2016年08月02日

民進党・共産党の「インパール作戦」

東京都知事選が終わりました。今回の都知事選ほど面白い選挙はなかなかないと思います。各政治勢力の動静を思い起こせば、驕りに驕った自民党都連が自民支持層の半分も固め切れなかったという大失態と、小池新知事初登庁時の都連幹部の中学生男子のような情けない応対の様子(あまりのことに大爆笑!)。公明党のイヌっぷり(まあ投票も修行だしね・・・)。よりによって鳥越俊太郎などという「老醜左翼」そのものを統一候補として担ぎ上げる民進・共産・その他の政治的センスのなさ、都知事選なのになぜか都政の課題を論じない謎戦略。また、ヘイトウヨが10万票の大台を突破する「善戦」をみせ、他方で、いわゆる「パヨク」が壮絶なる発狂の様子を見せ付け、その本性が白日の下に晒されました。本当に濃い17日間でした。

いろいろな総括の仕方ができると思いますが、私は、千載一遇の大チャンスで壮絶な自爆を遂げた政権野党陣営について注目したいと思います(どうしたらこのタイミングで負けられるのかってくらい楽勝モードだったのにw)。

■万年野党コースへ逆戻り
やはり、何と言っても都知事選挙の争点に「反安倍政権」を掲げるナンセンスさに注目すべきでしょう。鳥越氏のスキャンダル報道以前から、楽勝の戦いのはずなのに小池氏の後塵を拝していたのは、鳥越氏自身に都知事としての素質が本質的になかったことを意味します。物事の表層しか見ない馬鹿左翼はスキャンダル報道のせいにするでしょうが、そんなものはあくまでも「とどめの一撃」でしかありません。

それにしてもこのナンセンスさには、「懐かしさ」を感じます。ここ数年、古典的な「9条を守れ!」よりもブラック企業問題や待機児童問題など、より生活に身近な問題を取り上げて左翼勢力は支持基盤を拡大してきました。共産党が急に「躍進」し始めたのも、「雨宿り」現象だけとは言い切れなかったと思います。

にもかかわず、今回の都知事選挙は一転して「反安保・反安倍」を最重要テーマに据えてしまいました。参議院選挙はまだ理解できても都知事の争点に据えるだなんて、チュチェ92(2003)年やチュチェ96(2007)年などの都知事選挙にも劣るナンセンスっぷりです。それも、共産党だけでなく民進党までもがそれに乗っかってしまった。政権野党がそろって万年野党に突き進む姿が一層鮮明に見えてきたように思います。政治戦略的に大きな過ちを犯しつつあると思います。

■「大義のためなら何でもよい」という間違った政治運動の見本のような選挙戦
それ以上に間違いなのが「反安倍政権のためであれば何でもよい」という姿勢。「大義」「革命」のためなら、他のことは何でもよいという姿勢が、左翼政治の根本的誤りです。その点、宇都宮健児氏の発言がとてもよかったと思います。
【記事1】
http://www.nikkansports.com/general/news/1687557.html
>> 宇都宮氏「今回は政策もなければ何もない」

(中略)

 −野党共闘になっていたと言えるか

 今回の結果は、野党共闘とか、それを支持した市民連合が、なぜ、これだけ大差がついたか、真剣な総括が必要ではないかと思います。参院選では安保法制の廃止、立憲主義の回復、憲法改悪阻止という政策協定があって戦った。与党の方から「民共の野合ではないか」と言われた時に「大義がある」と跳ね返せた。今回は政策もなければ何もない。まさに野合と言われてもしょうがない態勢で戦ったということ。


(中略)

 −その後、鳥越氏の陣営は政策を打ち出そうとしていた

 後から、だんだん政策は整備されたかもしれないけど。あと野党も鳥越さんも、都知事選を勝つことが安倍政権に一矢を報いるんじゃないかというようなことを言ったけれど、そこに都民が抜けているわけです。都政は都民の暮らしや生活を守るのが1番の役割なのに、都民を置き去りにしたままの考え方。今回の結果は、都民が鋭く見ていたんだと思います。私たちの生活や暮らしをどう考えているか、ストレートに届くような言葉や政策がなかったんじゃないか。


