>>> 北朝鮮だけが「衛星」を打ち上げてはいけない理由最近になって、急にこういう「解説」が増えてきたように思います。共和国の「宇宙開発はすべての国が持つ権利」という主張が、それなりの説得力を持っていることに対する西側の危機感なのでしょう。
ニュースソクラ 2月9日(火)18時0分配信
(以下略) <<<
たしかに、この記事が指摘する安保理決議の解説は正確なものです。安保理決議は、要するに「他の国のロケット開発は平和目的だが、北朝鮮のは軍事転用できるからダメ」と言うものであり、その立場に立てば、共和国のロケット開発は禁止されるでしょう。
しかし、ではアメリカやロシアの「ロケット開発」が、真に平和目的だと言えるでしょうか? 本人たちはそう言うでしょうが、まさかそれを額面通りに受け取る馬鹿はいないでしょう。多くの技術は軍事転用可能です。日本のインドへの原発輸出は、印パ核対立への燃料補給にならないのでしょうか?
つまり、安保理決議は、結局「のび太のくせに生意気な!」の類いのものに過ぎないのです。
もっとも、「国際的取り決め」というものは、そういうものです。後述しますが、私は、「現在の国際社会」の共和国に対する仕打ちは不満ですが、「不平等で不正義だ!」などとブーブー言うつもりはありません。日本はアメリカ追従のケースが多いので、「国際的取り決め」の被害者側になることが少なく、その本質に気づきにくいのですが、たとえば捕鯨問題は、日本が「オマエだからダメ」の被害者側に立っている珍しいケースです。捕鯨問題(イルカだったかな?)において、かつて、日本の捕鯨関係者(和歌山の漁協だったと思う)は、「国際会議は日本側の言い分をほとんど聞いてくれなかった!」と憤慨していましたが、それは当たり前です。ああいう国際会議は、自国の利益を「それっぽい体裁」に整えてごり押しすることが目的であり、虚心坦懐の姿勢で利害調整することは決して目的ではありません。形式上は「会議」というスマートな見立てですが、魂胆は帝国主義全盛期と大して変わってはいないのです。
共和国のロケット開発もこの構図です。結局、アメリカに敵対しており、ロシアほど実力がないから安保理決議が出されているわけであり、その魂胆はまさに、帝国主義そのものなのです。
「北朝鮮だからダメ」という西側の魂胆が明らかになればなるほど、共和国にとっては実は有利になっていきます。自主・平和・親善の旗手を自任し、帝国主義者との対決の最前線にいるという位置づけが真実味を更に増しますし、「アメリカが核武力をも以って脅迫している上に、『北朝鮮だからダメ』などという殺る気満々の姿勢を隠しもしなくなってきているので、我々も自衛手段を整える必要がある」という主張に正当性が増すのです。いま共和国が熱心に宇宙開発はすべての国が持つ権利と宣伝しているのは、将来的にアメリカの帝国主義的本性を暴露するための布石かもしれませんよ(それくらい戦略的にプロパガンダを打つ国ですから)。
前述したように、事実として現在の国際社会の支配論理はこうなっている以上、ブーブー言ったところで仕方ありません。もちろん、それは共和国がもっともよく分かっているはずです(私自身、この認識は共和国から学びました)。キムジョンイル総書記逝去時の訃報電にあった「우리 당과 인민은 자주, 평화, 친선의 리념에 기초하여 세계 여러 나라 인민들과의 친선단결을 강화하며 지배와 예속, 침략과 전쟁이 없는 자주적이며 평화로운 새 세계를 건설하기 위하여 적극 투쟁할것이다.」というくだりを思い起こします。
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