2024年08月22日

カマラ・ハリスが共産主義者ですって?

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240819/k10014552371000.html
ハリス副大統領 民主党大会を前に激戦ペンシルベニア州で演説
2024年8月19日 7時07分

(中略)
激戦州のペンシルベニア州では、返り咲きを目指すトランプ前大統領も前日の17日、集会を開きました。

このなかで、16日にハリス副大統領が発表した、住宅や食品などの価格引き下げに向けた新たな政策について「ハリス氏は大統領になった初日に価格を下げると言ったが、彼女の初日は3年半前だ。なぜそのときやらなかったのか。いますぐにもできるはずだ」と述べ、いまの政権で副大統領の立場にいるのに政策を実行していないと批判しました。

そのうえで「破滅的なインフレを引き起こしたあと、ハリス氏は社会主義的な価格統制を行うと発表した。ハリス氏は完全な共産主義者になった。私たちの国を破壊したがっている。あと4年、ハリス氏が政権を担ったら国の財政は2度と回復しない。悪化するだけだ」と訴えました。
トランプ氏がいう「ハリス氏は社会主義的な価格統制を行うと発表した」というのは、「米 ハリス副大統領 新たな政策発表 “物価引き下げ 最優先に”」(2024年8月17日 8時16分)の「また食品をめぐっては、価格をつり上げて不当な利益をあげた企業に罰則を科すことを盛り込んだ、初めての連邦法を制定するとしています」を指しているものと思われますが、「ハリス氏は完全な共産主義者になった」というのは、とんでもない見当違いです! 偉大な共産主義者であるキム・イルソン同志は次のように指摘なさっています。
人民の需要をみたせない商品は、たとえ国家が唯一的に価格を制定したとしても、闇取引されたり、農民市場で又売りされるということを忘れてはなりません。商店の品物を買いだめしておいて、他人が急に必要になって求めるときに高値で売りつけるような現象があらわれるようになるのです。たまごの販売の問題を例にとってみましょう。現在、平壌をはじめ、各地に養鶏工場を建設してたまごを生産していますが、まだ人民に十分供給できるほどではありません。そういうわけで、たまごも国定価格と農民市場価格とのあいだに差が生ずることになるのですが、これを悪用して又売りする現象があらわれています。もちろん、だからといって、たまごをいくつか又売りした人を罪人扱いにして教化所に送るわけにもいかず、ほかの方法で統制するとしても、販売量を調節するといったようないくつかの実務的対策を立てること以外に方法はありません。もちろん、こうした対策もとらなければなりませんが、そんな対策では商品が一部の人たちに集中する現象をある程度調整できるだけで、それが農民市場で又売りされたり、闇取引される現象を根本的になくすことは決してできません。この問題を解決するためには、品物を多く生産しなければなりません。産卵養鶏工場をより多く建設し、人民の需要をみたすほど大量に生産するならば、たまごの闇取引はなくなるであろうし、農民市場で売買されることもおのずとなくなるようになるでしょう。
キム・イルソン「社会主義経済のいくつかの理論的問題について」、『金日成著作集』第23巻、外国文出版社(朝鮮)、1985年、p488〜489。

人民の需要を満たせない商品を高値で転売する現象を取り締まりで根本的になくすことはできない、根本的解決のためには供給量を増やすほかにないと指摘なさる偉大な共産主義者である我が首領様。完全に正しい指摘です。

ハリス氏がどこまで具体的に詰めてから公約として口にしたのかは判然としません(まさか口から出任せ?)が、ハリス氏は決して共産主義者ではなく、「転売ヤー」叩きの言説の如き点において「ヤフコメレベル」というべきでしょう。
ラベル:経済 経済学
posted by 管理者 at 21:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする

2024年08月08日

今や落ち目の西欧諸国6か国だけ

https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20240807/5030021552.html
日本を除くG7各国とEUの大使ら 長崎市長に懸念の書簡
08月07日 17時23分

