2023年10月31日

反帝自主闘争における朝鮮民主主義人民共和国と社会主義・共産主義運動の位置

https://news.yahoo.co.jp/articles/8124d3e50990fac9f7a52c4894e79cb045084361
金正恩氏の肖像画を持っている? 「パレスチナデモ」に意外な登場人物
10/25(水) 9:29配信
中央日報日本語版

パレスチナ西岸地区で20日に開かれた反米デモで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の肖像画が登場して注目を集めている。

デモ隊は同日、パレスチナのガザ地区で起きている軍事的衝突に反発し、イスラエルと米国などに反対するスローガンを叫んだ。この時、デモ隊の一部で米国と敵対的な関係にあるロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金委員長の写真を持って米国に対抗する姿を見せた。

(中略)
北朝鮮が「反米のアイコン」として活用されたのは今回が初めてではない。8月、ニジェールでもニジェール軍部クーデターの支持者たちがフランス大使館前でデモを行って人共旗(北朝鮮の国旗)を振った。
(以下略)
世界の反帝自主闘争において朝鮮民主主義人民共和国が占める位置を端的にあらわしている一幕であると言えるでしょう。共和国が建国以来一貫してアメリカ帝国との厳しい戦いの最前線に立ち続けてきた歴史的事実を、世界の反帝自主闘士たちはよく知っているのです。とくにパレスチナとの関係においては、共和国は一貫してパレスチナの大義を支持しており、イスラエルとは国交を持っていません。中東地域との関係においても、第四次中東戦争でアラブ側陣営に対して共和国が果たした役割は非常に大きなものがありました。

さて、共和国の反米闘争は朝鮮半島からアメリカ帝国主義の影響力を排除(祖国を解放)し、社会主義による統一国家を建設するところにその目的があります。パレスチナ人のイスラエル及びその背後に控えるアメリカに対する闘争は、パレスチナを解放するところにその目的がありますが、特段、社会主義を掲げているわけではありません。パレスチナ解放人民戦線やパレスチナ解放民主戦線といったマルクス・レーニン主義を掲げる組織もありますが、決して大きな勢力を誇っているとは言えません。共和国とパレスチナは、あくまでも「反帝自主」という共通の旗印で結ばれているに留まります

しかしながら、やはり反帝自主は社会主義・共産主義を志向する方向性をもってこそ、その目的を十分に達成することができるものと私は考えます。帝国主義とは資本主義の最高段階であると指摘したのはレーニンですが、資本主義は本質的に敵対的階級社会であります。キム・ジョンイル総書記は『社会主義は科学である』において、次のように指摘されています。
敵対的階級社会で人民大衆の自主性が実現されなかったのは、それがいずれも個人主義にもとづく社会であったからである。

個人主義は私的所有制度の産物である。私的所有とそれによって生まれる個人主義にもとづく社会は、必然的に社会を敵対する階級に分裂させ、階級的対立と社会的不平等を生みだし、人民大衆にたいする少数支配階級の搾取と抑圧を随伴するようになる。

歴史は、個人主義にもとづく社会では人民大衆の自主性が実現されえないことを示している。

人民大衆の自主性を実現するためには、個人主義にもとづく社会から集団主義にもとづく社会、社会主義・共産主義へ移行しなければならないというのが、人類社会発展の歴史的総括である。
これに対して、生産手段を協同的に所有する社会主義・共産主義は集団主義の物質的基礎を提供します。キム・ジョンイル総書記は、「集団主義は人間本然の要求」とした上で次のように指摘されています。
人間が社会的集団をなして生きていくためには、集団の自主的要求と個人の自主的要求を実現していかなければならない。

集団の自主的要求は、社会的集団の生存と発展のための社会構成員の共通の要求である。個人の自主的要求は社会的集団の平等な構成員としての要求であり、社会的集団への寄与により集団から当然、保障されるべき要求である。個人の自主的要求は、集団を無視し、すべてを個人の利益に服従させる個人主義的貪欲とは根本的に区別される。

集団の自主的要求と個人の自主的要求は、集団主義によってのみもっともりっぱに実現する。集団主義を離れた個人の要求は個人主義的貪欲にかわり、そうなれば集団の他の構成員の自主的要求を侵害し、集団の団結と協力を阻害するようになる。

集団主義のみが集団の団結と協力を強め、集団の全構成員の創造的熱意を高め、集団の自主的要求と個人の自主的要求を正しく結合し、ともに満足に実現していけるようにする。社会的集団をなして活動するのが人間の生存方式であり、人間の自主的要求が集団主義によってのみりっぱに実現するのであるから、集団主義にもとづく社会、社会主義・共産主義社会は、人間の自主的本性にかなったもっとも先進的な社会である。
私的所有とそれによって生まれる個人主義にもとづく社会は敵対的階級社会であり、階級的対立と社会的不平等、人民大衆にたいする少数支配階級の搾取と抑圧を生み出す。資本主義社会は個人主義にもとづくが、これが高度に発展すると帝国主義になる。他方、社会的・協同的所有の下、集団の自主的要求と個人の自主的要求とが調整された上で共に実現する社会は集団主義社会であり、集団主義にもとづく社会主義・共産主義社会によってのみ人間の自主的要求は実現するというわけです。

帝国主義と闘うということは本質的には資本主義と闘うということであり、個人主義にもとづく敵対的階級社会と闘うということであり、突き詰めると私的所有(私有財産制度)と闘うということなのです。

この点に関連して、朝鮮総聯機関紙『朝鮮新報』は、朝鮮大学校の林裕哲・外国語学部准教授の「非同盟運動の組織化へ」という指摘を含む講演記事を報じています。
https://chosonsinbo.com/jp/2023/09/5-22/
非同盟運動の組織化へ/HOWSで朝大教員が対談
2023年09月05日 10:50

(中略)
反帝国主義の視座
林准教授はまず、冷戦時代を考えるうえで重要なことは、共産主義・社会主義陣営と資本主義陣営による「東西対立」に加え、南半球に位置する旧植民地諸国などの発展途上国と、北半球に位置する西欧列強を中心とした資本主義先進国の間に横たわる「南北問題」の観点を持つことだと指摘。そのうえで、現在も続く帝国主義的な世界構造、新植民地主義を克服するためには、「東」と「南」が重なる部分を拡大していかなければならない、すなわち、非同盟運動の中でも民族解放闘争や新植民地主義との闘いにおいて原則を堅持してきた社会主義諸国の経験や教訓を踏まえ、社会主義的な変革方法を模索していかなければならないと語った。

林准教授は、昨今世界の多極化に関心が集まっているが、世界の秩序や構造を変革するには「第三世界の組織化」が求められると述べ、それこそが非同盟運動が担わなければならない役割だと強調。非同盟運動の課題は、@第三世界が主導する公正な経済秩序の構築、A米国と追従勢力による干渉主義的な軍事介入を頓挫させる真の平和の構築(国際法や国連憲章の擁護など)、B帝国主義秩序を克服するうえで前提となる植民地過去清算に取り組んでいくことだと語った。また、第三世界を組織化する過程で非同盟運動の牽引役、前衛となりうるのは、現在も社会主義を堅持している国々であると付け加えた。

対談ではほかにも、「新植民地主義からの脱却」を目指す旧フランス植民地国のブルキナファソ、マリ、ニジェールにおける反仏感情の高まり、国連憲章で絶対不可侵とされている国家主権を侵害する西欧介入主義の狡猾さ、それを背後で支える国際人権NGOの正体、西側諸国による偏った情報が氾濫する中で非同盟運動主導の新世界情報秩序を構築していく必要性、非同盟運動の会合で度々中心議題として挙げられてきたパレスチナ問題、ウクライナ事態に対する朝鮮とキューバの立場など、さまざまなトピックが議論された。

(以下略)
民族解放闘争と社会主義運動は1950年代から70年代くらいにかけて非常に密な連携を持ってきましたが、最大の援助国であったソビエト連邦が衰退・解体の道を歩むにつれて徐々に連携が解かれてしまっていました。同時に、旧宗主国の帝国主義諸国が表向きは植民地主義的な経済的支配・収奪を控えるポーズを取ったこともあり、これらの国々では「資本主義的な国際秩序でも国づくりして行けるのではないか」という淡い期待が漂い、結果的に民族解放闘争を戦い抜いて独立を勝ち取ったアフリカなどの旧植民地社会主義国が、1990年から91年にかけて雪崩を打つように社会主義への道を放棄したのです。1990年代以降、民族解放闘争と社会主義運動の関係性は乏しい時代が続いてきました。

