2015年06月04日

「唯物論」の人間的限界

http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150417-00044916/
マクドナルドの時給1,500円で日本は滅ぶ? すでに30年実施してるオーストラリアは滅んでませんが?

筆者は国公労連の執行委員で、共産党雑誌の編集者でもあった人物です。要するに、共産党系です。

記事の内容は、オーストラリアの状況を取り上げて時給1500円運動を喧伝する内容です。
コメント欄にもありますが、そもそも社会構造の違う日本とオーストラリアについて、単純に時給金額だけを比較して何か意味があるのでしょうか?

共産党はマルクス・レーニン主義を未だに有り難がっている党ですから、「唯物論」を信奉しており、故に「事実」を重んじるとしています。しかし、実態においてはこのように、構造的差異を捨象して都合の良い事実だけをピックアップします。「事実の悪用」と言っても過言ではありません。

もっとも、本人たちはその自覚はないのでしょう。彼らはあくまでも「唯物論」にもとづき「科学的に」事実を分析しているつもりです。しかし、そもそも人間の認識能力が「唯物論」を徹底できるのでしょうか? 人間の科学が世界を完全に客観的に把握できるのでしょうか?

本当の意味で「唯物論」を徹底するのであれば、むしろ「科学」を捨てる場合もあるでしょう。人間ごときでは認識できない構造があるものです。それは、たとえばカオス理論ひとつ取っても分かるでしょう。

ちなみに個人的経験ですが、マルクスの『フォイエルバッハ論』の粗野で短絡的な19世紀レベルの「唯物論」を21世紀になっても有り難がっている(いまだにルイセンコ説を信じている疑惑)馬鹿な共産党員に、「唯物論の立場に立てばこそ、カオス理論の見地から、この世には『科学』で認識できないことが多く、この世は「不可知論」的であることが分かるだろう」と述べたところ、本当にビックリした顔をしていtのが何年たっても忘れられません。『フォイエルバッハ論』では、不可知論は無知蒙昧な宗教に通ずる思想で、科学によって克服されると考えられていますからね。
ラベル:「科学」 左翼
posted by 管理者 at 20:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記じゃない雑記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック