2016年10月26日

電車内化粧是非論争の核心は「相互配慮できないその人格」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161026-00000001-jct-soci
>> 東急電鉄「車内で化粧はみっともない」 啓発広告に賛否両論の嵐

J-CASTニュース 10月26日(水)12時42分配信

「都会の女はみんなキレイだ。でも時々、みっともない」――。こんな標語が印象的な、東急電鉄のマナー広告が物議を醸している。

 車内でのメイクを控えるよう呼びかけるものだが、ネットで「『みっともない』なんて全然思わない」「女性への抑圧」と批判が沸き起こり、逆に広告に賛成する声も相次ぐなど、賛否が大きく分かれる状態になっている。

■「電車内の化粧のどこがマナー違反か」「女性への抑圧」

 東急電鉄は16年9月16日から、「わたしの東急線通学日記」と題する啓発ポスターを全線(世田谷線除く)に掲出している。大学進学を機に上京し、東急線沿線に住み始めた主人公の女性がさまざまな乗車マナーに触れるといった趣旨だ。

 すでに第4弾まで公開されており、「車内化粧篇」は第2弾。第1弾の「歩きスマホ篇」とともに9月16日から掲出されている。「都会の女はみんなキレイだ。でも時々、みっともない」という一文に、座席シートでメイクする女性の写真が重ねられている。しかし、ツイッター上では、この広告に対して、

  「電車内の化粧のどこがマナー違反かよくわからない」
  「女性への抑圧」

と疑問の声が続々と寄せられた。写真を見る限り、女性の座るシートは空いている。ツイッターなどでは、男性の体臭や酔っ払い、騒音、痴漢など「車内化粧」より糾弾すべきものがあるという意見も相次いだ。その一方で、

  「電車内で化粧する女は無理です」
  「マナーと明らかな犯罪行為をごちゃ混ぜにしても論点がずれる」

とポスターに賛意を示す声も多い。まさに賛否両論の状況だ。


(以下略) <<
「おっ、やってるやってる」レベルの議論ですね。みんなヒマなのかな? 私は比較的ヒマです。

さて、電車内化粧是非論争。かつて先鋭的批判派の話を聞いたことがありますが、次のような要旨でした(世論を綿密に調べる気にもならない「論争」なので、全国的代表例とは言い切れないと思います。あしからず)。曰く「化粧というものは『ソト』に出かけて『他人』と会うために『ウチ』で行うもの。化粧を電車内などの公共の場所で行うということは、その人は暗黙のうちに、公共の場所を『ウチ』と捉えて私物化しているか、あるいは電車に乗り合わせた人たちを『他人』と認めていないということなのだ。そういう人は、自分が利害関係者と認識している人に対してはイイ顔をするのかもしれないが、それ以外の人たちに対しては傍若無人に応対する『素地』がある。本人は否定するだろうが、無意識のうちにそうなのだ!」とのこと。

ちょっと思い込みが激しく、言いすぎなんじゃないかと思います(駅の「化粧室」ってどう捉えればいいんでしょうかね?)が、批判論者の率直な見解なのでしょう。7月31日づけ「棲み分け原理と価値観の多様性――自由主義的な人間関係の基礎」にて私は、タトゥー(刺青)擁護論者について「タトゥーが嫌がられているのではなく、配慮しようとしないその人格が嫌がられている」と指摘しましたが、それはそのまま電車内化粧是非論争にも当てはまるのでしょう。批判論者は、電車内で化粧をするということを、周囲の人々に実質的に損害を与えているから問題視しているのではなく、『ウチ』で行うべきことを『ソト』で済ませるその「人格」を問題視しているのでしょう。論争のある問題について「自分の感覚」「自分の権利」のみで判断しようとし、他人の反応を考慮しようとしない「相互配慮できないその人格」が問題視されているのでしょう。

その意味では、電車内化粧擁護論・タトゥー擁護論にて共通して見られる「他人に実害は与えていない」という反論がいかに噛み合っていないのかが分かります。また、後述するように、私はこの論争に関わらない立場なのですが、流石に「抑圧」まで来ると「社民党みたい」と言うほかありません。どうですか、電車内で化粧に精を出している「淑女」の皆様、「他人からの目線」って考えたことありますか? 自分の感覚だけで物事を判断すると、やくみつる氏のような、みっともない人間になってしまいますよ!

ちなみに私は、以前から重ねて主張しているように、「物理的にも心理的にも棲み分け論者」です。なので、私自身は物理的な意味で『ウチ』でやるべきことは当然『ウチ』で行いますが、他方で、他人が『ウチ』でやるべきことを『ソト』でやっていたとしても、これは心理的に棲み分けをしています。ちょうど、街宣右翼やバカ左翼をスルーするような心理です。「あの人、ママの教育が悪かったんだろうなあ・・・」と思いつつ、無視しています。関わりあいたくないし、関わる必要もないし、たぶんそういう人は、他人に影響を及ぼすような地位でもないでしょうから(一流の人たちってやっぱり常に「お天道様に恥ずかしくない」振る舞いをしていますよ、ホント)。あっちだって私なんかに構うつもりはないでしょう。円満円満。

最後に。「アタシの電車内化粧がイヤなら別の車両に移れ!」という持論のマジで傍若無人な方! この広告は東急電鉄の見解です。これを機にあなたこそ東急線に乗らなきゃいいんじゃないですか? ほら、JR線や小田急線を乗り継げばいいじゃないですか! あなたと同じ考えの人が本当に社会の多数派であれば、「東急線への乗客数減・競合他社線へのシフト」という形で「兵糧攻め」できますよ。収益減に耐えかねて「女性の電車内化粧という権利を踏みにじっていました・・・」などと東急電鉄が自己批判する日を思い浮かべつつ、迂回乗車してください。ちょうど東急線は混雑しているんで。
ラベル:社会
posted by 管理者 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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