9日の長崎原爆の日に行われる平和祈念式典に長崎市が、イスラエルを招かないことについて、日本を除くG7各国とEUの大使らが連名で懸念を示す書簡を市長に送っていたことが明らかになりました。

書簡は先月19日付けで、G7=主要7か国のうち、日本を除くアメリカやイギリスなど6か国とEU=ヨーロッパ連合の東京に駐在する大使らの連名で長崎市の鈴木市長に送られました。

それによりますと大使らは、長崎市から平和祈念式典への招待を受けたとしたうえで「イスラエルを式典に招待しないことは、イスラエルを式典に招かれていないロシアやベラルーシのような国と同列に扱うことになり、不幸で誤解を招く」として、懸念を示しています。

(以下略)
イスラエルを式典に招かれていないロシアやベラルーシのような国と同列に扱うことにな」る。そのとおり。そうだからこそ、米欧諸国としては、自分たちが描き上げてきた構図と不整合が生ずるので何とかしてイスラエル不招待を止めさせたい、さもなければ「こちらから願い下げ」とばかりに欠席するぞと脅かすしかないのでしょう。

https://www.asahi.com/articles/ASS8815JNS88DIFI013M.html
ドイツ献花、イタリアは欠席 長崎市に電話「賛同が多い」
社会タイムライン
2024年8月8日 21時43分

(中略)
市役所に励ましや批判の電話多数
 長崎市で9日に行われる平和祈念式典にイスラエルが招待されなかったことを受け、米英の駐日大使らが式典の欠席を決めたことについて、長崎市役所に、応援する声や批判する声などが電話やメールで多数寄せられている。

 市原爆被爆対策部調査課によると、7日夕、主要6カ国と欧州連合(EU)が長崎市に対し、イスラエルを招待国から除外したら「我々もハイレベル(高官)の参加が難しくなる」と書簡を送っていたことなどが報じられると、市役所に電話やメールが殺到。8日も電話が鳴りやまない状態となっている。

 内容としては、「市の決定にお礼を言いたい」「負けないでほしい」といった応援や励ましの声と、「なぜイスラエルをロシアと同列に扱い招待しないのか」という批判の声があるという。件数は数えていないが、担当者は「体感としては賛同する声の方が多い」と話す。

(以下略)
厳密な世論調査の結果ではないので参考程度に留める必要がありますが、「賛同する声の方が多い」とのこと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/628a81c08c433e73f0c97e432240ee2b3cf19905
長崎市での平和祈念式典、6か国の駐日大使が出席見合わせへ…イスラエルの不招待理由に
8/8(木) 1:00配信
読売新聞オンライン

 長崎原爆の日(9日)の平和祈念式典を巡り、先進7か国(G7)のうち、日本を除く米英独仏伊とカナダの6か国の駐日大使が式典への出席を見合わせることがわかった。長崎市はイスラエルの不招待を決めており、6か国は読売新聞の取材に、いずれもイスラエルの不招待を理由に挙げた。参事官や領事などが出席するという。

(以下略)
当ブログは「多数派だから正しい」とか「少数派だから間違っている」などとは必ずしも言えないと考えますが、ロシアのウクライナ侵攻を巡るここ2年半あまりの報道によると「志と行動を同じくする国の数」が正統性にとって重要な要素になるそうです。「ロシアを非難する決議にxxカ国が賛成! ロシアの国際社会での孤立が際立っている!!」というセリフを何度聞かされてきたことか・・・

その線で考えると、駐日大使の式典参加を取りやめたのは、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダといった西欧のわずか6か国。今回式典に招待された約100か国のうち、大使級人士が出席する予定になっている国はそれほど多くはないものの、イスラエルの式典招待問題で何らかのアクションを取ると言明しそれが報じられた国は、この6か国だけ。いずれも今や落ち目の西欧諸国。

当ブログは、「イスラエルの式典招待問題で何らかのアクションを取ると言明しそれが報じられた国は、いずれも今や落ち目の西欧諸国6か国だけ」という点を強調したいと思います。
ラベル:国際「秩序」
posted by 管理者 at 22:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする