2013年09月16日

5年たっても相変わらず【追記あり】

(チュチェ102年9月17日、本文の第11段落を新規追加)
リーマンショックから5年。相変わらずなのは、なによりも日本共産党だった。困ったものです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-15/2013091502_03_1.html
>> 主張
リーマンから5年
危機生んだ新自由主義の復活

 リーマン・ショックをもたらした弱肉強食の新自由主義が、「破綻」のレッテルを貼られたにもかかわらず、安倍晋三政権のもとで全面復活への足取りを速めています。「アベノミクス」の命運がかかる「成長戦略」で、安倍首相自身がめざすとした「世界で一番企業が活動しやすい国」の目標がそれを示しています。格差と貧困を深刻にする新自由主義を打破する世論と運動が求められます。

資本主義のカジノ化

 世界経済を揺さぶる金融・経済危機の発端となった、米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻から15日で5年です。危機は、「カジノ資本主義」と呼ばれるように肥大し投機の場と化した金融が、自ら引き起こしたバブルの崩壊でした。そのつけは各地で国民に押しつけられ、震源地の米国でも飛び火した欧州でも、大手金融機関の救済に税金が投入されました。

 21世紀初の世界規模での危機を前に、主要国は20カ国・地域(G20)の枠組みをつくって協調を強めました。米国などが新自由主義の立場から金融規制を緩和してきたことが、危機を準備したとの認識が広がりました。規制強化が必要との声は強く、歩みは遅いものの、カジノ化の道具であるデリバティブ(金融派生商品)の規制などが論議されています。

 金融危機は実体経済に大打撃を与え、そのなかで世界経済の不均衡が露呈しました。米国での金融のカジノ化は、経済のグローバル化が進むなかで製造業が衰退し、輸入に頼るなかで進行しました。米IT企業アップルを創業した故ジョブズ氏が、同社の携帯電話を国内で製造できないかとオバマ大統領に聞かれ、「仕事が(中国から)帰ってくることはない」と答えたのは有名です。欧州の危機でも、ドイツと南欧との「輸出力」の差が問題になっています。

 危機のなか各国で失業率が跳ね上がるなど、以前から進行していた格差拡大と貧困化が耐え難いものになりました。日本では、賃金の低下が続くなか、「デフレ不況」が長期に続いています。国民の購買力が失われてきたことが、過剰生産恐慌につながっています。

 増税と歳出削減の両面で緊縮財政が強行された欧州では、貧困化が進みました。貧困をリーマン・ショック以前の水準に戻すだけでも、25年もかかるとの民間団体の報告が発表されています。

 グローバル化のなか企業の「コスト」削減を後押ししてきたのが新自由主義の政治です。その新自由主義が、危機の打開を口実にまたも頭をもたげていることは重大です。環太平洋連携協定(TPP)交渉は、米系多国籍企業の利益を拡大しようと米国が年内妥結をめざして主導しています。安倍政権が米国と一体で推進するTPPは、国民生活を長期にわたって悪化させるものです。

国民のたたかいで

 危機のなかで労働者を中心とする国民のたたかいが強まっています。米国で2年前、金融中心地ウォール街(ニューヨーク)で始まった「99%の声を聞け」の運動はそれを象徴しました。今日でも労働者らが賃上げとディーセント・ワーク(まともな仕事)を要求して成果をあげています。安倍政権の新自由主義を打破する日本国民のたたかいは、世界の流れに呼応する意義をもつものです。
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5点、論じたいと思います。

まずは第一段落。安倍首相の「世界で一番企業が活動しやすい国」の動機が、いわゆる「新自由主義」的なものであるというのは、まあいいとして、懸念すべきは「世界で一番企業が活動しやすい国=新自由主義」という観念が形成されることです。

私の知る範囲内の末端党組織レベルでは、小泉・竹中路線でやたら「イノベーション」という言葉が持て囃されたことに加えて、付け焼刃的なマルクス主義の理論を根拠に「イノベーションは新自由主義の主張である」と公言して憚らない馬鹿党員がいました。まあたしかに、そういう面が無いわけでありませんが、それこそが未来社会としての豊かな共産主義社会の物質的基盤をつくるもののはず。「イノベーションは新自由主義の主張である」なんて馬鹿なことを言っている暇があったら、生産力の向上は生産力の向上として歓迎して、そこから産出される恒常的なフローこそを収奪すべきでしょう。

日本左翼が憧れて止まない「北欧の福祉国家」は、経済政策においては、よっぽど新自由主義的です。そうした新自由主義的な経済政策によって生産力を高め、そこから産出される恒常的なフローを収奪することによって、高福祉を実現しているわけです。いいじゃないですか、新自由主義。リバタリアニズムは困るけど(ちなみに、相変わらず日本共産党は新自由主義とリバタリアニズムの違いが分かっているのか否か微妙な感じですね〜)そこから産出される恒常的フローをインターナショナリズム的な連帯によって収奪しましょうよ!

