>>> アングル:「アベノミクス」による円安が加速、日本のバーゲンセールを警戒記事中、「スタグフレーション」という単語が出てきますが、今のアベノミクスには、マトモなサプライサイダーが居ないような気がしてなりません。やっと出てきたかと思ったら竹中平蔵氏ですし。。。目新しい期待の経済政策のようで実は、旧態依然の原始ケインズ主義と小泉路線の支離滅裂な継ぎはぎに見えます。
2013年 01月 11日 17:58 JST
[東京 11日 ロイター] 「アベノミクス」を拠り所とする円安が止まらない。デフレ脱却を最優先課題とし大胆な金融緩和を求める安倍政権の前のめりな姿勢を手掛かりに投機筋は円売りを加速。ドルは一時89.35円と2年半ぶり高値をつけた。
だが、円安は日本の資産価格も押し下げる。経済成長を伴わない円安とインフレは、海外勢にとっては日本資産の「バーゲンセール」を招きかねないとの警戒感も出ている。
<過剰な金融政策への期待>
現在、日本資産を保有している海外勢にとって円安は保有資産の目減りを意味するが、これから買おうとしている場合には、円安はどんどん価格を下げてくれることになる。海外勢の日本株買いに沸くマーケットだが、「円安は日本の資産価格を押し下げ、海外勢にとって日本のバーゲンセールが始まったことを意味する」(東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏)と警戒する声も少なくない。
日本のGDP(国内総生産)の約13%を占める輸出型企業にとって円安は恩恵だが、残りの87%にとっては原油高、商品高などコスト増につながる。円安政策を進める安倍政権は国内の13%に配慮して政策運営をしているともいえ、マーケットからは「安倍政権は円安になれば全ての問題が解決するという誤った確信のもとに政策を組んでいる」(国内機関投資家)との批判も出ている。
安倍政権では、金融政策に過剰とも言える期待が目立つ。安倍晋三首相は11日午前、緊急経済対策の決定を受けて記者会見し、「長引くデフレ・円高からの脱却が決定的に重要だ」と指摘。金融政策について「デフレ・円高脱却には、政府・日銀の連携による大胆な金融政策が不可欠だ」と述べ、日銀に金融政策での対応を求めた。
しかし、名目金利がゼロ近辺にまで低下するなか、金融政策に景気を後押しする力はほとんど残っていないとの見方も多い。「金融政策には、ブレーキコントロール(景気過熱の制御)の機能は備わっているが、アクセルをふかす機能はない」(斎藤氏)。
需要を掘り起こすのは本来、財政政策の役割だが、この日決定された緊急経済対策は旧態依然とした公共事業が目立った。過去20年の日本では、公共事業に傾斜した景気対策は一時的に景気を押し上げるものの、一時的な景気回復による税収増では借金をカバーしきれないため、結果として将来に負担を残してきた。
需要が乏しいなかで、積極的な金融緩和を実施しても、供給されたマネーが実体経済をけん引する「生きガネ」にはならず、「金融村と債務を発行する財務省の間でぐるぐる回るだけの構造は、日本のみならず欧米諸国も直面する問題だ」とマーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は述べる。
<モメンタムだけの円安>
過去1年半の間ドル/円はほぼ70円台後半の狭い値幅で推移し、「いわば手垢がついていない通貨ペアだった」と亀井氏は振り返る。だが、日本の総選挙やFOMC議事録など「(円安を構成する」ジグゾーパズルのピースが集まったことで投機の対象として躍り出て、実需を伴わない、モメンタムだけの円安が進行している」という。
こうした円安トレンドは少なからぬ参加者から、調整があってしかるべきと見られているが、これまではほぼ一本調子の基調が続いており、「円売りの潮流にに乗らないと損をする」(外銀)状況が継続している。
ただ、為替はあくまで2カ国通貨の相対的なレートだ。2期目に入ったオバマ政権は輸出促進政策を引き続き掲げるとみられており、日本が今後も円安政策を基軸に据えた政策を続ければ、国際舞台でも批判を浴びかねない。日銀が無謀なアセット拡大を進めれば、国内外で証券バブルを助長し、資産インフレのリスクを拡大するという副作用が出る可能性もある。