しかし、資本は何をしたって資本であり、その本質が変わるわけがありません。警察力や軍事力による強制は金融による強制は変わっただけで、植民地主義本質的なところは何ら変わることはありませんでした。帝国主義者は、その経済的基盤が金融資本主義に移行したことを受けて植民地支配の方法を軍事的方法から金融的方法に変えただけでした。

記事でも触れられているブルキナファソやマリ、ニジェールでの最近の出来事は、帝国主義者の植民地主義本質がまったく変わっていないことを示す事態であると考えられます。むしろ、金融資本主義を基盤とする帝国主義であるがゆえに、資本のますます露骨な運動を反映してその支配の手口もますます強圧的になってきています。それゆえに以前よりも鮮明に諸悪の根源の所在が明らかになりつつあると言えるでしょう。近頃、資本主義の提灯持ちたちが盛んに"SDGs"なる御題目を唱えていますが、このことは、資本主義が金融資本主義という形で極端に純化された現状が、いよいよ無視できなくなりキャンペーンを張らざるを得ない深刻な事態を示すものであると考えます。

"SDGs"は結局のところ資本主義の枠内での小手先の対処療法に過ぎず、資本主義そのものを変革するものではありません。それはつまり、ブルジョアの「自浄作用」に期待する「博愛」主義的なキャンペーンに留まらざるを得ないものであり、いくらか状態の緩和にはなったとしても、これが根本的な解決に至るはずもありません。

敵を科学的に分析し、その上でオルタナティブ・プランを如何に磨き上げてゆくのかが重要な問題です。帝国主義と闘うということは本質的には資本主義と闘うということであり、個人主義にもとづく敵対的階級社会と闘うということであり、突き詰めると私的所有(私有財産制度)と闘うということ、集団の自主的要求と個人の自主的要求とが調整された上で共に実現する社会は集団主義社会であり、集団主義にもとづく社会主義・共産主義社会によってのみ人間の自主的要求は実現するということを基本にしつつ、必ずしも社会主義・共産主義の立場を取らない反帝自主勢力とも一点一致的な連携を契機に組織的に歩調を合わせ、彼らも受容できる社会主義志向の新社会を目指す必要があると考えます。
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2023年10月24日

追い詰められての数直線的思考、ますます泥沼に嵌り込む

https://news.yahoo.co.jp/articles/c9f7b75c9a39a75cfdc9db0848322b7feaae73b5
秋田県、クマ対策で弾丸購入費など支援へ 抗議電話に佐竹知事「業務妨害だ」
10/24(火) 6:00配信
河北新報

 佐竹敬久秋田県知事は23日の定例記者会見で、県内で相次ぐツキノワグマの出没や人身被害を受け、駆除を担う猟友会員らの弾丸の購入費用などを県が負担する考えを明らかにした。駆除への慰労金と合わせた関連費用約1500万円を本年度予算に計上する方針。

 本年度の人身被害は同日時点で46件53人に上り、過去最悪を更新している。捕獲頭数は1030頭(9日時点)となり、県計画が定める本年度の捕獲上限1582頭に近づいている。

 佐竹知事は捕獲の在り方について、人命優先だとして「緊急避難的には撃てる状況なら撃つのが一番で、捕獲頭数は後の問題。猟友会が駆除できる状況をつくっていく」と強調。11月〜来年2月の狩猟期間を見据え、弾丸などの経費を負担し駆除を後方支援する。

(中略)
 駆除に抗議する電話が県庁に届いていることについては「参考になるメールなどは若干考慮するが電話は一番乱暴」と持論を展開。氏名を名乗らない一方的な通話が大半だとして「付き合うと仕事ができない。業務妨害だ」と述べ、応対は不必要との認識を示した。
もとはと言えば、山と人里の中間にあった田畑が放棄されたことや山の環境変動といった事情が、クマが生息地域を拡大させ、棲み分けを破って人里に出没するようになった大きな要因だったはず。しかし、環境を復元して棲み分けを正常化するという正道ではなく、人里に下りて来たクマを射殺・駆除するという当座しのぎの対処療法で誤魔化してきたわけです。そのツケを、今般の尋常ならざる人身被害の続出という形で払わされているというのが実態でありましょう。

動物愛護系人士がクマ駆除の報に接するたびに抗議の架電をするというのは今に始まったことではありません。私の周りには動物愛護活動家も秋田県職員もいないので、実際にどういう電話が掛けられているのかは存じ上げませんが、動物愛護系人士の平生の主張から推察するに「殺すのではなく棲み分ける方向に持っていくべきだ」という意見もあるのではないでしょうか。

佐竹敬久秋田県知事は引き続き当座しのぎの対処療法を続ける姿勢を鮮明にしています。既に根本原因は明白であるにもかかわらず。「業務妨害」などと感情丸出しにしているあたり、駆除に駆除を重ねるつもりなのかも知れません。もちろん、ここまで事態が深刻化してくると自身の責任問題になってくるので佐竹氏が「駆除する」で頭がいっぱいになってしまうのも分からなくもありませんが、ますます泥沼に嵌り込んでいるように思えてなりません。そもそも前述のとおり、耕作放棄地を放置しておいて対処療法的な駆除に頼ってきたから今日があるわけですから。追い詰められた人はゼロか100かの数直線的思考に陥りがちで、両立という方向に思考が回りにくいものです。

「人命優先」というのであれば、以前の記事でも述べましたが、根本対策を打つのではなくクマが現実に人里に接近して初めて対処療法的に駆除するという手法は、ほんとうに「人命を守るため」と言えるのか甚だ疑問であります。

もちろん、環境の復元・棲み分けの正常化には、今回計上された1500万円では間に合わない巨額の費用が必要です。とはいえ、1500万円費やしたところで人里に下りて来たクマを射殺・駆除するという当座しのぎの対処療法に頼っているようでは根本解決には至り得ません。同じペースで10年間予算計上すれば1億5000万円。20年で3億円。それでもクマが人里に出没しなくなる保証はないし、人身被害がなくなる保証もありません。本当に「人命優先」というのであれば、対処療法的な駆除ではなく耕作放棄地問題を解決して根本原因を断つ必要があるでしょう。

秋田県がひとり抱える問題ではないと考えます。耕作放棄地問題はさまざまな面で全国的問題であります。もうちょっと岸田に仕事をさせた方が良いでしょう。
ラベル:社会
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2023年10月18日

これなら新聞社が複数社存在する必要・意味などない

米政府系放送局のラジオ・フリー・アジアが、イスラエルへの攻撃に「北朝鮮」製兵器が使用された可能性があると報じたことを受けて親分の後ろ盾があると考えて図に乗ったのでしょうか、韓「国」軍部が下記のような「分析」を捏ね出しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ab684d7ffd274c4574b79b2ca64e087550bea330
韓国軍「北はハマスと武器取引・戦術伝授で連携…パラグライダー潜入ノウハウを伝授した可能性も」
10/18(水) 10:52配信
朝鮮日報日本語版

 韓国軍の合同参謀本部(合参)が17日、「イスラエルの防御網を突破して奇襲攻撃したパレスチナ武装勢力『ハマス』は、武器取引、戦術規範、訓練など幾つかの分野で北朝鮮と連携していると判断される」と発表した。この日、幹部クラスの合参関係者はブリーフィングで「北朝鮮がハマスの攻撃方法を対南奇襲攻撃に活用する可能性がある」として、10月7日に敢行されたハマスの対イスラエル侵入作戦を細かく分析していると語った。

(中略)
ハマスの占領地であるガザ地区や、レバノンの親イラン武装勢力「ヒズボラ」の活動地に近いイスラエル北部国境一帯では最近、信管にハングルで「パン−122」と表記された北朝鮮製122ミリ放射砲弾(多連装ロケット砲弾)と推定されるロケット弾が見つかった。合参関係者は「北朝鮮がさまざまな武器を中東地域の国や武装団体に輸出している状況が引き続き識別されている」と語った。ハマスやヒズボラが北朝鮮のロケット弾を使っている可能性が高いのだ。

 さらにハマスは、戦術規範の面でも北朝鮮と類似点が多いと分析された。合参は、今回のハマスによる攻撃が▲休日早朝の奇襲攻撃であること▲大規模なロケット発射で「アイアンドーム」(ロケット砲防御システム)を無力化していること▲分離障壁に設置された各種の監視・通信・射撃コントロールシステムを無人機攻撃で破壊した後に侵入していることは、韓国側が予想する北朝鮮の「非対称攻撃の様相」とそっくりだと評価した。特に、今回のハマスのパラグライダー侵入は、北朝鮮が伝授したものという可能性が提起された。
(中略)北朝鮮は2016年12月、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の主管で、パラグライダーなどを活用して青瓦台を襲撃する訓練を公開したが、こうしたノウハウや戦術規範などがハマスに伝授されたこともあり得るのだ。
(以下略)
同じ趣旨の報道は、中央日報も報じている(「韓国軍「北朝鮮、ハマス式対南攻撃の可能性」…類似の攻撃に備えを」10/17(火) 17:21配信 中央日報日本語版)ですが、ハンギョレによると実は「証拠ないが、蓋然性あり」程度の話とのこと
https://news.yahoo.co.jp/articles/065926fb00911282909d0d949b4b158b3cd9d765
韓国軍、北朝鮮とハマスの軍事的つながりの可能性に「証拠ないが、蓋然性あり」
10/18(水) 8:49配信
ハンギョレ新聞

