朝ロ間の包括的かつ戦略的なパートナーシップに関する条約■反帝自主闘争の歴史に新たな一ページが刻まれた
2024年06月20日 17:48
対外・国際
朝鮮中央通信によると、金正恩総書記とロシアのウラジーミル・V・プーチン大統領が6月19日、「朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間の包括的かつ戦略的なパートナーシップに関する条約」にサインした。
条約によると、双方は、自国の法と国際的義務を考慮して、国家主権に対する相互尊重と領土の不可侵、内政不干渉、平等の原則、そして国家間の友好関係および協力に関連するその他の国際法的原則に基づいた包括的かつ戦略的なパートナーシップを恒久的に維持し、発展させる。
双方は、最高位級会談をはじめとする対話と協商を通じて二国間関係問題と相互関心事となる国際問題に対する意見を交換し、国際舞台で共同歩調と協力を強化する。
双方は、全地球的な戦略的安定と公正で平等な新しい国際秩序の樹立を志向し、互いに緊密な意思疎通を維持し、戦略的・戦術的協同を強化する。
双方のうち、一方に対する武力侵略行為が強行されうる直接的な脅威が生じる場合、双方は一方の要求に従って互いの立場を調律し、当面の脅威を除去することに協力を相互提供するための可能な実践的措置に対して合意する目的で二国間協商ルートを遅滞なく稼働させる。
双方のうち、一方が個別的な国家、または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態に瀕する場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて遅滞なく自国が保有している全ての手段で軍事的およびその他の援助を提供する。
(中略)
双方は、戦争を防止し、地域的および国際的平和と安全を保障するための防衛能力を強化する目的の下、共同措置を取るための制度を設ける。
双方は、相互貿易量を増やすために努力し、税関、財政・金融などの分野においての経済協力に有利な条件を整え、1996年11月28日に採択された朝鮮民主主義人民共和国政府とロシア連邦政府間の投資奨励および相互保護に関する協定に従って相互投資を奨励し、保護する。
双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の特別、または自由経済地帯とそのような地帯に関与した団体に協力を提供する。
双方は、宇宙、生物、平和的原子力、人工知能、情報技術など各分野を含んで科学技術分野において交流と協力を発展させ、共同研究を積極的に奨励する。
双方は、総合的な二国間関係の拡大における特別な重要性から出発して相互関心事となる分野での地域間および辺境協力・発展を支持する。
双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の地域間の直接的な連携の樹立に有利な条件を整え、企業フォーラム、討論会、展示会、商品展覧会をはじめとする地域間の共同行事を行う方法などで地域の経済および投資潜在力に対する相互理解を促進する。
双方は、農業、教育、保健、スポーツ、文化、観光などの分野における交流と協力を強化し、環境保護、自然災害防止および悪結果の除去分野で相互協力する。
(以下略)
ロシアのプーチン大統領がピョンヤンを訪問し、キム・ジョンウン同志と会談。歴史的な朝ロ包括的戦略的パートナーシップ条約が締結されました。反帝自主闘争の歴史に新たな一ページが刻まれた画期的出来事であると考えます。
プーチン大統領の訪朝に先立ち、6月18日づけ『労働新聞』は、1面上段掲載の社説(《《로동신문》사설 《로씨야련방 대통령 울라지미르 뿌찐동지를 열렬히 환영한다》》 2024년 06월 18일 09:14)で《조로인민의 선린우호관계는 공동의 원쑤를 격멸하는 투쟁과정에 전투적우의와 혈연의 뉴대로 굳게 맺어진 두 나라 혁명선렬들의 단결과 협조에 그 력사적뿌리를 두고있다.》としつつ《조로 두 나라는 주권적권리와 안전환경을 엄중히 위협하고 해치려는 미국과 그 추종세력들의 무분별한 책동에 대처하여 자위력강화에 힘을 넣으면서 협력과 의사소통, 전투적련대성을 강화하고있다.두 나라의 굳건한 단결력에 의해 세계제패를 노린 적대세력들의 악랄한 책동들은 강력히 억제당하고있다.》とした上で《두 나라 인민들사이의 깊어지는 친선과 동지적관계는 국제평화와 안전을 수호하고 다극화된 새 세계건설을 다그치는데서 믿음직한 전략적보루로, 견인기로 되고있다.》とか《우리 인민은 자주와 국제적정의를 수호하는 공동전선에서 로씨야인민과 같은 미더운 전우, 동지와 어깨겯고 싸우는것을 긍지로 여기고있다.》と指摘していました。
