>>> ワタミ会長、「ブラック企業」と呼ばれることに反論数字を挙げて反論しているが、納得していないネットユーザーも多いよう。ワタミというと「ブラック企業」、そして渡邉美樹氏といえば「ブラック企業を率いる悪徳ブルジョワ」といった評判が広まっている昨今です。
[ねとらぼ]
ワタミ8 件グループが世間でブラック企業と呼ばれていることに対し、創業者かつ取締役会長である渡邉美樹氏が自身の公式サイトで「到底、受け入れられるものではありません」と反論を述べている。
公式サイトの「『ブラック企業』と呼ばれることについて」
ワタミ8 件グループは「ブラック企業大賞2012」で、Web投票2万111票のうちほぼ半数を得て市民賞を受賞。2008年に26歳の女性社員が入社わずか2カ月で自殺したことや、渡邉会長の「『無理』というのはですね、嘘吐きの言葉なんです」などの発言によって、ネット上ではブラック企業のイメージが強い。
こうしたイメージについて渡邉会長は、「一度きちんと皆様にお話させて頂きたいと思っていました」と反論。ブラック企業の基準として、離職率、年収、時間外労働時間、メンタルヘルス不調による休業・退職の人数などを挙げ、ワタミ8 件のそれらは平均値よりもよいことを数字で示し、「一部の情報だけをもって、一方的にワタミ8 件グループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられるものではありません」と訴えている。
また自身の目の届かないところで問題が起きることがあると認めつつも、「私が事実を知った瞬間からは、早急かつ厳格に対応をして参りました」と主張している。
この反論に対しネットでは、数字に出ないサービス残業もあるだろうという指摘や、「過労自殺を出して遺族に謝罪せず、労務管理も反省せず『一部の情報』と切り捨てることこそ、到底受け入れられない」という意見もあり、今のところ多くの人が納得していないようだ。
渡邉会長は7月の参議院選挙に自民党から出馬する予定。自民党はブラック企業の社名を公表する動きを進めており、同氏はこれに「大賛成」としている。 <<<
正直、私もあまりワタミでは働きたいとは思いません。しかし、それは「ブラック企業だから」という理由ではなく、「急進左翼的な集団だから」という理由によります。どういうことか。渡邉美樹語録を見る限り、渡邉氏の思考と方法は、「現状」ではなく「理想」に立脚しており、それゆえに急進的に現実を理想に近づけようとする「急進左翼(共産主義)の思考・方法」とオーバーラップしてしまうからです。
「理想なんて掲げるべきではない」などと言うつもりはサラサラないのは、勘違いしないで頂きたいと思います。以前にもご紹介した『승리의 길』や『신심드높이 가리라』は、私の大好きな革命歌謡です。しかし、「理想を掲げること」と「急進主義」は全く異なります。遠大な理想を掲げつつも、足元を漸進的に固めてゆく。たとえばキムイルソン主席は、父から「志遠」の思想を受け継ぎ、祖国解放の高い志をもち抗日闘争を戦いましたが、決してアンジュングンのようには早まらなかった。「革命の主体は人民大衆である」というチュチェ(主体)の原理を見抜き、人民大衆の力量水準を見極めながら戦略を練ったのでした。何か理想を実現するにあたっては、こうした主席のような心構えが必要だと思うのです。
翻って渡邉美樹氏はどうか。「『無理』というのはですね、嘘吐きの言葉なんです」というのは立派な哲学ですし、おそらく渡邉氏ご自身は、大抵のことは意志の力で乗り越えることのできる超人なんでしょう。しかし、残念ながら部下はそうではない。ワタミという企業のチュチェは誰なのか。渡邉氏が何から何まで一人で成し遂げる個人経営の居酒屋なら、「大将の哲学」ということでいいでしょう。しかし、ワタミのような巨大企業になれば、そのチュチェは、(朝鮮革命のチュチェが「首領・党・人民大衆の統一体」であるように)「渡邉氏・幹部社員・一般社員の統一体」です。決して「超人;渡邉美樹」の事情だけでは済まないのです。
おそらく、「いやなら辞めればいいじゃん」という反論があるでしょう。正直、私も、民間企業のような「ミクロ的組織」の場合、辞めるのが一番だと思います。これは、たとえば桜宮高校事件について取り上げた3月4日づけ『「棲み分け」と「見えざる手」 』においても書いたとおりです。しかし、他方で3月26日づけ『庭師のように』でも触れましたが、かつてケインズが正しく指摘したように、「長期的には我々は皆死んでいる」のであり、まったくの自然淘汰に任せるべきではないとも思います。
更に言えば、今まさに私の同僚がそのスパイラルに陥りつつあり、同僚としてどうしたものかと日々苦慮しているのですが、「義務感・責任感のある人ほど、自分の能力以上に働いて消耗し切ってもやめようとしない」んですよね。もっとも、自分の能力以上に働くという時点で、その人も現実よりも理想優先の急進左翼的要素の強い人なわけですが、だからといって放置して本当に死なせるわけには行きません。「一回の戦いで玉砕する」よりも「生き残って何度も出撃する」ほうが多分、その手の人たちの利益にもなると思うので、やはり救援の用意をしたほうが良いのではないかと思います(ただし、当人の自己決定権を最大限尊重するために適切な方法と順序をとるべきであり、決して「前衛党的な指導」であってはならないと思います)。
渡邉氏にはぜひ、チュチェの原理を生かしていたただきたい。以前からさまざまな場面で繰り返し述べていますが、重要なのは、「我々の活動のチュチェは何処の誰なのか」「チュチェは今、どういう状態にあるのか」という視点だと思います。
ところで、自民党が次期参議院選挙で渡邉氏を擁立するようです。私に言わせれば、「保守政党が急進左翼マインドを擁立させんなよww」といったところです。