「武器・戦闘教義支援の直接的証拠を提示できないが 周辺国との取引したものがハマスに流れた可能性あり」
 韓国軍合同参謀本部が17日、イスラエルを攻撃したイスラム武装組織ハマスが北朝鮮と兵器取引、戦闘教義、訓練など様々な分野で直接および間接的につながっているものとみられるとの見解を示した。しかし、これは具体的な証拠に裏付けられたものではなく、情況と蓋然性を基に判断したものだと付け加えた。

 合同参謀関係者は同日、マスコミへの説明会で「北朝鮮はハマスの攻撃方法を対南奇襲攻撃に活用する可能性がある」とし、「対応策を体系的に補完、発展させていく」と述べた。

(中略)
 しかし、合同参謀本部は、北朝鮮の直接的な兵器輸出や戦術支援に関する証拠は示せなかった。

 合同参謀関係者は「北朝鮮がハマスに兵器を直接輸出したという証拠はない。北朝鮮がハマス周辺国家と兵器取引を行い、ハマスと密接な関係にあるこれらの国家から北朝鮮の兵器がハマスに流れた可能性は十分ある」と述べた。また、「北朝鮮からハマスに戦闘教義が伝授されたという明確な証拠や情報はない」とし、「北朝鮮と軍事交流をしてきたハマスの周辺国家を通じて、北朝鮮の軍事教義がハマスに伝わった可能性がある」と述べた。また、北朝鮮のトンネル技術のハマスへの移転説についても「可能性はあるが、明確な証拠はない」と述べた。
結局、何ら具体的な証拠はなく「その可能性があり得る」程度の話に過ぎないというわけです。

朝鮮日報や中央日報の報道内容は決して驚くに値するものではありません。「朝・中・東」(韓「国」の三大保守紙である朝鮮日報・中央日報・東亜日報のこと)と呼ばれるように、もともとこういう論調の新聞だからです。差し詰めユン「政権」の意をくんで政権広報紙的に書き立てたのでしょう。

もし韓「国」の言論空間に朝・中・東の三紙しか存在しないのであれば、三紙すべてが「具体的な証拠に裏付けられたものではなく、情況と蓋然性を基に判断したもの」に過ぎない内容を断定調で報じることは一国の言論空間として大問題ですが、革新系のハンギョレ紙が上掲記事を公開したことで韓「国」の言論空間はバランスの取れたものに落ち着きました(朝鮮日報しか読まない、中央日報しか読まないといった人にはハンギョレの報道内容は届かないでしょうが、そもそも特定紙しか読まないような偏った人は、いまどき話にもならない如何しようもない人なので、そういう人は放っておきましょう)。

これに対して我らがニッポン。日本メディアは読売・サンケイから朝日・毎日、そして時事通信のような通信社まで朝鮮日報や中央日報の引き写しにような内容に仕上がっています
https://news.yahoo.co.jp/articles/3cbd3d9ffc0aef472a4a93a0e338c3299da878de
北朝鮮がハマスと武器取引で連携か、武装組織の砲弾にハングル…韓国軍が分析
10/18(水) 20:41配信
読売新聞オンライン

 【ソウル=小池和樹】韓国軍合同参謀本部は17日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスが北朝鮮製武器を使っているとし、ハマスと北朝鮮が武器取引で「直接・間接的に連携している」とする分析を発表した。
 
 韓国軍によると、ハマスが使っているロケット弾は北朝鮮が輸出したロケット弾「RPG7」だとみられる。ハマス傘下の武装組織が使ったとみられる砲弾にはハングルが書かれていた。北朝鮮が別の国や武装組織に輸出した武器が間接的にハマスに渡った可能性もあるという。

 今回のハマスの攻撃について、休日早朝の奇襲や多数のロケット弾発射など、韓国軍が想定している北朝鮮の攻撃と類似しているといい、「北朝鮮が戦術を伝えたり訓練を支援したりした可能性がある」と指摘した。
(以下略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/de30cb0c3417f08871eb4a2c9e02dc182f0c1fc7
ハマスと連携する北朝鮮…武器取引や戦術伝授 韓国軍分析
10/17(火) 19:18配信
産経新聞

【ソウル=桜井紀雄】韓国軍高官は17日、イスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたイスラム原理主義組織ハマスと北朝鮮が武器取引や戦術の伝授、訓練などを通じて直接、間接的に連携しているとの見解を明らかにした。イスラエルの境界地域で最近見つかった北朝鮮製のロケット弾の分析などに基づいている。

発見されたのは、信管に「パン−122」とハングルと数字が刻印された北朝鮮製122ミリ多連装ロケット砲弾。韓国軍は「ハマス関連の武装組織」が使用したと推定。北朝鮮から中東諸国や武装組織への武器輸出を裏付ける証拠とみている。
(中略)
韓国軍高官はこの戦術について、北朝鮮が有事に実行すると予想される戦術と似ているとし、「北朝鮮の戦闘ノウハウを伝授されたか、訓練支援を受けた可能性がある」とした。

高官は、北朝鮮が今回の効果を踏まえ、韓国への奇襲時に同様の戦術を使う可能性が高いとも述べ、警戒感を示した。

ハマスの武装要員は越境にパラグライダーも利用した。
(中略)高官は北朝鮮が訓練に注力する奇襲策との類似点についても説明した。
(以下略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/3d5b5677cdb572586e2cbeb0caa88d83f773dcd5
ハマスと北朝鮮、「武器取引や戦術で連携」 韓国軍分析、警戒強化へ
10/17(火) 19:30配信
朝日新聞デジタル

 イスラエルに大規模な攻撃を加えたイスラム組織ハマスについて、韓国軍合同参謀本部は17日、北朝鮮が武器取引や戦術の指南などで「直接・間接的に連携している」との見方を示した。

(中略)
 韓国軍は連携を示す直接的な証拠は明らかにしなかったが、ハマスが使う対戦車ロケット砲「F7」は、北朝鮮の「RPG7」を輸出する際に使う名称だと指摘。また北朝鮮製の122ミリ放射砲弾がイスラエル近郊の国境地域で見つかっており、ハマスを支援する武装勢力などが使ったとみられるという。

 ハマスが休日の未明に大規模な攻撃をしかけたことやドローン(無人機)を活用した手法などが北朝鮮の攻撃シナリオと似ているとして、韓国軍は「北朝鮮が戦術を伝えたり、訓練を支援したりした可能性もある」としている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/936fca8ba101c81919c5f1689a97ae5128f051dc
韓国軍「北朝鮮がハマスと連携」 攻撃を参考にする可能性も指摘
10/17(火) 19:38配信
毎日新聞

 イスラエル軍とイスラム組織ハマスの衝突を巡り、韓国軍合同参謀本部は17日、ハマスが北朝鮮と武器取引などで「直接・間接的に連携」しているとの見方を示した。北朝鮮も有事の際にハマスの攻撃を参考にする可能性が高いとの分析結果も明かしている。

(中略)
 合同参謀本部は、北朝鮮とハマスの武器取引を直接示す根拠は明示しなかった。それでもハマスが発射したとみられる北朝鮮製の砲弾がイスラエルとガザの境界付近で発見されていることなどから、「北朝鮮が多様な兵器を中東の国家や武装集団に輸出している」と判断した。
(中略)
 さらに、ハマスが7日にイスラエルに仕掛けた奇襲攻撃は、休日未明の発生▽大規模なロケット発射による防空システムの無力化▽無人機(ドローン)攻撃による監視体制の破壊−−などの点で、北朝鮮が想定しているとされる「非対称戦」と類似していると指摘。合同参謀本部の関係者は「北朝鮮は中東の国家や武装集団と交流があり、ハマスに情報が渡った可能性がある」と述べた。
(以下略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/81fa6d3c56f2c422c2fc4b991f25d49c72dded5e
ハマス、北朝鮮の武器使用か 韓国軍分析、戦術にも類似点
10/17(火) 17:27配信
時事通信

(中略)
 ハマスと北朝鮮の戦術にも類似点があった。韓国軍関係者は「ハマスと北朝鮮が武器取引や戦術、訓練などで直接または間接的に連携していると判断している」と述べた。