また1面下段ではプーチン大統領の談話が掲載(《로씨야와 조선:년대를 이어가는 친선과 협조의 전통/뿌찐대통령이 조선방문을 앞두고 글을 발표》 2024년 06월 18일 06:26)。ここでプーチン大統領は《또한 우리는 국제관계를 더욱 민주주의적이고 안정적인 관계로 만들기 위하여 밀접하게 협조할 용의가 있습니다.이를 위하여 우리는 서방의 통제를 받지 않는 무역 및 호상결제체계를 발전시키고 일방적인 비합법적제한조치들을 공동으로 반대해나갈것입니다.또한 이와 함께 유라시아에서 평등하고 불가분리적인 안전구조를 건설해나갈것입니다.》としています。共和国を持ち上げているのだとは思いますが、《우리는 조선민주주의인민공화국 인민들이 어떤 힘과 존엄,용감성을 지니고 자기의 자유와 자주권,민족적전통들을 지켜 싸우는가를 보고있습니다.》とも述べています。
ここで是非とも注目したいのはプーチン大統領の《서방의 통제를 받지 않는 무역 및 호상결제체계를 발전시키고 일방적인 비합법적제한조치들을 공동으로 반대해나갈것입니다.》(西側の統制を受けない貿易および相互決済システムを発展させ、一方的な非合法的な制限措置に共同で反対していきます)という発言です。
アメリカ帝国が世界最強でいられるのは、自国通貨であるドルが国際決済で広く使われている点に一つの要因があります。しかし、アメリカ一強体制は、自然発生的ながら確実に崩れつつあります。
たとえば、ひと昔前であればアメリカがその気になれば他国の経済基盤破壊など赤子の手を捻るが如きことだったのに、いまやロシア一国をも窒息させることはできていません。ロシアがウクライナに侵攻しアメリカを中心とする西側諸国が金融封鎖をした直後、日本メディアは「金融制裁によってロシアでインフレが止まらない! 庶民生活崩壊! ロシア経済崩壊!!」という画を撮ろうとロシア国内のスーパーマーケットなどを駆け回りましたが、結局、いい題材は見つからずじまい。いまも「アイツは死後きっと地獄に落ちるに違いない」と大して変わらないレベルの「長期的にはロシア経済は・・・」という「分析」が精々のものになっています(経済学的な意味での長期なんて、様々な要素が移ろい変わっていくんだから、今の時点では何とも言えないでしょうに)。
また先般、ウクライナのゼレンスキー大統領が提唱する「平和の公式」に沿った「平和サミット」がスイスで開催されましたが非常にお寒い結果に終わりました。共同声明の採択を優先するために内容を絞ったにもかかわらず、それでも共同声明を支持しない国が続出したからです。いわゆるグローバル・サウスの国々を中心に、米欧側でもなくロシア側でもない国が相当数あります。これらの国々は、豊かな天然資源や農業生産力、工業生産力を基盤とするロシアとの関係性も重視しているとされます。依然としてアメリカは国際金融の覇権を握っているが、それはかつてのような絶対的な強みではなくなっているのです。
プーチン大統領による今回の談話の当該部分は、アメリカ一強が自然発生的ながらも確実に崩れつつある中で、アメリカが持つ権力の源泉を突き崩さんとする目的意識的な宣言であると位置づけることができます。そしてそれは、豊かな天然資源や農業生産力そして工業生産力に依拠することで国際金融における覇権を握るアメリカの金融封鎖の中でも窒息していないロシアの現況を見るに、決して実現可能性のない願望ではありません。
今回、朝ロ両国が締結した画期的な条約は、安全保障上の協力だけでなく金融・経済上の協力についても盛り込まれています。アメリカの国際金融覇権を突き崩すことは一筋縄ではいかない難題であり過度な楽観視は厳に慎まなければなりませんが、しかしいま、世界は時代の転換点に来ていると言えると考えます。
このように考えたとき、今般の朝ロ両国の接近が西側帝国主義諸国という共通の敵との闘争構図の中に位置づけられるもの、つまり、反帝自主闘争の歴史の新たな一ページであることがよく分かるかと思います。正に《조로관계는 변화된 환경에 맞게 확실한 정치적, 법적담보를 가지고 새로운 발전궤도에 올라설수 있게 되였다.》というわけです。
■朝ロ接近の衝撃を何とか矮小化しようとしている?
