2013年12月22日

市場競争の効用は「効率性」よりも「多様性」

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131222/waf13122212010006-n2.htm
>> (前略)
市場原理への不安

 橋下氏が市長に就任後、まず手がけた改革は、教育行政への首長の関与をうたった教育関連条例や、職員の評価や処分を厳格化する職員基本条例の制定、二重行政を仕分けする府市統合本部の立ち上げだった。市職員の労働組合の政治活動への批判や、ダブル選直後の「大阪を変える」という有権者の期待に応えた施策であり、維新への追い風を受け止める帆となった。

 しかし、否決された施策は、それらと性格を異にしている。共通するのは生活に関わりの深いインフラのあり方を変える施策であり、手段として、効率化とコスト削減という市場原理の手法が組み込まれている点だ。

 例えば、水道事業統合の場合、市側は「統合後の18年間で221億円の削減効果が見込まれる」と強調。幼稚園の廃園・民営化はトータルで、「年間25億円以上の削減効果がある」と説明していた。

 行政にとってコスト削減は重要な課題だが、従来、「公」が担ってきた役割を、効率化という尺度だけで測って良いのか。単純な市場原理になじまないからこそ、「公」がその事業を受け持ってきたのではないか−。そうした住民の不安を十分解消していないことが、この半年間の維新の停滞感の最大の要因ではないだろうか。

 幼稚園の廃園・民営化に対する「障害のある子供の受け入れは私立では難しい」という保護者の訴えはその典型だろう。今回の泉北高速鉄道をめぐる地元の声も同様の文脈にある。

 「市場競争そのものは、市場原理にのらない『社会』の安定性によって支えられなければならない。それが崩れてしまえば、市場経済それ自体が壊されてしまう、ということだ」

(中略)

 そこに求められるのは、単なる事務の効率化やコストの削減効果ではなく、都と特別区の組み合わせが、今までよりも安定した社会を生み出すことができるかどうかという一点にほかならない。だからこそ、今、「公」の意義をさらに見つめ直し何をもたらすのかを住民に発信する作業が欠かせない。
(後略)<<
いわゆる民営化の流れが、「効率性」という視点で語られることが多いのは、サッチャー政権やレーガン政権、そして小泉政権の印象が強すぎることもあり、当然といえば当然かもしれません。しかし、何度かご紹介しているように、たとえば「北欧の福祉国家」と呼ばれる国々における福祉サービスの公共部門独占体制から供給主体の多様化へのシフト(=民営化の拡大)は、もちろん効率性の追求という動機もありますが、「サービスの質の多様化」という動機が大きく、そしてそれは何よりも、福祉サービスの受益者の要求を反映してのものでした。

つまり、民営化には、コスト削減といった「効率性の向上」という側面と、さまざなま供給主体が参入することによる財・サービスの「多様性の拡大」という側面があるのです。この二つの側面は、同じ民営化ではあるものの、性質をかなり異にします。

生活に関わるインフラ分野を「効率性」という尺度で図ることに対して疑念を抱くのは当然の感覚でしょう。そこから民営化に懸念を感じることは、無理の無いことです。しかし、「多様性の拡大」という側面から民営化を捉えなおすとすれば、どうでしょうか? 私は、「多様性」にこそ自由経済の優位性があると考えています。

実は「効率性」という点においては、自由な経済よりも計画的な経済の方が優れている場合も少なくありません。西欧諸国が数百年かけて達成してきた工業化を、ソ連は数十年で達成しました。これはソ連共産党の独裁的な資源配分の賜物です。既に目標が単一ないしは少数に絞り込まれており、あとはそれを達成するだけという時は、複数の主体が競争的・並列的に事業展開するよりも、全ての資源を単一の主体に集中させたほうが「効率的」であることは少なくありません。

しかし、目標の探索からはじめなければならないとき、そしてその目標自体が、周囲環境の不断の変化によって断続的な変更を余儀なくされるとき、あるいは目標自体が多数にのぼるとき、「多様性」が重要になってきます。それぞれ異なるビジョンをもった沢山の主体が多種多様な選択肢を提示することによって、真に必要とされるものが提供される確率が高まるのです。

社会は常に変動しており人々の求めるものも常に変動しています。また、人々の求めているもの自体が多岐にわたります。それらの移ろいやすい多数の欲求を満たすためには、柔軟な供給体制が必要であり、それは単一/少数の主体による独占的な供給体制よりも、数多くの主体による多様な供給体制のほうが優れていると言えます。ソ連が基本的な工業化を達成し高い生産力を獲得したものの、消費生活分野では西側に遠く及ばなかった一因は、ここにあります。

市場競争の効用を、「効率化」とは別の角度から見るべきです。

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チュチェ104(2015)年10月5日づけ「図書館指定管理者制度の本旨は「多様性」」
http://rsmp.seesaa.net/article/427302876.html
posted by s19171107 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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