 分析によると、ハマスは、北朝鮮が輸出した対戦車ロケット弾発射機を使用。「ハマスを支援する武装組織」が使ったとみられる北朝鮮製の砲弾も現地で発見された。軍関係者は、「北朝鮮が多様な兵器を中東の国や武装組織に輸出している」と説明した。
さすがに朝日・毎日は、「直接的な証拠は明らかにしなかった」(朝日)や「直接示す根拠は明示しなかった」(毎日)とは書いているものの、この書き方だと「特殊なルートで手に入れた機密度の高い情報なので伏せた」とも読めるもの。記事全体の趣旨や記事が醸成する印象は「ハマスと北朝鮮は繋がっている」以外の何者でもありません

経済紙の日経新聞はこの際には除外するとして、大手紙である読売、朝日、毎日、サンケイが似たような趣旨の記事を横並びで報じているニッポンの言論空間。とくに相手が「北朝鮮」ともなると非常に画一的な内容になりがちです。各紙の記事構成がほぼ同じ、記事の趣旨も読者が抱く印象もほぼ同じなのです。

こんなならば、新聞社が複数社存在する必要・意味などないでしょう。
ラベル:メディア
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2023年10月15日

ハマス・イスラエル戦争とアメリカ中心の国際「秩序」

https://www.coreanews.net/entry/2023/10/13/102315
2023-10-13
現中東事態は米国のさらなる戦略的敗北を予告する 朝鮮の国際問題評論家が指摘

 朝鮮の国際問題評論家リ・グァンソン氏は13日、中東地域で前例のない規模の軍事的衝突が発生したことに関連して、「現中東事態は米国のさらなる戦略的敗北を予告する」と題する文を発表した。

 朝鮮中央通信が13日配信した。

 文は、「今回の事態勃発の根源がパレスチナ領土を不法に占領し、パレスチナ人の利益を無残に蹂躙してきた同盟国を公然と庇護し、最も反動的な対中東政策を追求してきた米国にあるというのが、国際社会が下した結論である」としながら「覇権的で二重基準的な米国の中東政策は、米国の影響力拡大ではなく、減退を招いており、米国の対外政策全般を揺るがす悪材料になっている」と指摘した。

(以下略)
共和国は古くからアラブ寄りの立場に立って中東情勢に関わって来ました。アメリカの腰巾着でありながら基本的に部外者として傍観している日本よりも情勢に精通しているものと私は考えています。

共和国政府がアラブ寄りの立場であることを差し引いてもなお、「覇権的で二重基準的な米国の中東政策は、米国の影響力拡大ではなく、減退を招いており、米国の対外政策全般を揺るがす悪材料になっている」という見立ては説得力があるように思われます。

コリアニュース.com様では、朝鮮中央通信の記事全文を和訳し掲載してくださっています。以下、気になるところを拾い読みしてみましょう。
 米国が「中東和平」を唱えてイスラエルとアラブ諸国の関係正常化を推し進めたが、それは地域でイランをはじめとする反米・自主的な国々を包囲、抑制するところに目的があるのであって、中東の真の平和とは何の因縁もない。

 これによって、米国の仲裁劇は、地域に緊張緩和をもたらしたのではなく、勢力間の劇甚な対立と矛盾を招き、アラブ偉業の核であり、中東問題の根本であるパレスチナ問題解決の展望をより遼遠にする逆効果を生じさせた。

 今回も、米国は中東事態の政治的解決のための努力ではなく、同盟国に対する揺るぎない軍事支援公約を選択することで、地域の軍事的緊張度を戦争の瀬戸際へ追い込んでいる。

 今、国際社会は欧州でいわゆるウクライナの自決権と領土保全を喧伝(けんでん)していた米国がイスラエルによって数十年間、パレスチナ民族がなめる苦痛に完全に顔を背ける明白な二重基準的態度を見せていると非難の声を高めている。

 現実は、米国こそ中東和平の「仲裁者」ではなく、破壊者であり、アラブのパートナーではなく、敵であることをはっきりと立証している。
アメリカのいう「中東和平」は、実際のところイランを筆頭とする反米国家群の切り崩し・孤立化に過ぎないこと、そうであるがゆえに、アメリカは事態の政治的解決ではなくイスラエル全面支持を打ち出したのだ、というわけです。非常に手厳しいですが、「今回も、米国は中東事態の政治的解決のための努力ではなく、同盟国に対する揺るぎない軍事支援公約を選択」したことを鑑みるに、こういう位置づけ方も決して根拠のないモノとは言えないでしょう。

 米行政府の御用メディア団体とえせ専門家は、イスラエルに対する攻撃に「北朝鮮製兵器」が使用されたようだという根拠のない自作のデマを飛ばす一方、われわれが中東とウクライナに米国の関心が集中する隙を利用して地域内の緊張を高調させる「脅迫外交戦略」を駆使するだろうというとんでもない世論を流している。

 米国が追求する腹黒い下心は、明白である。

 自分らの誤った覇権政策によって生じた中東事態の責任を第3者に転嫁して、悪の帝国に注がれた国際的非難の焦点を回避しようとすることのほか、何物でもない。
北朝鮮、ハマスが同国製兵器使用との報道否定」(10/13(金) 11:36配信 ロイター)によると、「イランやシリアを通じて間接的にハマスに供給された可能性が高い」が、これは今に始まった話ではないとのこと。ハマスはかねてより武器市場でさまざまなタイプの武器をかき集めて来たわけで、その中で共和国の名前だけをあげつらうのには、特別な悪意を感じざるを得ないでしょう。

ところで、ウクライナのゼレンスキー大統領が何の根拠があるのかは分かりませんが、「ロシアが何らかの方法でハマスの軍事行動を支援していると確信している」と述べたそうです(「ロシアがハマスの軍事行動支援と「確信」 ゼレンスキー氏」10/11(水) 8:55配信 AFP=時事)が、このゼレンスキー発言に米政府が同調せず、かわって米政府系放送局であるラジオ・フリー・アジアが「北朝鮮製兵器使用」を報じたのは興味深い展開です。

中東情勢というフィールドにおいては、アメリカにとって共和国は気兼ねなく叩ける唯一の存在。ひと昔前ならいざ知らず、いまや事態を収拾させるためには、ロシアや中国、イラン、シリアといった国々の協力が欠かせないので、ゼレンスキー氏の根拠不明の「ロシア関与説」に付き合ってはいられないのでしょう。アメリカの国力低下の著しさがここにも表れているように思います。

 覇権的で二重基準的な米国の中東政策は、米国の影響力拡大ではなく、減退を招いており、米国の対外政策全般を揺るがす悪材料になっている。

 世界は、中東事態が米国の情報戦の失敗、情勢判断の失敗、対外戦略の失敗を見せるという意味深長な評価を下している。

 ウクライナ事態に続いて、米国に巨大な戦略的負担に登場した中東事態は、同盟国およびパートナー国家との関係強化で「規則に基づく世界秩序」を樹立するというアメリカ式覇権戦略の限界点とより暗たんとなる「唯一超大国」の将来を如実にさらけ出した決定的契機となった。

 現中東事態は、米国が甘受すべき新たな戦略的敗北の序幕にすぎない。

 米国が国際的正義を抹殺し、世界の平和と安定を破壊しようとするほど、それを断固と膺懲(ようちょう)しようとする国際的対応意志は百倍になるであろうし、米国は最もひどい代償を払うことになるであろう。(了)
パレスチナ問題は非常に長い歴史的経緯の産物ですが、こと此処まで複雑化したのは、イギリス帝国の仕業であるところが大であります。そんなイギリスは手に負えなくなってきたからか今や非常に影の薄い存在となっています。

現中東事態は、米国が甘受すべき新たな戦略的敗北の序幕にすぎない」という分析は私もそのとおりだと思うのですが、もしイギリスがそうしたようにアメリカも「手に負えないからやめた」といって中東問題から無責任に手を引いた場合を考えると、新しい秩序の在り方とそれを推進する主体の準備を今から始めることが喫緊の課題であると考えます。アフガニスタンの例を見れば分かるように、また、アメリカで隆盛を極めた新古典派経済学的な発想を見れば分かるように、アメリカは損得勘定が成り立たなければいとも簡単に匙を投げる国です。アメリカの経済状況によっては、決して可能性がないとは言えません。

もちろん私は主体的社会主義者として朝鮮労働党が掲げる自主・平和・親善の原則に基づくべきだと考えますが、憎しみが憎しみを呼んでいる現状からどのように繋げるのかは、なかなか難しいところがあるようにも思います。諦めてはいけないんだけどね。
ラベル:国際「秩序」
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2023年10月11日