朝ロ包括的戦略的パートナーシップ条約に関する反応を幾つか見ておきましょう。
分析と集約に時間が掛かってしまったので元記事が削除されてしまったのですが、朝鮮半島情勢について色々口をはさむ割には、あまり朝鮮のことを分かっていない山口亮・東京大学先端科学技術研究センター特任助教(防衛政策専門)の言説をまず取り上げましょう。彼のYahooの個人ページからアクセスしてください。
https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/yamaguchiryo
山口亮「この「包括的戦略パートナシップ」は同盟に近いものではあるが、日米・米韓同盟ほど深く密接したものではない」とする彼の言説は、おそらく駐日アメリカ大使こと日本総督であるラーム・エマニュエル氏が昨冬語った「お言葉」を踏まえてのものでしょう。彼は近頃、総督様の発言を踏まえて優等生っぷりをアピールしつつ、あちこちでこのような発言を繰り返して溜飲を下げているようですが、それだけ朝ロの接近を内心では苦々しく思っているのでしょう。
6/20(木) 7:28
補足
この「包括的戦略パートナシップ」は同盟に近いものではあるが、日米・米韓同盟ほど深く密接したものではない。安全保障の面においても、朝露は相互を「支援」するとのことだが、実際にどこまで体を張ってお互いを「守る」かは不明であり、軍事技術においても、本記事の通り「可能性」に留めている。このため、この「包括的戦略パートナーシップ」はどちらかというと、お互いを都合よく、打算的に利用する関係を約束したものである。
エマニュエル発言について当ブログは昨年12月8日づけ「日本「国」が精神的に独立した大人にならない限り、そして韓「国」が事大主義精神から脱しない限り、アメリカの思想的覇権が揺らぐことはないだろう」で批判したところです。すなわち、「対等な独立国家どうしなのだから当たり前」。むしろ、状況に合わせて合従連衡できるということは、それだけ自国が自主的であり独立的である証拠だとさえ言えると考えます。
「安全保障の面においても、朝露は相互を「支援」するとのことだが、実際にどこまで体を張ってお互いを「守る」かは不明」という主張については、元帥様がかつて言明されたとおり、共和国にとっての主敵は「特定の国家や勢力ではなく戦争そのもの」であります(「金正恩氏が演説「主敵は戦争そのもの」 国防力強化を正当化」2021年10月12日 13時30分)。今回の条約は、かつての朝ソ友好協力相互援助条約と似た条文だとされますが、山口氏が言うとおり実際の運用がどうなるのかはまだ分かりません。朝ソ条約のような強固な条約になるのか否かは現時点ではわかりません。しかし、いま申し上げた観点から言えば、西側諸国をして「内実はよく分からないが脅威になりうる、何だか不気味なもの」と思わしめるだけでも十分な効果があるのです。
山口氏のコメントからは、朝ロ接近の衝撃を何とか矮小化しようという意図を見て取ることができます。
■もっと反省が必要なのではないか――朝中ロ同盟の日も遠くない?
