願いしてますとやってます」と強調。
(以下略)
社会的影響力が大きい立場にあるにも関わらず、
あまりにも楽観的な見通しというべきでしょう。主要なメーカーは次のように言っています。
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202008050000975.htmlうがい薬の国内主要2社が増産態勢も供給間に合わず
[2020年8月5日20時50分]
(中略)
同社では「2月ごろから新型コロナウイルス対策で増産に入っている。さらに増産できるように検討している」としているが早期の安定供給は険しそうだ。明治うがい薬を発売する「明治」でも「2月からフル生産を続けています。さらに増産するのは厳しい」と説明する。うがい薬が安定して出回るには時間がかかりそうだ。
こんな状況下において「
それを見越して数日前にはそれぞれの製薬会社に増強ラインをお願いしてます」が予見的対応だというのならば、「
それくらいだったら安倍首相だってやっているでしょw」といったところです。
今回の勇み足は、さすがの維新信者も擁護できていません。それだけ拙速だったということです。それほどの大ポカだったのにも関わらず、吉村知事は
妙な自己弁護を展開して自ら傷口を広げる挙に出ました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b0ca6135a4a8bf4a128b04af7ce210fc82b1de86吉村府知事 うがい薬買い占め「いつ発表しても起こる」 研究は「つぶすんじゃなくて温かく見守って」
8/6(木) 16:50配信
スポニチアネックス
(中略)
新型コロナウイルスに対して「有効な薬も無い。ワクチンができる状況でもない。感染が広がって来るという状況の中で、ポビドンヨードによるうがい薬の“可能性”が一つ研究として見出されたのであれば、この段階で発表するべきだと判断しました」と強調。「可能性」については、「人にうつすことを防ぐ、感染拡大を防ぐことが出来るんじゃないか」とみており、「予防薬ではない」と念を押した。
会見以降、全国のドラッグストアで品薄が続き、転売などで定価で約1000円の商品が6倍ほどの価格がつく騒動については、「買い占めはいつの段階で発表しても起こると思います」と回答。会見の数日前には、ポビドンヨードによるうがい薬を取り扱う「大手の企業(製薬会社)には増産をするようお願いしてます」とも。
「僕は今、批判を受けている方が大きいですし、それも受けようとは思いますが、この可能性は追求していこうと思います。感染の拡大を防ぐ一つの“新たな武器”としての可能性はあると思ってますし。(武器は)今、何もないんです」とし、研究について「つぶすんじゃなくて温かく見守ってください」と呼び掛けた。
「
つぶすんじゃなくて温かく見守ってください」――誰か研究自体を潰そうとしている人がいるのでしょうか? 今回の騒動は、まだ確立されていない方法を勇み足で公表した結果、社会的な混乱が発生し、また、研究従事者にも迷惑が掛かったというのが実態です。吉村知事が余計なことをいわなければ、すくなくとも、発表するにしても慎重に発表すれば、こういうことにはならなかったわけです。
知事発言の社会的影響力は大です。「吉村知事のせい」なのです。
それを「
つぶすんじゃなくて温かく見守ってください」とは、いったい何を言っているのでしょうか。こうした発言は、世間常識的には、周りの人が吉村知事を弁護・擁護する文脈であれば許されるものですが、騒動を起こした吉村知事本人が言い逃れ的に言うべきことではありません。
騒動を起こした本人が口にすると、事の発端及び責任問題から話をそらそうとしているように聞こえるものです。
なお、「頭のいい人」の中には、自分が起こしたトラブルを収めるときに悪意なくこういう物言いをしてしまう人もいます。モノの見方が中途半端に評論家的だと自分が起こした事件の結果も評論家的に見てしまうので、反省の弁を述べるべき局面で悪意なく話をそらしてしまうわけです。しかしながら、吉村知事の場合は妙な自己弁護の文脈で言っていることなので、おそらく責任問題から話をそらそうとしているものと思われます。
保身のために話をすり替える――これが「吉村流」のトラブル解決スタイルなのでしょう。「
買い占めはいつの段階で発表しても起こると思います」――だから実際に買占めが起こっても自分の責任ではない、庶民が勝手にやったことだと言いたいのでしょうが、
残念ながらそれは通用しないでしょう。歴史を振り返れば、江戸時代の飢饉・大正時代の米騒動・昭和時代のオイルショックそして令和時代のコロナパニック、これらいずれにおいても
政治・行政には物資の私的な買い占め・売り惜しみに対して公的に措置を講ずることが強く求められました。たとえばつい最近の例では、マスクの品薄に対して転売禁止や増産といって要求が政府に課せられたではありませんか。
もちろん、「政府がそんなことを完璧にし得るのか」という疑問は私にもありますが、少なくとも、火に油を注ぐような余計なことをすべきではないでしょう。
思えば
4月に吉村知事がパチンコ店を吊るし上げたとき、いわゆる「自粛警察」が勢いづいて暴走することは容易に想像できたはずなのに何らの対応もせず、5月以降「自粛警察」の暴走っぷりが社会的に問題視されるに至っては「知らんぷり」を決め込みました。「不誠実であるか、または政治家・府知事としての社会的影響力の大きさに対する自覚が欠如しているかのどちらか」というほかない姿勢でしたが、
今回は、パチンコ店の時以上に自分自身の「役割」が大きいトラブルであるにも関わらず、同様に「知らんぷり」を決め込もうとしています。
「政治家」としての社会的影響力の大きさから逃れるために、急に「個人」になって「知らんぷり」をする――これもまた、「吉村流」のトラブル解決スタイルなのでしょう。「失敗したときの後始末」は、政治・行政担当者の力量が特に顕著にあらわれるものです。吉村知事は、余計なことを言わずに神妙な面持ちで粛々と通常職務に戻ればいいところ、妙な自己弁護を展開し始めてしまいました。今回の勇み足は、さすがの維新信者も擁護できていレベルなのだから、言い訳じみた余計なことを言わない方がよいのに。「情報ライブ ミヤネ屋」は維新応援番組といっても過言ではない番組ですが、それだけに口が滑ったのでしょうか。
吉村知事の「妙なプライドの高さ」については、「小物の中の小物」というべきラサール石井さんへの粘着質な対応(
4月29日づけ記事及び
4月30日づけ記事参照)を見るにすでに明らかになっているところですが、
今回もそれが如実に表れたようです。そして、
妙な自己弁護を一所懸命に展開し結果的に傷口を自ら広げてしまうことも見えてきたように思われます。これは一般に
「迷走」というべきもの(迷走の上での自爆)でしょう。
吉村知事は、自分自身に批判の矛先が向いたとき、意外と防御が弱いようです。
もちろん、人間なのだから「完璧」はあり得ません。失敗をすることだってあります。しかし、周りの人が弁護・擁護の文脈でいう分には許されることを騒動を起こした本人が言い逃れ的に言ってしまうあたり、世間常識からのズレを感じざるを得ません。また、社会的影響力が大きい立場にあるにも関わらず、「知らんぷり」を決め込んで逃げようとするようです。
ここに、吉村知事の「意外な弱点」が見えたのではないかと思われます。