「北朝鮮」では餓死者が続出しているのか? そう言い切ることは実態を理解することを妨げるのではないか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/1fa3da81801de2629e2f5511f4b6473a7bd13889
「北朝鮮、ロシアの食糧支援の提案を断った」…「変化した北朝鮮」の道とは
10/3(火) 8:09配信
ハンギョレ新聞

(中略)
 この過程でこれまで「聞きなれた北朝鮮」と「変化した北朝鮮」の違いも再び確認された。様々な国の政府とメディア、専門家らは、北朝鮮が深刻な食糧難を緩和するため、ロシアに食糧支援を要請し、ロシアもそれに応じると予想していた。このような見通しの主な根拠は、上半期に北朝鮮で餓死者が続出するほど食糧難が深刻だという尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の主張だった。ところが、北朝鮮は今回の朝ロ首脳会談で、ロシアの食糧支援の提案を断ったことが分かった。これと関連し、ロシアの駐北朝鮮大使は17日、「タス通信」を通じて、北朝鮮がロシアの食糧支援提案に対し「もうすべて大丈夫だ」と丁重に断ったとし、「今年、彼らは非常に豊作だった」と述べた。このような内容は、筆者が5月中旬に北京で会った中国の消息筋が伝えた内容とも一致している。当時、その消息筋は「北朝鮮で飢え死にした人が出たという情報はなく、むしろ食糧事情が改善されている」と語った。

 この事例は注目に値する。外部に「耳慣れた北朝鮮」は、住民たちが飢えており経済状況は非常に厳しいのに、金正恩政権は核の高度化にこだわっているといったものだ。また、北朝鮮が核武装にこだわる限り、国際的孤立も進むだろうと警告してきた。しかし、上の事例は「変化した北朝鮮」がそこまで危うい状態ではないことを示唆している。食糧と経済事情が良くなっているだけでなく、今後もこのような傾向が続く可能性をうかがわせる。北朝鮮は2013年、並進路線の宣言以降、特に2021年8回党大会を経て、自力更生や自給自足に拍車をかけてきた。そして今年下半期の国境封鎖解除後、朝中・朝ロ交易と経済協力も本格的に進めている。内的な力と外的な環境が大きく改善されているわけだ。
(以下略)
ここ最近またしても「北朝鮮で餓死者が続出」といった眉唾情報が出てきています。しかしながら上掲記事にもあるとおり、先の元帥様訪露においては食糧支援要請は、遂にありませんでした。元帥様が格好つけて瘦せ我慢的に食糧支援を要請しなかったとは考えにくいことです。なぜならば、元帥様は過去に世界食糧計画に対して支援要請したことがあるからです。

むしろ食糧事情が改善されている」(中国消息筋)かどうかは外部からは分かり得ないことですが、元帥様がロシアに食糧支援を要請しなかった事実は注目に値するでしょう。果たして共和国では本当に餓死者が続出するほど食糧事情が悪化しているのかという問いを立てることができます

8月時点での情報ではありますが、rodongshinmunwatching様が興味深い記事を取り上げていらっしゃいます。韓「国」の国家情報院が非公開会合で発表したとされる共和国での餓死者数にかかる情報です。
後者については、国情院が17日に国会情報委員会(非公開)で行ったとされる内容を議員が伝えたもので、それによると、「北(朝鮮)で1〜7月に発生した餓死は約240件で、直近5年間の平均(約110件)の2倍以上に増えた」由である。

 この数字も、そもそもこうした統計が本当に存在するのか(北朝鮮当局としても把握しうるものなのか)など、根拠が甚だ不透明で、にわかに信じがたいものであるが、仮に、これが実際の数字であるとしても、北朝鮮の人口(約2,500万人)からすると、厳しいと言われる今年に入って現在までの餓死者発生率が10万人に1人以下となる。つまり、人口10万余の都市・郡とかごとに1人ということになる。

 そうであるとすれば、そうした「餓死者発生」とか、その「増加」という現象が北朝鮮社会全般に及ぼす影響ないし北朝鮮の一般の人々の生活を反映する程度という観点からすると、それは、さほど特筆大書すべき事柄ではないようにも思える。もちろん、そうした極端事例が食糧事情の悪化という一般的傾向を象徴的に示していることは否定できないが、逆に、そうした傾向が存在するとしても、それを「餓死者増加」という現象によって代表させるのは、北朝鮮社会(人民生活水準)に対する等身大の理解をむしろ妨げる結果を招くのではないだろうか。
本来、餓死者はゼロであるべきなのは論を俟たぬことです。「2500万人分の240人だからいい」というつもりは、まったくありません。しかし、だからといって「餓死者続出」などと書き立てることは実態と異なるのではないか、実態を理解することを妨げるのではないかというご指摘は正当なご指摘であると言えます。
ラベル:共和国
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2023年10月10日

困難な経済状況の中でも同胞・同志を愛し信じて依拠する共和国、日本を諦め外国勢に依拠する日本:朝鮮労働党創建78周年

今日10月10日は朝鮮労働党の創建記念日です。創建から78年の歳月が過ぎました。

■政治における自主、経済における自衛、国防における自衛、思想における主体を支える自立的民族経済路線
朝鮮労働党の指導思想がチュチェ思想であることは周知のことですが、キム・ジョンイル総書記による不朽の古典的労作『チュチェ思想について』では、チュチェ思想の指導的原則として次のように言及されています(p33)。
金日成同志は自主性を具現するための原則として、思想における主体、政治における自主、経済における自立、国防における自衛の原則を示しました。主体、自主、自立、自衛の原則は、思想・政治・経済・国防分野に自主性を具現するための指導的原則であります。
このうち、経済における自立について総書記は次のように指摘されています(p41)。
経済は社会生活の物質的基礎です。経済的に自立してこそ、国の独立を強固にして自主的に生活し、思想における主体、政治における自主、国防における自衛をゆるぎなく保障し、人民に豊かな物質・文化生活を享受させることができます。

経済における自立の原則を貫くためには、自立的民族経済を建設しなければなりません。

自立的民族経済を建設するというのは、他国に従属せず独り立ちできる経済、自国人民に奉仕し、自国の資源と人民の力によって発展する経済を建設することを意味します。このような経済を建設すれば、国の天然資源を合理的かつ総合的に利用して生産力を急速に発展させ、人民生活のたえまない向上をはかり、社会主義の物質的・技術的基盤を強固にきずき、国の政治的・経済的・軍事的威力を強化することができます。また国際関係において政治的、経済的に完全な自主権と平等権を行使し、世界の反帝・自主勢力と社会主義勢力の強化に寄与することができます。
経済における自立、つまり自立的民族経済の建設とは、国の独立を強固にし国民が他国の動向に左右されずに生活するための基盤づくりであると言えます。

■渡り鳥のような人たちに国の運輸インフラを委ねる「非自立的経済」路線を歩まんとするニッポン
当ブログの一つのテーマとして「チュチェ思想を指針として日本の自主化の道を探る」というものがありますが、総書記の指摘を踏まえつつ日本の現状を見てみると、自立的民族経済建設、つまり国の独立と国民の自主的生活とは真逆の方向を志向していると言わざるを得ないと考えます。

たとえば、いわゆる「2024年問題」でいよいよお尻に火がついた運転手問題について、斉藤鉄夫国土交通相は次のような妄言を吐きました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3da67e729a634582dcfd755dff79ec69236b116b
特定技能に運転手追加検討 人材不足解消へ外国人活用 斉藤国交相
10/10(火) 14:46配信
時事通信

 斉藤鉄夫国土交通相は10日の閣議後記者会見で、バス運転手について、一定の専門性や技能を持つ外国人の受け入れを認める「特定技能」の対象に追加するため、関係省庁と調整していると明らかにした。

(以下略)
労働力商品を「国産」できないから「輸入」して凌ごうという非常に浅はかな考え。いまは在留期限つきの特定技能制度で賄おうとしていますが、ゆくゆくは期限のない移民を充当しようという魂胆であることは火を見るよりも明らかです。

そもそも、特定技能にしろ移民にしろ外国人労働者とは「世界を股にかけて転職する非常にフットワークの軽い人たち」であると位置づけることができます。果たして現代日本は、米欧諸国や新興諸国などとの競争に競り勝つことができるほど外国人労働者たちに魅力的な国だと言えるでしょうか? すこし条件が変われば直ぐに出国してしまう渡り鳥のよう移民的な外国人労働者たちに期待をかけることは、結果的に彼らに振り回されることになるでしょう。