そんなことより、よりによってロシアと「北朝鮮」との接近を許してしまったことについて山口氏の立場からは猛省が必要なのではないでしょうか。
日本にとって朝ロ両国はいずれも仮想敵国ですが、それこそ山口氏が強調しているように必ずしも常に利害関係が一致している間柄ではありません。敵は必ず分割・分断して敵同士の連携を許さない――これは基本中の基本であるはず。朝ロ接近に楔を打つ程度にロシアとの独自の関係を築いておくべきだったところ、アメリカに盲従してロシアを完全なる敵としてしまった日本。グローバル・サウスの国々がいまそうしているように「ロシアのウクライナ侵攻自体は許容できず非難するが米欧諸国とも一線を画す」という独自のしたたかさが日本外交には必要でした。
いまガザ情勢を巡り国際社会の非難の声をよそにイスラエル全面支持の姿勢を鮮明にしているアメリカに対して、日本はそれとは一線を画す独自の立場を取っています。やればできるのです。ガザ情勢で発揮できた勇気をウクライナ情勢では発揮できなかったことが今日の事態を招いたわけです。
差し詰め、「今日のウクライナは、明日の台湾・沖縄」などとして対中国を念頭に置きすぎた、中国への対抗ばかりに気を取られていたがために朝ロ両国の接近を食い止めることができなかったのでしょう。「今日のウクライナは、明日の台湾・沖縄」というスローガンは、「ロシアのウクライナへの軍事的侵攻を許さない国際世論を醸成することが中国の台湾・沖縄への武力行使を防ぐためにも大切だ」という見立てに基づき、ロシアと徹底的に対決することで中国に対する「見せしめ」にすること意図していたのでしょうが、ロシアの国際的地位をナメていたと言わざるを得ません。
先般の「平和サミット」のお寒い結果が示しているとおり、国際社会は日本や米欧諸国の予想・期待に反する対応を見せています。日本や米欧諸国などがロシアを除け者にしても、それに追随する国は少数派であるわけです。こうした展開を先読みできなかったのがそもそもの間違いの発端でした。
そして、久しい以前からネット上ではロシアを「大きな北朝鮮」と揶揄する言説が散見されていますが、排除の論理で接すれば「大きな北朝鮮」と「小さな北朝鮮」が接近して「二つの北朝鮮」が生まれるのは容易に想像できるはずであるところ、外交の本番舞台で日本政府は、ネット世論のような対応をしてしまったわけです。
こうして日本政府は、ロシアの国際的地位をナメ、彼の国を「向こう側」に排除した結果、本来であれば分割・分断して連携させてはならない仮想敵国同士が強力なタッグを組むという最悪の展開を自ら引き起こしたわけです。
なお、「大きな北朝鮮」は中国を指すこともあります。このまま無反省であれば、「三つ目の北朝鮮」ができて日本が朝中ロ同盟に頭を抱える日もそう遠くはないかもしれません。
■朝ロ同盟はアメリカとその追随者たちによる自国侵略を防ぐための共同戦線
続いて大韓民国紙『中央日報』の記事から。アンドレイ・ランコフ氏の筆であるようです。
https://news.livedoor.com/article/detail/26654765/
プーチン訪朝が歴史の転換点? 2018年「韓半島の春」のように忘れられるだろうプエブロ号事件が発生した当時と現在とでは、まったく事情が異なるでしょう。
2024年6月23日 13時3分 中央日報
(中略)
筆者はこのような「画期的な変化」をもたらすと主張した事件を4〜5年ごとに1回ずつ見ているが、その中で長期的な結果を残した事件はひとつもない。最近の事例は2018年の「韓半島の春」(同年の南北首脳会談などの交流)だ。当時ソウルで韓半島はこれから永遠に違う道に進むという予測があふれた。しかしいま「韓半島の春」は忘れられてしまった。筆者が見るに、今回のプーチン氏の平壌(ピョンヤン)訪問も同様の事件、すなわちその時はとても騒がしいが数年以内に結果は特になく忘れられる事件だ。なぜそうなのか。
まず朝ロ双方は新しい条約で、侵略される場合に相互支援をするという条項を追加した。これは軍事同盟の復活だが特に新しいものではない。1961年に締結された朝ソ条約で同じ条項がすでにあったが、韓半島の状況に多くの影響を及ぼすことはできなかった。興味深いことに1968年のプエブロ号拉致事件当時、ソ連の外交官らは韓半島で戦争が勃発するならばソ連に参戦する義務はないという根拠を探した。外交官らはこの危機が北朝鮮の一方的行動のために起きたことを強調するならば危機に巻き込まれるのを回避できるという案を上部に報告した。
いまも似た状況ではないだろうか。核保有国になった北朝鮮を攻撃できる国は世界にひとつもない。反対に北朝鮮が隣国に対する侵略を敢行するならばロシアは状況によって支援することもでき支援できないこともある。北朝鮮を軍事的に支援する決定の有無は条約の内容と特に関係はない。こうした条項がなくてもロシアは自身の戦略のために北朝鮮が敢行する侵攻を支持すると決めるならば条約と関係なく北朝鮮を支援するためだ。
(以下略)
