2016年01月20日

「オーナーの私有財産としての芸能事務所」という事実に切り込まずして「ジャニーズの民主化」を語る認識の混乱

http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20160118-00053560/
>>> 存続するSMAP、民主化しないジャニーズ――SMAP解散騒動の煮え切らない結末

(中略)

ジャニーズの“民主化”

結果的に、飯島氏が離れ、SMAPは軍門にくだることになりましたが、今回の一件で広く知られることになったのは、メリー喜多川副社長の強権的な姿勢と、ジャニーズ事務所の強い封建性です。今後もジャニーズ事務所には大きなマイナスイメージがつきまといます。ファンからの不信感は、そう簡単には収まらないでしょう。


(中略)

今後も必要とされるのは、ジャニーズ事務所の“民主化”にほかなりません。それには、ファンの多くが声を上げることが必要となってきます。実際「世界に一つだけの花」のCDが売れることによってSMAP解散を阻止する運動が見られましたし、それは大きな影響力を持ったと思います。しかし、ジャニーズの民主化は達成されませんでした。

(以下略) <<<
ジャニーズ事務所の“民主化”」のために「ファンの多くが声を上げることが必要」だそうです。ふだんから自主権の問題としての労働問題の解決策として、「市場メカニズムを活用した棲み分け」を提唱している私としては、ファン=消費者が声をあげ、場合によっては不買運動などを起こすことによって、あるべき方向に誘導してゆくことは、方法論は正しいと考えます。しかし、それは「民主化」とはいいません。語句の定義として間違っています。

市場を活用し、特定の人物に対するインセンティブを与えることによって誘導することは、「自由化」の範疇に入ります。民主化とは、人民の支配であり、人民が指揮権を掌握することです。インセンティブ付与による誘導は、あくまで誘導であり指揮権の掌握には至っていません

前回の記事の文脈で述べれば、「移籍を支援する棲み分け型労働組合」は「自由化の組織」であり、「自主管理・協同経営型の労働組合」は「民主化の組織」です。棲み分けによって自由市場原理が働き、人々が相互牽制的な関係性になることで、相対的な自立度があがります。そして、自主管理によって相互牽制としてではなく、真に自らの足で立てるようになり、他人に依存することなくなります。自由化と民主化はまったく異なります。

チュチェ103(2014)年10月5日づけ「資本家の権力の源泉を踏まえた自主化闘争――自立的な自主化であるために」でも述べたとおり、労働者階級の自主化のためには資本家階級の権力の源泉に迫る必要があります。会社組織の私有制に切り込まないで「民主化」を語るとは、何かの冗談なのでしょうか? それとも、自由化と民主化を本気で混同しているのでしょうか?

筆者の松谷氏は、別の記事で「法的規制」を紹介しています。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20160120-00053615/
>>> テレビで「公開処刑」を起こさないための“JYJ法”――SMAP騒動から考える芸能界の将来

(中略)

そもそもこの問題の根幹には、自由に芸能プロダクションを移籍できない、日本の芸能界独特の商慣習があります。つまり、もしSMAPメンバー4人が独立したり他の事務所に移ったりすれば、干されるリスクがあるということです。過去にも実際そういう事例は見られました。現在生じている視聴者やネットの反応は、こうした閉鎖的な芸能界およびテレビ局に対する強い不信感です。

そんななか隣の韓国では、昨年末に芸能界に公正性をもたらす画期的な法改正が行われました。それが、通称“JYJ法”です。


(以下略)<<<
まったく笑止千万な内容です。自主化を法律、それも罰金などという手段で実現しようとする他力本願っぷり。結局、「オーナーの私有財産としての芸能事務所に雇用される関係性」にはまったく変化はありません

「ゼニがもらえればよい」というのであれば、これでも十分でしょう。「野生動物」よりは「家畜」の方が何かと楽ですしね。しかし、それを「民主化」の文脈で語ってしまう松谷氏の認識の混乱っぷりあくまで、オーナーの私有財産としての芸能事務所という事実に切り込まない不自然な「手加減」。ちなみに、ジャニーズ事務所が自主管理化したとしたら、「ジャニーズ」という看板はおかしいでしょうねwwそれとも「象徴天皇制」?www
posted by 管理者 at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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