(中略)

 −民進党主導で候補者を決めた動きにも批判がある

 候補者を事実上、民進党の中で決め、それに他の野党も賛同し、それを市民連合が賛同するというやり方なんですね。私からすれば、民進党の独裁ですよ。本当なら、候補者を決める場合は、それなりに名前が出てきた人を公開の場で討論をやりながら、本当に誰がふさわしいか民主的に開かれた場で議論して決めるべきだった。そういうことが、まだ訓練されてない。今の日本は政党が偉くて、決めたことを市民連合が従う。市民連合は、よく国会前の安保法制反対の抗議活動で(学生団体)『SEALDs(シールズ)』なんか『民主主義って何だ? これだ!!』って言ってるんですよ。ところが都知事選での候補者選びは、民主主義もへったくれもないわけですよ。政党が密室の中で決めたことを支持してるだけで、まさに独裁的なやり方。市民運動と政党は本来、対等であるべきだと思っているんですけど、市民連合が候補者選びに参加したと思えない。日本の運動の未熟さが露呈した問題。リベラル運動をどうするか、深刻な総括が絶対に必要だと思います。


(以下略) <<
【記事2】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160801-00000009-nksports-pol
>> 宇都宮氏が明かす、鳥越氏の応援演説しなかった理由

日刊スポーツ 8月1日(月)0時46分配信


(中略)

 鳥越氏サイドから返答があったことを受け、宇都宮氏と同会は、翌28日に再び鳥越氏宛てに文書を送った。その中で、鳥越氏の女性問題に関する返答に対し「具体的な報道内容を見る限り、これを『事実無根』として退けられる案件とは考えられません。また、『事実無根』だとする説得力ある反証も挙げられていません」「被害を受けたという女性がおられる以上、都知事候補として、どのような事実があったのかを自ら公開の場で説明し、被害女性および都民の納得を得る責任があると考えます」と指摘した。

 その上で、宇都宮氏は「私はこれまで多くの人権問題に携わってきました。その原則をここで曲げることはできません。鳥越候補がこれまでの対応を撤回せずに説明責任を果たされないとすれば、きわめて遺憾ではありますが、都民に対してあなたを都知事にふさわしい方として推挙することができず、応援に立つことはできません」とつづった。

 女性問題について説明責任を果たさなかった鳥越氏の姿勢が、宇都宮氏が応援演説に立たなかった、最大の要因だったことが明らかになった。
<<
記事1と記事2で太字化(当方編集による)した部分は実に正しい指摘です。ひとりひとりの生身の人間のリアルの上、人権の上に大義があるのです。それを犠牲にした「大義」など大義ではありません。

候補者の選定過程にも見解を述べています。民進党「独裁」と、それにホイホイとついて行く「その他左翼政治勢力」については、たしかに宇都宮氏の言う通りでしょう。粛清される側になって漸く、宇都宮氏は左翼陣営の「ヤバさ」が分かったのでしょうか? もっとも、左翼といわれる人々は、自分が「される」ときは「民主主義!」と叫ぶのに、自分が「する」側になるとそんなことケロリと忘れる正に「二重思考」の人々ですから、宇都宮氏についても油断はできません・・・自分たちが入っていれば他の勢力が排除されていても「これは密室ではない」と言い出すのが左翼です。

■事後のビジョンはあったのか?
だいたい、「大義」とやらに則って鳥越氏が勝ったとしても、あんな何の都政課題への見解のない人間では遅かれ早かれ都政は停滞し、政治危機に陥り失脚することでしょう。旧民主党政権が国民の失望の渦の中で退場し、それ以降、「敵失」も相まって安倍自民党政権が磐石不動のまま今日に至っている先例を見れば、「鳥越都知事」の次は自民・公明党系の長期都政になる可能性が高いのは容易に想像できるはずです。

ほんと、後のことは何も考えていなかったんでしょうね。「一矢を報いる」ことしか考えずに無謀な戦いに突入した今回の都知事選挙を「民進党・共産党のインパール作戦」と名づけたい思います。
posted by 管理者 at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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