2016年12月06日

AV出演問題と「自由意志」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161205-00005433-bengocom-soci
>> 国民生活センター、AV出演勧誘の注意呼びかけ…伊藤弁護士「消費者並みの保護を」
弁護士ドットコム 12/5(月) 20:03配信


10代、20代の若い女性を中心にタレント・モデル契約をめぐるトラブルが発生しているとして、国民生活センターは11月30日、消費者に向けて注意を呼びかけた。同センターによると、自分からモデル事務所に応募して面接を受けたところ、「アダルトビデオ(AV)に出演しないか」と勧誘されたという相談もあったという。

●モデルに応募したところ「AV出演」を勧誘されたケースも

国民生活センター相談情報部の担当者は12月5日、弁護士ドットコムニュースの取材に応じた。担当者によると、タレント・モデル契約をめぐって寄せられた相談件数は、2006年〜2015年までの10年間、年700〜900件の間を推移している。

これまで、繁華街で声をかけられる「スカウト」をきっかけとしたトラブルが多く見られたが、近年はそれに加えて、SNSで知り合った人から声をかけられたり、インターネットやSNSの募集広告を通じて、自分から連絡をとったことがきっかけにトラブルに巻き込まれるケースが増えている傾向にあるという。

相談内容は、芸能事務所のオーディションに申し込んで合格したが、同じグループの養成教室に通うため50〜100万円の高額契約を結ばされたというケースや、ネットで見つけたモデル事務所(絵画モデル、パーツモデル)に応募して面接を受けたところ、「AVに出演しないか」と勧誘されたケースなどがあった。

担当者は「トラブルに巻き込まれるきっかけが、多様化しています。自分が選んだものでも、トラブルにあう可能性があります。『街で声をかけられてもついていかなくてもいい』『自分で選んでいるから大丈夫』と思いがちですが、身を守るためにご相談してください」と警鐘を鳴らした。

今回の国民生活センターの呼びかけの中で、「アダルト関連の出演を強要されるなどした場合には警察に相談しましょう」という文言もある。相談情報部の担当者によると、タレントになるつもりで連絡しているのに、フタをあけたらアダルトビデオに出演しないかと勧誘されているケースが複数件あり、そのなかには実際に「AV出演を強要された」という相談事例があったという。

●ヒューマンライツ・ナウ「消費者被害と共通性がある」

AV出演強要をめぐっては、NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)が今年3月、被害をまとめた報告書を発表した。消費者庁にも「無知や困惑に乗じて契約締結に至って被害が生じるという点で消費者被害と共通性がある」などとして、被害の防止の対策をとるよう要望していた。国民生活センターによると、今回の呼びかけの背景の一つには、この要望もあるという。

HRN事務局長の伊藤和子弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「国民生活センターにずっと働きかけて来たことが実り、AV出演強要に関するリリースを出していただきました。ずっと、『せめて消費者被害並みの保護を』と訴えてきましたが、消費者並みの保護の重要な第一歩が踏み出されたことをうれしく思います」と述べた。

さらに、「被害を防止するための啓発として重要であるとともに、AV強要被害にあった人にも消費相談センターに相談することを呼びかけている点が注目されます。困ったら消費相談センターに相談すればいいというのは被害の只中にある人にとって心強いと思います」と今回の国民生活センターの呼びかけの意義を語った。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:12/5(月) 20:03
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AV出演問題。この秋、俄かにクローズアップされました。

いささか旧聞になってしまいますが、11月13日づけ朝鮮中央通信が、この問題について論評しています(毎日新聞でも触れられていましたネ)。KCNAの朝鮮語文を原文とし、その拙訳を以下に掲載いたします。
>> 색정범죄의 희생물로 시들어가는 일본의 녀성들과 어린이들
色情犯罪の生贄に追い込まれてゆく日本の女性たちと子どもたち

(평양 11월 13일발 조선중앙통신)
(ピョンヤン 11月13日 朝鮮中央通信)

온갖 사회악이 판을 치는 일본에서 해마다 2만편의 각종 색정편집물이 제작되여 사람들의 건전한 사상의식을 마비시키고 부패타락의 길로 사정없이 떠미는 일종의 《마약》으로,범죄집단들을 위한 치부의 수단으로 리용되고있다.
ありとあらゆる社会悪が幅を利かせている日本において、毎年2万本の各種の色情編集物(注;AV)が製作され、人々の健全な思想意識を麻痺させ、腐敗堕落の道へ無情に押しやっている。一種の「麻薬」として、犯罪集団のための手段として利用されている。

특히 색정영화산업이 번성하여 이 나라의 수많은 녀성들과 어린이들이 그 희생물로 전락되고있다.
얼마전 일본의 한 인권단체 성원인 세가와녀성은 색정편집물제작에 출연할것을 강요당하는 녀성들의 수가 해마다 늘어나고있다고 폭로하였다.