仮に、為替や国際経済の状況で一時的に外国人を集めることができたとしても、それを長続きさせることは非常に困難です。日本が米欧諸国や新興諸国相手に常に競り勝ち続けることは現実的ではないでしょう。1日たりとも人手不足になってはいけないのが運輸インフラです。運転手という国の運輸インフラの根幹要素を、移民的な外国人労働者たちに委ねることは「近視眼的であるにもほどがある」と言わざるを得ないでしょう。

■もはや「経済建設」とは言えない「外国人富裕層をターゲットにした観光立国化」
あるいは、外国人富裕層をターゲットにした観光立国化という妄動も近頃、顕著になりつつあります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3fd37a0bbaf464bf1f95add8e2bd1a2cbfa48f75
都内からヘリで直行...「1人数百万円」奥日光2泊3日ツアー 栃木県が企画、訪日客富裕層に照準
9/27(水) 11:32配信
下野新聞SOON

 インバウンド(訪日客)や観光消費額の拡大を目指し、栃木県は26日、外国人富裕層をターゲットにした奥日光での2泊3日のツアーを今秋に計画していることを明らかにした。東京都内からヘリコプターで直行し、ホテル「ザ・リッツ・カールトン日光」に滞在。紅葉などの自然巡りや、旧イタリア大使館別荘を貸し切ったディナーを盛り込んだ。モデル事業として実施し、効果を検証する。

 同日の県議会一般質問で説明した。「紅葉の時期の奥日光でラグジュアリーな体験を満喫するスペシャルプラン」と題した事業で、コロナ禍で落ち込んだ訪日客の回復を図る観光庁の「観光再始動事業」に採択された。事業費は2023年度一般会計9月補正予算案に1500万円を計上しており、旅行会社を通じ10月ごろ販売される。

 都内と本県の間はヘリで移動し、所要時間は片道1時間程度。道路渋滞に遭わずに紅葉シーズンの奥日光を満喫できる。滞在中はガイドの案内で奥日光の自然を見て回るほか、旧イタリア大使館別荘で県産農産物を使ったディナーなどを楽しむ。旅行代金は団体の参加人数によって異なるが、1人当たり数百万円になるという。

(以下略)
新型コロナウイルスで散々痛い目にあったはずの「観光立国」を懲りもせずに再び追求し始めた我らがニッポン。一気に巻き返そうとしているからか、外国人富裕層をターゲットにした一攫千金的な試行にかかる報道を最近目にする機会が増えているように思われます。

そもそも、観光は生活必需品ではありません。需要の価格弾力性が弾力的であると言えます。とりわけ富裕層は、様々な「遊び方」を知っているので、ますます需要の価格弾力性が弾力的であると考えられます。そのことが非常に顕著に現れたのが新型コロナウイルス禍だったはず。「不要不急」の烙印を押されて危うく業界そのものが消滅するところまで追い詰められたものでした。

需要の価格弾力性が非常に弾力的な観光業、それも外国人の富裕層をターゲットとする観光業を国の産業の柱に据えようとすることは、あまりにも一攫千金的であり、もはや「経済建設」だとは言えないと考えます。それ以前に、ついこの間、非常に痛い目にあったはずなのに、また同じことを繰り返そうとしている学習能力のなさには閉口せざるを得ません。「もうコロナは終わったから」「あんなことは、もうしばらくない」? 決してコロナ禍は終わってはいないし、次の国際的事変がいつどのような形で起こるかはまったく想定できないものです。

■日本と日本人を信じていない日本政府
こうした外勢依存的な経済政策は、直接的には「日本政府の超近視眼的な利益追求姿勢のため」と言えますが、より深く追求するに「日本政府は自国と自国民を信用していないため」というふうに考えることもできるでしょう。「もう何をしたって日本はダメだ、日本国民はダメだ」という諦めがあるからこそ、まず真っ先に検討すべき日本と日本国民に対する投資ではなく、外国人労働者の受け入れや外国人富裕層の呼び込みを検討しているのでしょう。

外国人富裕層の呼び込みだけであれば、「外国人富裕層の呼び込むことで日本人の雇用が増える」という理屈も成り立ち得ますが、外国人運転手の導入は、政府の狙いが日本人の雇用確保でないことを示しています。

この点、朝鮮民主主義人民共和国は日本よりも遥かに困難な経済状況であるにも関わらず、党と共和国政府はあくまでも自国と自国民を信じ依拠しています。「キム王朝」の「独裁政権」を維持するためならば、わざわざ比較生産費説に部分的に抗って(「自力更生の原則で自立的民族経済を建設するということは、決して門戸を閉ざして経済を建設することを意味するものではありません」,p44とあるように、完全に無視しているわけではない)まで自立的民族経済建設路線に基づく国産化する必要はないはず。わざわざ石炭をややこしく高コストな方法で加工してプラスチックを作ったり、コークスの代わりに無煙炭を使ってまで製鉄にこだわったり(チュチェ鉄)する必要はありません。原油もコークスもまったく手に入らないわけではないのだから、「特権階級」の需要を満たす程度の生産は可能であるはずです。しかし、党と共和国政府は国産日の大量生産に非常にこだわっています。あくまでも自立的民族経済の建設を志向しています。

私は、このことはまさに党と共和国政府による同胞愛・同志愛の現れであると考えます。同胞を愛し同志を愛するからこそ彼らを信じ、彼らの創意工夫に国家的に投資しているものと考えます。もちろん、キム・ジョンウン総書記が再三指摘しているように、党内や政府内には官僚主義(腐敗・汚職)の問題がまだまだあります。しかし、困難な中でも政治が人民を信じているわけです。
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2023年10月05日

他人様の責任を追及するときには「もとは言えば・・・」なとど詰め寄るのに、自分の責任を追及されるときには「ご理解を・・・」などと責任回避動機を丸出しにする日本人の悪しき習性

https://news.yahoo.co.jp/articles/058d6c5f227ca119e712095ce45907c7bbbe4959
秋田県のクマ3頭「なぜ殺したのか」 県外から苦情殺到、「住民の命守るためご理解を」
10/5(木) 16:59配信
弁護士ドットコムニュース

秋田県美郷町の作業小屋に長時間立てこもっていたクマ3頭が10月5日、駆除された。これに対して、秋田県庁には「なぜクマを殺したのか」という苦情の電話が県外から殺到しているという。

県自然保護課によると、今年はクマによる人身被害が過去最高となっており、特に山から人里まで下りて住民と接触するケースが増えているという。

美郷町の現場近くには、認定子ども園があり、山に返しても再び現場に戻ってきて人に被害を与える恐れがあることから、県と町が協議のうえで、クマ3頭の駆除をおこなった。

(中略)
県自然保護課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「高齢化で山と人里の境にあった田畑が使われなくなり、クマの生息地域が広がっていることが、人里に下りてくるようになった背景にあるのではないかと推測しています」と話す。

クマとの接触は、人命や農作物への被害があるといい、今年は県内で過去最高のペースである590頭が駆除されているという(9月19日現在)。美郷町のクマも駆除の対象となったが「人命を守るためにご理解いただければ」(県自然保護課の担当者)。

(以下略)
今回については、非常に残念かつ気の毒に思うものの、こうするほかなかったのではないかと私は思います。しかしながら、これがたとえば東京都区部での話ならば「青天の霹靂」と言えても、事は秋田県での話。「山に返しても再び現場に戻ってきて人に被害を与える恐れがある」というのであれば、「これまでの人獣棲み分け政策は十分だったのか?」という疑問が湧いてきます。抗議架電にはそういう動機によるものもあるように推測します。

県自然保護課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「高齢化で山と人里の境にあった田畑が使われなくなり、クマの生息地域が広がっていることが、人里に下りてくるようになった背景にあるのではないかと推測しています」と話す」――よく分かっていらっしゃる。それでいったい今までどういった対策を講じてきたのでしょうか? 記事を読む限りはまったく伝わってこないわけですが、他人様への責任追及で飯を食っている弁護士センセイによる「弁護士ドットコムニュース」ならば当然、自己弁護・自己正当化として己の業績・成果は過剰なほどに喧伝するはず。その点、秋田県は、胸を張るほどの対策は講じていないものと推測します。

人命を守るためにご理解いただければ」――それっぽいことをいっている秋田県担当者ですが、他人様の責任を追及するときには「もとは言えば・・・」なとど詰め寄るのに、自分の責任を追及されるときには「ご理解を・・・」などと責任回避動機を丸出しにする日本人の悪しき習性の典型的事例を展開しています。

秋田のような田舎県の予算制約が厳しいことは容易に想像できるものです。「人間様と畜生ども」という構図があるものと思われます。ならばいっそ正直にそう言えばいいものを、小賢しくも「人命を守るため」などと真意を隠す点にも、抗議架電の動機があるように思われます。