プエブロ号事件発生当時、朝ソの温度差はあまりにも明らかでした。
当時、共和国は祖国統一を熱望し武力によることも辞さない覚悟を示していました。何といっても分断国家としての兄弟国であるベトナム民主共和国(北ベトナム)が、ますます激しくなるベトナム戦争において英雄的な戦いを展開していた時期。当時首領様は、「失うものは軍事分界線、得るものは統一」と仰っていました。
他方、ソ連にとっては当時はキューバ危機を辛くも回避してデタントの流れの真っ最中。ソ連にとっては偶発的に発生したプエブロ号事件がデタントの流れに水を差すことを望んではいませんでした。
これに対して現在、朝ロ両国とも戦争はまったく望んでいません。
共和国について言えば、上述のとおり「主敵は戦争そのもの」であります。今年に入ってからは、祖国統一に関連する語句を禁句化したり、「南朝鮮」ではなく「大韓民国」と呼称することで38度線以南を彼岸化したりすることで、赤化統一への無関心を表明しています。確かに先に元帥様は「朝鮮半島で戦争が起こる場合には、大韓民国を完全に占領、平定、収復し、共和国領域に編入させる」と仰っていました。しかしそれは、あくまでも「米国と南朝鮮の連中が、もしあくまでもわれわれとの軍事的対決をもくろもうとするなら、われわれの核戦争抑止力は躊躇(ちゅうちょ)せず重大な行動に移ると厳かに宣言する」という前提つきのもの(「朝鮮労働党中央委員会第8期第9回総会拡大会議に関する報道」2024年01月01日 08:29)。アメリカとその追随者たちが余計なことをしなければ現状が維持されるのです。
ロシアについて言えば、NATO加盟諸国との全面戦争に発展しないよう行動には細心の注意を払っています。もともと、今般のウクライナ侵攻の動機として彼は「NATOが軍備をさらに拡大し、ウクライナの領土を軍事的に開発し始めることは、私たちにとって受け入れがたい」と述べていたところ(「【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った?」2022年3月4日 18時25分)。「果たしてウクライナはロシアの縄張りなのか?」という根本的な問い(「特別軍事作戦」と称する今回の侵攻の正統性を根本から問うことになるので、ここでは論じません)は措いておくとして、これ以上の事態の拡大は望んでいないものと思われます。
このように、プエブロ号事件発生当時の朝ソ両国の事情と現代の朝ロ両国の事情には大きな違いがあります。現在、朝ロ両国は「アメリカは寄るな来るな」という点において思いは一緒です。記事は、「核保有国になった北朝鮮を攻撃できる国は世界にひとつもない」としていますが、ならばB1やB2といった戦略爆撃機まで動員したり「斬首作戦」に投入されると言われる特殊部隊をも動員したりする米韓合同軍事演習は、いったい誰を標的としているのでしょうか?
このように考えると、今回確立された朝ロ両国の同盟関係は、アメリカとその追随者たちによる自国侵略を防ぐための共同戦線であると言えるでしょう。
■世界は大韓民国中心に回っている?
記事は続いて次のように主張しています。
2番目に繰り返される話はロシアが北朝鮮に軍事技術を移転することにより韓半島で戦略的なバランスを破壊しかねないという主張だ。ロシアが北朝鮮に最新軍事技術を移転するのは完全に不可能なことではないが、可能性はそれほど高くない。基本的な理由はロシアの国益だ。ボストチヌイ宇宙基地への元帥様招待に、大韓民国のウクライナへの兵器支援に対する牽制球としての意味合いは勿論あったでしょう。しかし、それは決して主たる目的だったとは言えないでしょう。両国とも公式には否定していますが、やはり、数百万発とも言われる大量の砲弾をロシアはどうしても欲しかったのが主たる動機でしょう。
(中略)
ロシアが昨年、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を宇宙センターに招待しミサイル技術移転の可能性を暗示したのは事実だ。このようにした理由は何より韓国に対する外交圧力手段だった。当時ロシアは韓国が対ウクライナ殺傷武器支援を開始するならばロシアも報復措置としてミサイル技術を北朝鮮にわたすことを暗示した。しかし韓国がウクライナに殺傷武器支援をしないため、ロシアがこうした報復措置をする必要があるようにはみえない。
(以下略)
ウクライナ情勢において大韓民国は完全に脇役です。自分たち(大韓民国)中心で世界が回っているわけではありません。
■自分たちがブチ壊したのにこの言い草
記事のタイトルである「2018年「韓半島の春」のように忘れられるだろう」についても一言。
そもそも「韓半島の春」なるものは、過日にキム・ヨジョン同志が指摘したとおり、まったくそんなつもりのない大韓民国当局が「融和」を演出して共和国を油断させようとした非常に狡猾な謀略でした。自分たちがブチ壊したのに「2018年「韓半島の春」のように忘れられるだろう」という言い草には本当に驚きを禁じ得ません。