第三段落。デリバティブ商品に対する規制に関して。日本共産党がここ5年にわたって主張しつづけていることですが、一度たりとも具体的な方法論が見えてこない主張です。具体的にどうするつもりなんでしょうか? お得意の「科学」でしょうか? 「市場の無秩序」を「民主的・計画的に規制」することが日本共産党の信条ですからね。

しかし、デリバティブ商品は、かなり高度な確率論的方法を駆使して開発された「現代科学の塊」と言い得るものです。 昨今の混乱の大きな一因として、「リスクの確率計算が上手くできない」という事情が挙げられます。まさに、日本共産党が信奉して止まない「科学の限界」があるのです。

危惧すべきは、「なんて危ない商品なんだ! こんなもの廃止すべきだ!」という方向に話が進むことです。先物・デリバティブを廃止したらどうなるか、その結論は既に江戸時代に出ています。世界初の先物市場は、1730年(本居宣長が生まれた年!)に大阪の米市場(堂島米会所)で確立されました。ちょうど徳川吉宗の時代ですね。幕府は「米価を乱高下させる」として規制しようとしたわけですが、むしろ先物市場がないほうが価格変動が大きいことに気がつき、これを撤回しました。江戸時代ですら先物市場を廃絶できなかったわけです。

ちなみに付け加えておくと、幕末の騒然とした時期には、極端な投機が横行して空手形が横行し、堂島米会所の機能が麻痺する事態が起きました。その点、「空手形規制」のようなものは必要かもしれません。しかし、既に述べたように、「科学の限界」という事情がある。次にご紹介する第四段落のような経済センスしかない日本共産党の手に負えるものではないでしょうね。

さて第四段落。いつの話ですか? ここ最近、「アメリカ回帰」が取りざたされているわけです。いまだにルイセンコ学説みたいなことをいっている末端の馬鹿党員ほどじゃありませんが、「科学の党」であるにもかかわらず、時がとまっていますね。なにか色々言っても仕方ないような気がします。

第五段落について。「国民の購買力が失われてきたことが、過剰生産恐慌につながっています」とのこと。たしかにマルクスも言っていますが、ケインズも言っていますよね。もう、マルクス主義じゃなくてケインズ主義でいいんじゃないですか? 「資本主義の枠内での改革」なんて言っているうちは。ちなみにケインズは反共ですから、ケインズ主義をやっているうちはマルクス主義には至らないと思われます。特にイデオロギー的な面において連続性は保てないでしょう。

もしどうしてもマルクス主義でいきたいなら、「未来に対して命令しない」(だったっけ?)なんて言って煙に巻いていないで、今分かる範囲内で具体的なビジョンを提示すべきでしょう。「青写真主義はよくない」とはいうものの、ビジョンがないものを支持することはできません。もしビジョンが全く描けないのであれば、それは今の段階はマルクス主義の段階ではないということになるでしょう。段階が訪れるまでマルクス主義は冬眠させ、名実共にケインズ主義に衣替えしたらいかかですか? というか、すでに私は、日本共産党はマルクス主義政党ではなく、原始ケインズ主義政党だと認識しています。

最後に最終段落について。「「99%の声を聞け」」ってまた出てきましたね。でも、いつだかの(すみません。。。)朝日新聞だったと思いますが、「ああやって騒いでいるアメリカの労働者も、世界レベルで見れば十分に上流だろ」と書かれていました。日本の労働者だって、世界レベルで見れば十分に上流であり、日米で労働運動に精を出している人たちもまた「80%の声を聞け」といったふうに非難をうける可能性があるわけです。

そこへ行くと昨今の左翼運動はどうか。自国主義の保護貿易に走っている。「99%の声を聞け」と言って階級闘争に精を出していた人々が、次には「80%の声を聞け」と非難される日も遠くないかもしれませんね。
posted by 管理者 at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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