もっと言えば、「人命を守るため」といいつつ、人獣棲み分けという根本対策を打つのではなく、クマが現実に人里に接近して初めて対処療法的に駆除するという手法は、ほんとうに「人命を守るため」と言えるのか。甚だ疑問であります
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2023年10月04日

世論に阿り諂う藤島ジュリー景子氏の手紙から見えてくる「一族郎党皆殺し」の日本の伝統的発想

引き続き、ジャニー喜多川の性加害問題に関する世論動向について取り上げます。今回は、ジャニー喜多川の姪に当たる藤島ジュリー景子氏(ジュリー氏)の手紙から見えてくることについて考えたいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0958074142f1ead70f384e41eb7fff0950ef6e79
ジュリー景子前社長の手紙全文「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」
10/2(月) 18:40配信
中日スポーツ

(中略)
 ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族として、やり切らねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切、無くしたいと思います。
(以下略)
本件醜聞騒動においては「平謝り」の姿勢を見せるジュリー氏。それだけに日本世論に阿り諂う内容に仕上がっています

ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切、無くしたい」というくだりからは、「ハレとケ」思想に通ずる日本世論の潔癖症的な傾向への諂いを感じ取らざるを得ません

ジャニー喜多川の所業は言語道断であり、感情的にもまったく容認し難いものですが、かといってジャニー喜多川には一定の業績もあるわけで、それをも抹消することには疑問を持たざるを得ません。「たしかに一定の業績もあったが、全体としては、とんでもない輩」といった具合に、総合的には否定評価することが客観的かつ科学的な見方であるように思われます。

ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族として、やり切らねばならないこと」というくだりについては、「ジャニーズ事務所の社長として、元社長の不祥事の責任を負う」のならば当然のことですが「私が加害者の親族として」というのは、親の不祥事の責任を子が負うのさえおかしな話(逆ならまだしも・・・)であるところ、性嗜好異常者の伯父の不祥事を姪が負うのはますます道理に合わないものです。道理に合わず世論への阿り諂い以外の何者でもないと言わざるを得ないでしょう。

ジュリー氏の平謝り文面から我らが日本世論の傾向を間接的に把握することができます。日本世論においては、依然として「一族郎党皆殺し」の伝統的発想が脈々と受け継がれていると思われます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8cb6819adfb20e017bd896c34da4217446c82ff4
石丸志門氏 会見欠席のジュリー氏に謝罪「パニック障害の方々に非常に不遜な発言だった」
10/4(水) 19:31配信
東スポWEB

(中略)
 この日、国会内で開かれた立憲民主党「性加害・児童虐待」国対ヒアリングに出席した石丸氏。10月2日にジャニーズ事務所がジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり都内で2度目の会見を開いた際、ジュリー氏が欠席したことに「そんな甘えた話あるか」などと発言していた。

 石丸氏は「この場をお借りして少し、謝罪を一点だけさせてください。先日、記者会見を行った際に、藤島ジュリー景子氏のパニック障害について『それは甘い』『表に出てこなければダメだ』という発言をしました。これはすべてのパニック障害の方々に対して非常に不遜な発言だったと思っております。この場をお借りてその発言を撤回し深く謝罪をしたいと思います。申し訳ありませんでした」と話し、深々と頭を下げた。
性嗜好異常者の伯父の不祥事を姪が謝罪するという不条理中の不条理に直面させられたパニック障害罹患者に対して、後に謝罪・訂正したとはいえ一旦は「甘え!」と言い放った石丸志門氏。非常に「日本的」と言わざるを得ないでしょう。
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2023年10月03日

結局、日本世論は、ジャニー喜多川の性加害問題を「根源的には独占の問題である」と正しく認識できていないのでは?

https://news.yahoo.co.jp/articles/9cf016a78d8514f6d5210540c1c1f26935061ef0
なだれを打つ日本企業の「ジャニーズからの撤退」そこに感じる違和感の正体
9/17(日) 10:17配信
東洋経済オンライン

(中略)
■ジャニーズに”甘い対応”をさせたのは誰か

 スポンサー企業、間に入る広告代理店などは、故ジャニー喜多川氏の性加害を知りながら、見て見ぬ振りをして所属タレントを広告に起用し続けていたのではないか?  という意見も少なからず出ている。

 筆者自身の体験で言えば、この問題が明らかになる前に、スポンサー企業、広告代理店の人たちと話しても、業務の中でこの件については話題になったことはなかった。飲み会や休会時間にゴシップネタとして話題に上がることはあったが、大半の人は「うわさでは聞いたことがある」「都市伝説でしょ」といった反応で、本件が事実だと信じている人、真実か否かを明らかにすべき深刻な疑惑であると思っている人は、私が知る限りはいなかった。

 「見て見ぬ振りをしていた」というよりは、「見ようともしていなかった」というのが実態だ。たしかに、メディアの報道こそ少なかったが、書籍や雑誌、ネット上の情報を集めれば、加害行為は都市伝説などではなく、十分にありうる事実でないかと、もっと疑うべきだっただろう。

 今年3月にBBCが「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」を放送し、性加害問題が発覚してからもう半年になる。この間、この9月7日にやっと新旧社長登壇のもとで開かれたジャニーズ事務所の記者会見、また、そこに至るまでの対応を振り返ってみると、改めて、不十分極まりないものであったと言わざるをえない。

 そうなってしまったのは、再発防止特別チームの報告にもある通り、同族企業の弊害によるものだと筆者は考えている。新社長の東山紀之氏は同族ではないが、ジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏の側近であったとされる人物で、依然として経営陣が内輪で固められていると考えられてもしかたのない状況にある。

 ジャニーズ事務所が本当に変わるためには、「外の目」と「外からの力」が必要だった。にも関わらず、ここ半年の間においても、スポンサー企業、またメディア企業は、事務所に根本的な対応を強く求めることなく、甘やかし続けてきたと言える。
 
 筆者は、今年5月1日に寄稿した記事で、「スポンサー側からジャニーズ事務所の対応について糾していくということも、いずれ求められることになる可能性がある」と書いた。

 実際、ここに至るまで、取引先企業がジャニーズ事務所に強く説明や要求を求めるべきタイミングはいくつかあった。

 たとえば、藤島ジュリー社長(当時)が5月14日に動画と文書でこの問題について初めて自身の口で見解を示し、形式的ながら謝罪を行ったとき、国連作業部会の記者発表でジャニーズ事務所の問題が厳しく指摘されたとき、再発防止特別チームの報告が行われたときなどがそれだ。

 それぞれのタイミングで、スポンサー企業たちが、厳しくジャニーズ側に説明を要求していたならば。ジャニーズ事務所が記者会見で表明した内容が踏み込みの浅いもので、かつ、多くのスポンサー企業による契約解除の雪崩現象も防げたかもしれない。

(以下略)
■ジャニーズ帝国との戦いは本質的に反独占・自主化の戦い
ジャニー喜多川の性加害問題は、ジャニーズ帝国問題の本丸であると考えます。ジャニー喜多川をピラミッドの頂点とする権力の構造、独占の構造が奴の個人的欲望を満たす背景にあったと考えるからです。

当ブログではかつてSMAP独立問題を巡ってジャニーズ帝国問題について取り上げたことがありました。そこでも述べたとおり、ジャニーズ帝国との戦いは本質的に反独占・自主化の戦いであると考えます。

チュチェ105(2016)年1月19日づけ「テンプレの域に達しつつある「労働組合結成の勧め」;中世的芸能界の近代革命のために必要な組織とは?
チュチェ105(2016)年1月20日づけ「「オーナーの私有財産としての芸能事務所」という事実に切り込まずして「ジャニーズの民主化」を語る認識の混乱

今般のジャニー喜多川の性加害問題にかかる検証委員会報告にもあるとおり、ジャニーズ事務所が同族経営であったために自浄作用が働きませんでした。また、ジャニーズ事務所がタレントのマネジメントを丸抱えしており、テレビ局などに対して独占的に強い地位に立っていたことが、本件が社会的に露見することを妨げました。つまり、ジャニー喜多川をピラミッドの頂点とする権力の構造、独占の構造が奴の個人的欲望を満たす背景にあったわけです。

SMAP独立問題も同様の構造でした。「ジャニーズ事務所を辞めるとSMAPが干される」という問題、大きな事務所に睨まれたタレントが引き続き芸能界でスポットライトを浴び続けることは難しいという問題は、まさしく独占の問題であります。

■反独占・自主化の戦いにおける「自由化と民主化の二本柱」
ジャニーズ帝国の問題とは独占の問題であり、それとの戦いとは反独占・自主化の戦いであると位置づけた当ブログは、そうであるからこそ「自由化と民主化」という方向性で、反独占・自主化の戦いの道筋を考えて参りました。