日銀は21、22日に開く金融政策決定会合で物価目標を1%から2%に引き上げるとともに追加の金融緩和措置を検討する見通しだが、その後、米国の財政の崖や米国債の格下げ問題などが浮上すれば、「今月末から来月にかけて、材料出尽くしで調整する可能性がある」(亀井氏)という。
<インフレは善か>
デフレ脱却を最優先課題に掲げる安倍政権では物価上昇が「善」であるとの認識がまかり通っているようにみえる。
しかし、「インフレで実質的なメリットを受けるのは債務返済負担が軽減する政府と借金のある企業だけだ。一般国民にとってのインフレは、政府への所得移転を表し、増税と同じ効果をもたらす」と前出の斎藤氏は警鐘を鳴らす。
景気拡大の結果として物価が上昇するのであれば問題ないが、経済が良くならずに物価だけが上昇すればスタグフレーションのリスクも高まる。
「初めから物価上昇率だけを目標にするのはスタグフレーションになっても良いということで本末転倒だ。さらに、物価押し上げの道具として為替レート(円安)を使うのだとすれば、ボタンの掛け違いも甚く、危険を伴う政策である」(機関投資家)と、「アベノミクス」を一見歓迎しているようにみえる市場でも警戒感を示す参加者は少なくない。
(ロイターニュース 森佳子 編集:伊賀大記) <<<
もちろん、サプライサイドだけを改善すれば良いわけではありません。デマンドサイドのテコ入れも必要です。経済政策、とくに「デマンドサイドかサプライサイドか」という問いはナンセンスだと思います。デマンドサイド、サプライサイド両方あって初めて「マーシャルのハサミ」なんですから。「どちらか」ではなく「どちらも」なんです。
結局のところ、教科書に載っているようなIS−LM分析をなぞったような経済政策がどこまで上手く行くのか。。。いやまあ、教科書に載っているくらいなんですから全くの無意味だとは思いませんが、長期的な有効性には疑問符をつけざるを得ません。
ところで、サプライサイドで思い出しましたが、どうもサプライサイド・エコノミクスって不人気ですよね。高校公民レベルでは「大失敗」みたいな書かれ方していますし。でも、よくよく調べてみると、「大成功」とはいえないまでも、あんなに悪魔祓いみたいな扱いを受けなくても、、、と気の毒に思います。わたしは、こんなんでも一応、経済学を幾らか勉強してきましたが、サプライサイドについては評判悪かったですねえ、、、「ラッファー・カーブには学問的根拠がほとんどない」っていうようなことばかりが強調されて、あたかも全部が全部インチキみたいな扱いでした。まあ、教員によるのかもしれませんが。
だいたい、「福祉国家」でその名を轟かせているスウェーデンだって、経済政策は徹底したサプライサイド・エコノミクスですからね。ただし、スウェーデンの場合は、サプライサイドへのテコ入れに続き、デマンドサイドへのテコ入れを忘れなかったわけですが(ここで大切なのは、テコ入れの順番がサプライサイド⇒デマンドサイドだった点。決して逆ではなかったわけです)。以下、参考。
シンポジウム 『強い経済と社会保障をどう両立するのか−スウェーデンの「改革」に学ぶ−』
変遷するスウェーデン・モデルと雇用(統一論題:地域産業と雇用開発)(労務理論学会第9回全国大会)
もちろん、無邪気にマンセーはできないと思います。スウェーデンはスウェーデンで、やはり限界があるからです。しかし、かといって何も無視することはないでしょう。もしかすると、昨日の記事でいうところの「“偏情”状態」なのかもしれませんね。確かに、知り合いの某左翼政党関係者が得意になって「北欧の福祉国家はすばらしい!」と折伏、、、じゃなくて「啓蒙」してくださるもんだから、スウェーデンのサプライサイド・エコノミクスっぷりについて「意見具申」してみたら、急におとなしくなった記憶がありますwww
関連(総括)記事:チュチェ102(2013)年7月10日『アベノミクスと規制改革』