報ステのCMが「悪質」な理由。「ジェンダー平等を掲げるのは時代遅れ」と描き、批判が集まっている■ポリコレ風潮を押しとどめ押し返す風潮が芽吹きだした兆候?
3/24(水) 11:14配信
ハフポスト日本版
テレビ朝日の報道番組『報道ステーション』のCMに、ネット上で批判の声が上がっている。
(中略)
「一番の問題は、ジェンダー平等が達成されているという間違った認識に立っていること」
ジェンダー問題に詳しいジャーナリストの治部れんげさんは、今回のCMについて、主に3つの問題点を指摘する。
「一番の問題は、ジェンダー平等が達成されているという間違った認識に立っていることです。番組CMとはいえ、報道機関のものなので、事実に基づかなければいけない。なぜ、『ジェンダー平等は達成されている』かのように描いたのかを問いたいです」
日本のジェンダーギャップ指数は世界153カ国中121位であり、政治や企業、地域社会などさまざまな分野における格差解消は喫緊の課題となっているのが現状だ。
また、CMの中に「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」と笑うセリフがあることについて治部さんは、「現状ある差別の解消に取り組む人を『笑う』のは、差別の上塗りです」と指摘する。
そして3つ目の問題点として指摘するのは、こういったセリフを「女性に言わせる」という構図だ。
「『ジェンダー平等は達成されている』という間違った認識にたったセリフを女性を起用して『言わせて』いる。『若い世代は、女性は、“差別なんてない”って言ってますよ』という構図にしているのは、本当に悪質だと思います」
湊彬子/Akiko Minato・ハフポスト日本版
最終更新:3/24(水) 17:42
女性自身
ジェンダー平等という当たり前のことをわざわざスローガン化する政治家たちへの皮肉が伝わらず、それどころか「ジェンダー平等が達成されているという間違った認識に立っている」と真逆の説教を食らうに至った、コミュニケーション不成立の見本のような出来事です。
もっとも、批判側がもう少し「こういう意図の可能性は・・・」というふうに考えれば、ここまで一方的な炎上にはならなかったでしょう。「こうだと『私が』思えばそれ以外にあり得ない」とばかりに猪突猛進してしまう近年のポリコレ的リベラリストの典型的反応です。
これに対して本件を報じる各記事のコメ欄が興味深い。ひとつひとつ取り上げはしませんが、総じて、「ブーメラン直撃」だとか「この風潮を煽って推進してきたのは自分たちだろう」、「自業自得」といった嫌味を込めつつも、報道ステーション側が伝えたかった真意を酌んでやっています。鼻で笑って突き放してもよいところ、「いや、たとえ相手が報ステだといえども、そんな理由で吊るし上げるのは変だ」とは、昨今のポリコレ文化大革命の風潮を本当に憂いているのでしょう。
以前にも述べたとおり、リアル文化大革命がそうだったように、ポリコレ文化大革命の嵐が止むための出発点は「こんなのは変だ」という素朴な違和感になるでしょう。通常、ブーメラン直撃は「笑える」ものですが、あのように報ステの肩を持つ言説が自然発生的に出てくる現状は、激しさを増すポリコレ風潮を押しとどめ押し返す風潮が芽吹きだした兆候と言えるのかも知れません。
■リベラリストどうしの不毛な責任論争
他方、報ステの「謝罪」が火に油を注いでいる模様。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e83e66fac5cacb420a59f6624a1c2c70658828f
報ステのCMが「女性蔑視的」と大炎上…謝罪するも火に油状態ここまで炎上してしまえば、もはや謝罪は不可避でした。早々に問題の焦点は「いかに謝罪文をしたためるか」になったわけですが、私は内心、「リベラリストのことだから、『謝罪』するにしても『誤解があった』とか言うんだろうな。プライド高いから、平謝りしておけばいいところ余計な一言を言っちゃうんだろうな」と勝手に(一種の偏見的に)想像していたところです。もちろん、そうなる証拠はどこにもないので内心に留めておきましたが、まったく予想どおりの展開にw 「偏見丸出しじゃないか!」と言われれば反論できない見立てどおりになってしまいましたw
3/24(水) 16:02配信
女性自身
(中略)
■CMを削除、謝罪するも火に油状態
番組は24日、TwitterとYouTubeにアップしたCMを削除。Twitterを更新し、「今回のWebCMは、幅広い世代の皆様に番組を身近に感じていただきたいという意図で制作しました」と謝罪文を掲載した。
ジェンダーの問題について、「世界的に見ても立ち遅れが指摘される中、議論を超えて実践していく時代にあるという考えをお伝えしようとした」「意図をきちんとお伝えすることができませんでした」と釈明。そして「不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、お詫びするとともに、このWebCMは取り下げさせていただきます」と締め括った。