既存の芸能事務所という「ムラ社会」の枠内で反体制運動を展開しようものなら潰されてしまうので、既存芸能事務所の支配から脱するためには、既存の枠外でそれを打ち破るような形で、離合的な人間関係観を基盤とした新しい関係性の中で自立・自活を進化・発展させてゆくほかありません。また、新勢力が「動物農場」に成り下がらないためには、新勢力は、自主的な思想意識を一致点としてタレントたちが自主管理・協同経営型に集結する必要があります

このことの先例は、中世末期・近代初期に新興商工人たちがムラ社会・同職ギルドを打ち破ったという歴史的事象がまず一例として挙げられますが、なによりもアメリカ帝国主義の一極支配に対抗して奮闘する朝鮮民主主義人民共和国の反帝自主闘争がもっとも重要な実例になっていると考えます。朝鮮民主主義人民共和国は、アメリカ帝国主義の勢力圏の外からそれを打破する形で自主化運動を展開し、同志たちを結集させています。また朝鮮民主主義人民共和国は、かつてのコミンテルンのような「国際的中心」を置いてその「中心」の指導に平伏させるのではなく、それぞれの国・民族が平等・対等なネットワークを構成することで反帝闘争を展開しています。帝国内部における矛盾の拡大を指摘し、それを激化させることで帝国を内から食い破るという一種の工作活動も欠かせないとは思いますが、帝国を突き崩すためには、このような非常に峻烈な戦いの道が基本になるものと私は考えます。

ジャニーズ帝国が崩壊しつつある現在、このように戦いを組んでいけるのかが焦点になると考えます。

なお、「まずは移籍・転籍の活性化による自由化、次に自主管理・協同経営による民主化」という自主化のための「二段階革命論」と称したこともありました(チュチェ106・2017年8月17日づけ「ブラック企業問題は社会経済総体の問題であり、自主管理化の道こそが解決策」)が、最近は少し認識が変わってきていて、「どちらか一方でも欠くことはできないが、順番はそこまで拘らなくても良いかもしれない」と考えるに至っています。「二本柱」といった方が良いかもしれません。「二段階」と言うと順番の問題や、次の段階に移るタイミングが焦点になりがちですが、最終的には自由化と民主化を両立できれば、過程においては状況に応じて力点の置き方を変えてもよいのではないかと考えます。

■ジャニー喜多川の醜聞の後始末が「スターリン批判」と同じ方向に進みつつある
さて、本日の会見でジャニーズ事務所の今後の方向性が示されました。9月の会見時点では「ジャニーズ事務所」という社名が残る方向性でしたが、その後の批判を受けたのか、補償のみを行う会社は"SMILE−UP."に改名し、所属タレントとエージェント契約を結ぶ予定とされる新しい事業会社は今後公募で決定する予定の新名称をつけるといいます(「ジャニーズ2度目会見、何が変わった、分かった? 名称完全消滅、廃業、被害申し出478人…項目別まとめ」10/2(月) 16:38配信 スポニチアネックス)。

9月の会見で「ジャニーズ事務所」という社名を残すことについて、「ジャニーの名を残すというのは、『ヒトラー株式会社』『スターリン株式会社』といっているようなものだ」という批判が出てきました(「「ヒトラー株式会社やスターリン株式会社と同じだ」ジャニーズ名称存続で波紋」9/7(木) 15:38配信 中日スポーツ)が、奇しくもジャニー喜多川の醜聞の後始末が「スターリン批判」と同じ方向に進みつつあるように思えます

スターリン批判とは、ヨシフ・スターリンによる権力独占つまり独裁の体制下でスターリン個人をトップとしつつ組織的に行われた種々の犯罪事実がソ連共産党第20回大会で暴露・批判・否定されたものですが、種々の犯罪事実の原因をスターリン個人の人格に帰している色彩が強いと言わざるを得ないものであります。大会報告をしたニキータ・フルシチョフは、スターリン体制下での組織的犯罪の原因を「個人崇拝」という単語を連発することでスターリン個人に押し付け、その反省と称して集団指導体制(党第一書記、首相、最高会議議長の三役を三人で分担するトロイカ体制)を打ち出しましたが、当のフルシチョフ自身が前言を翻して党第一書記と首相を兼任して権力を再集中させたように、本質的な改革ではありませんでした。スターリングラード市・州をヴォルゴグラード市・州を改称したことなど、体制の刷新という点においては、ほとんど何の意味もないことです。「一個人が、ソビエトの党と国家組織の権力を独占し、それを自在に操ることができた」「上に立つ者を御する手立てがない」という統治機構の欠陥については巧みに言及が回避されたのであります。

なお、スターリン体制下で秘密警察長官を勤めたラヴレンチー・ベリヤは、まさに性犯罪者でしたが、スターリンのお友達という地位ゆえにその犯罪は黙認されたものでした。権力独占者、つまり独裁者が好き勝手やっていたという意味では、ジャニー喜多川の性加害問題と構造的に非常に近しいものがあると言わざるを得ません。

■新たな戦いを組んでいけるか?
ジャニー喜多川の性加害問題も、スターリン体制下でのスターリン個人をトップとしつつ組織的に行われた種々の犯罪事実と同様、結局のところ、「上に立つ者を御する手立てがない」という統治機構の欠陥が根源的問題であると考えます。そしてそれは、繰り返しになりますが、タレントのマネジメントを丸抱えしていることに起因する一事務所のテレビ局などに対する独占的地位の問題によるものと考えます。

依然としてジャニーズ事務所は巨大な芸能事務所であり、近く発足する新事業会社も巨大な芸能事務所になると思われます。ジャニー喜多川のような輩が二度と現れないためには、新事業会社を「財閥解体」しなければならないと考えますが、「ジャニーズ」という名前の問題や藤島ジュリー景子氏(ジュリー氏)の進退問題、甚だしくは「ジュリー氏の代表取締役残留は相続税逃れ」といった、しょーもない話ばかりが話題になっているのが我らが日本世論であります。まさに、「スターリングラードの名を残すか、それともヴォルゴグラードに改称するか」といったような些末な問題などでお茶を濁し、ソビエト体制の根本的問題点から論点をずらしたフルシチョフのスターリン批判と同じであると言わざるを得ません

新会社がマネジメント会社ではなくエージェント契約の会社に組織替えすることに過大な期待を持ってはならないと考えます。タレント個人やグループに対して新会社は巨大であり、その力関係は歴然としています。また、テレビ局等との関係においても、やはり「視聴率を取れるタレントとのコネクションをたくさん持っている」点において新会社は依然として有力な存在です。「エージェント契約においては、タレントは事務所に所属・束縛されず、事務所と対等な関係になれる。タレントの自由度が上がる」といった言説があるようですが、構造的には「大手運送会社と実際に配達する個人事業主」の関係と同じ。典型的なブルジョア的「対等」・「平等」談義。オリンピック選手と幼児を「同じスタートライン」に立たせて徒競走させることを「フェア・プレイ」だというようなものです。

繰り返しになりますが、反独占・自主化の戦いにおいて、自由化と民主化を二本柱として戦いを組んでいけるかが焦点になるものと考えます。

■日本世論は、ジャニー喜多川の性加害問題を「根源的には独占の問題である」と正しく認識できていないのでは?
ところで、芸能界における独占の問題といえば、のん(本名:能年玲奈)さんの問題も忘れるわけにはいきません。ジャニー喜多川のおぞましさに比べればのんさんの問題は「まだマシ」ですが、同じ構造の問題であります。にもかかわらず、依然としてのんさんの問題にスポットライトが当たっているとは言い難いところです。

この点、「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏が鋭い指摘をしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cdada21006aa85d2e426e7c0acb562986970a8c2
ひろゆき氏「反撃してくる相手がいないから言いたい放題だ」ジャニーズが性加害を謝罪…会見でも指摘された“忖度が蔓延る日本”の現実とは
9/11(月) 9:39配信
ABEMA TIMES

(中略)
ひろゆき:今怒っている人たちは、ジャニーさんが言い返してこないから、言いたい放題。例えば、能年玲奈さんは、本名なのに能年玲奈という名前で活動ができない。ほかにもテレビに出られない人もいる。今も他の事務所で起きている。だけど、ジャニーズだけを叩いている。他の事務所で起きているような問題に口に出さない人は、ジャニーズの問題をずっと黙っていた人たちと一緒だ。構造自体は変わっていない。要は、叩き返してくる相手がいないのだったら言ってもいいという。
(以下略)
結局、日本世論は、ジャニー喜多川の性加害問題を「根源的には独占の問題である」と正しく認識できていないのではないでしょうか?
posted by 管理者 at 00:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする