>> 焼き鳥店「串外しやめて」で激論、「バラしてシェア」する客を退店させることは可能?面倒な「職人」に限って、あれこれと小うるさく口を挟んでくるものですね。弁護士ドットコムの記事なので、弁護士先生が法的観点から詳細に論評しています。その内容には私は異論はないのですが、「法律云々はさておき、気に入らない客は追い出せばいいじゃん。逆にお宅が競争淘汰されると思うけどね」というのが正直な感想です。
弁護士ドットコム 12/4(日) 10:14配信
焼き鳥は串から外してシェアしないでほしいーー。ある焼き鳥屋の店主が「焼鳥屋からの切なるお願い」として客への要望をつづったブログがネット上で議論を呼んだ。
店主の男性は、店にかかげた看板の画像とともに、焼き鳥を串から外して食べることに、「切った肉をフライパンで焼いても同じ」「絶対に美味しくない」と主張。「串から外さずガブりついて食べてください!!」と呼びかけていた。
ネット上では、「あれだけは許せない」「(同席した人にされると)食べる気をなくす」など店主の主張に賛同する声も多く寄せられたが、「知ったことか。好きに食うわ」「客の自由」など、食べ方を指定することについて疑問の声もあがっていた。
(以下略) <<
我が国は競争的市場経済の国家です。競争の効用は、「切磋琢磨」に留まりません。各企業・生産者が競争的環境に存在することは、過度な利己的行動・本人以外は誰も共感してくれない俺様正義にたいする牽制になるのです。棲み分け原理による俺様正義の抑止です。また同時に、ある程度の支持者がいれば、それは棲み分け原理による多様性の確保にもなります。
顧客には選択の自由があります。気にくわない生産者とは取引せずとも非難されるいわれはありません。生産者は誰にも相手にされない危険性がある以上は、俺様正義を貫く訳には行かず、一定程度、世間標準に合わせる必要があります。
他方、志を同じくする人々が一定数存在すれば、同志の間だけで経済を循環させることも、市場経済においては可能です。誰も共感してくれないような極端な俺様正義を排しつつも、その生産者が気にくわない人は取引せず、気の合う人だけが取引するという絶妙なラインでの棲み分けが、市場経済においては可能なのです。
本件、焼き鳥の串問題も、誰も共感しない「職人」の俺様正義であれば、彼が焼き鳥業界から淘汰されるだけですし、一定数の同志がいれば、同志の間で勝手にしていられます。焼き鳥を串から外して食べたい人は、それを認める大将の店にいけばよろしいのです。串から外さずガブりついて食べてほしい大将は、志を同じくする客だけを相手にすればよろしいのです。一人ひとりの個人が、自説を曲げる必要性を最小限にできるのが、棲み分けの市場経済なのです。これが統制経済・規制業界だったら、面倒な「こだわり」に万人が仕方なく付き合わされるところでした。
棲み分けできる市場経済で本当に良かった!