だが謝罪文を発表したものの、“受け取り側が誤解して、不快になった”という説明に批判は収まらないようだ。
《お詫びかこれ? 批判されて言い訳してるみたいに見えるけど。 だって「ジェンダー問題も遅れている中議論を超えて実践していく時代だと伝えようとした」って具体的にどこの台詞のこと言ってるの? 見たい人は不快な思いしたのではなく、ただ貴方たちが女性蔑視と時代遅れなCMを作ったんですよ》
《「不快な思いをした方がいらした」って、結局他人のせいじゃないですか かつ、意図を正しく伝えられないのって報道機関としては致命的な欠陥だと思いますよ》
《悪気は無かったと言い訳をさんざん並べてご不快構文、取り下げて終わりにできると思ってんなら無敵だな。今まで何度となく繰り返されてきた火に油を注ぐ謝罪文まんまじゃん》
最終更新:3/24(水) 17:42
女性自身
「結局他人のせいじゃないですか」という批判はとくに手厳しいものですが、しかしながら、コミュニケーション不成立は通常は「両者の歩み寄りの不足」であり、どちらかが一方的に悪いものではありません。本件も、批判者流の解釈も理解可能ですが、報ステ側の意図も理解可能でした。「どっちが悪い」という問題ではないように私は考えています。「結局他人のせいじゃないですか」という批判は、私から見れば、双方に当てはまるように思われます。リベラリストどうしが非難合戦を始めると、こういった不毛な責任論争になるんでしょうね・・・
■なぜ内ゲバ的な炎上が起こってしまったのか?
ところで、報ステといえば、テレビ朝日系列の看板情報番組であり同局のリベラルな論調を決定づけるものです。その点、リベラリストにしてみれば「味方」であるはずなのに、本件がここまで内ゲバ的に大炎上していることからは、2つの推測ができるでしょう。
一つ目が、昨今のこの手のポリコレ文化大革命が、「わざと曲解して言いがかりをつけている」のではなく「本気でやっている」という可能性です。
ジェンダー問題をめぐる対立は、かつての労使階級闘争における対立に比肩する構図です。こうした構図においては、「味方」が少々まずい言動は全力で擁護されるのが常です。たとえば、クオモ・米ニューヨーク州知事は、「対トランプの新型コロナ対策戦線」の構図において英雄として持ち上げられましたが、トランプ氏が落選して「用済み」になった途端に、過去のセクハラ疑惑(コロナ以前である模様)とコロナ死者過小報告疑惑で破滅が迫っています。
昨今頻発している自民党政治家の「不適切発言」の炎上を見ていると、「わざと曲解して言いがかりをつけている」ように見えることが少なくありません。リベラリストと自民党政治家は水と油の関係なので、前者が後者を攻撃する動機は十分にあり、それゆえに攻撃の機会を虎視眈々と狙っている可能性は十分にあります。
しかし、リベラリストと報ステは思想的に同系列であり基本的に同志であるはず。保守・ネトウヨとの対決の手前、多少のことならば目をつぶるであろう場面で、いつもの調子での大炎上が展開されている眼前の事実は、日頃から「わざと曲解して言いがかりをつけている」のではなく、本気でそう思って本気で攻撃している可能性を示すものです。
いくら「基本的に味方」だといっても流石に擁護・弁護できないような決定的な失言は、味方からも非難されるのが常です。「こうだと『私が』思えばそれ以外にあり得ない」とばかりに猪突猛進してしまう近年のポリコレ的リベラリストのこと、「あの報ステまでもが!」と本気で思い込んでいる可能性は決して低くないでしょう。
もう一つは、少々陰謀論じみてしまいますが、報ステは、本件以前に何か決定的な誤りを犯してしまったために攻撃対象になってしまったという可能性です。
SNS上には色々な意見があり、炎上騒ぎは日常的に起こっていることです。攻撃している方がズレている「炎上」案件は幾らでもあります。しかし本件は、大衆紙やスポーツ紙等が面白おかしく報じるに留まるSNS上の炎上騒ぎではありません。毎日新聞や東京新聞などが「深刻な問題」として取り上げている事象です。
近年のポリコレ的リベラリストがいくら脊髄反射的であったとしても、毎日新聞や東京新聞までもがそうだとは考えにくいものです。SNS上の炎上は、報じられることでさらに炎上が拡大するのが常。毎日新聞や東京新聞は、そのことを十分に承知しているはずです。それでも報ステの肩ではなく炎上させているポリコレ勢の肩を持ったという事実に、「何かしらの事情」を感じ取らざるを得ません。
もっとも、私は昨今の陰謀論者のように具体的な「証拠」も上げずに、状況の「不自然さ、怪しさ」だけで陰謀の存在を確証的に主張したりはしません。そしてまた、そこまで報ステの論調をつぶさに確認しているわけではないので、具体的に何がまずかったのかまでは立証できません。そういう線があり得るのではないかという推測であります。