特に、色情映画産業(注;AV業界)が繁盛し、(一方で、)この国の数多くの女性たちと子どもたちが、その犠牲になっている。

색정편집물제작자들은 처음에는 옷전시회나 텔레비죤극에 출연할 배우들을 모집한다는 거짓말로 18~20살 난 처녀들을 유혹하고는 색정영화에 출연할것을 강압적으로 요구한다고 한다.
色情編集物製作者たちは、はじめはファッションショーやテレビ番組に出演する俳優たちを募集するという名目で18歳〜20歳の娘たちを誘惑しては、色情映画に出演することを強圧的に要求するという。

처녀들이 기겁하여 빠져나가려고 하면 이자들은 《계약》문건들을 흔들며 갖은 수단과 방법을 다하여 그들을 위협공갈하고있다.
少女たちが驚いて逃げ出そうとしても、この者(注;AV業者)たちは、「契約」文書を持ち出し、さまざまな手段・方法を尽くして彼女らを脅し、恐喝している。

이렇게 색정영화촬영장에 강제로 끌려나온 처녀들은 갖은 폭행과 강간을 당하고있으며 가혹한 운명의 나락으로 굴러떨어지고있다.
かくして、色情映画撮影の現場に強制的に引き出された娘たちは、暴行と強姦をうけ、過酷な運命の奈落に転落している。

인권단체들이 녀성들에게 출연을 강요하는 색정편집물제작업체들을 단속하기 위한 특별사업이라는것을 벌린다고는 하지만 녀성천시,녀성학대가 고질적인 악습으로 되여온 일본사회에서 그것이 통할리 만무하다.
人権団体が、女性たちに出演を強制する色情編集物制作業者らを取り締まるための特別事業を講じるよう要求しているが、女性蔑視、女性への性的虐待が慢性的な悪習となっている日本社会において、そうした要求が通じるはずもない。

더우기 문제로 되는것은 이 나라에서 고등학교 녀학생들을 포함한 미성년들까지도 색정범죄의 피해를 당하고있는것이다.
更に問題となるのは、日本においては、高校の女子学生を含む未成年者までもが性犯罪の被害にあっていることだ。

고등학교 녀학생들의 5명중 1명이 성폭행의 대상으로 되고 색정범죄로 피해를 입는 미성년들의 수가 해마다 늘어나고있다.
女子高校生の5人に一人が性的暴行の対象となっており、性犯罪の被害を受ける未成年者の数が毎年増えている。

얼마전 한 인권문제전문가는 유엔인권리사회 회의에서 중등 및 고등학교 녀학생들을 대상으로 하는 성학대행위가 일본에서 우심해지고있는데 대하여 문제시하면서 이를 근절할것을 일본당국에 요구하였다.
先日、ある人権問題専門家は、国連人権理事会の会議にて、中学生および高校生に対する性犯罪が日本で憂慮されていることについて問題視し、これを根絶することを日本当局に要求した。

그뿐이 아니다. 철모르는 어린이들을 대상으로 한 반인륜적이며 비인간적인 색정범죄가 계속 성행하여 커다란 물의를 일으키고있다.
それだけではない。分別のない子どもたちを対象にした反人倫的・非人間的な色情犯罪が引き続き盛んで、大きな物議を醸している。

일본에서 지난해에 그러한 범죄행위가 공식 등록된것만도 1 938건에 달하였다고 한다.
日本では、このような犯罪行為が公式に登録されたものだけでも、1938件に達したという。

그럼에도 불구하고 일본당국은 치떨리는 범죄행위를 감행한자들을 법적으로 처벌하지 않고있을뿐아니라 재판이 진행되여 유죄로 판명되는 경우에도 적당한 벌금형으로 처리하고있다.

にもかかわらず、日本当局は、恐るべき犯罪行為を犯した者たちを法的に処罰していないだけでなく、裁判が行われて有罪と判断される場合にも、罰金刑で処理している。

제반 사실들은 황금만능,약육강식의 생존법칙이 란무하는 일본이야말로 가장 비인간적인 사회,말세기적풍조가 만연하는 썩고 병든 사회라는것을 여지없이 실증해주고있다.
これらの事実は、黄金万能(注;金銭万能の意)・弱肉強食の生存法則が横行している日本こそ、もっとも非人間的な社会、いまだかつてない風潮が蔓延する腐敗し病んだ社会であることを実証している。

(以下略)<<
ちょっと言い過ぎな感もありますが、朝鮮民主主義人民共和国の性的観念は、日本よりも相当厳しい(たとえば、不倫は、日本では民事責任しか問われませんが、朝鮮では刑法の「不法婚姻罪」で労働教化所送りになりますからね)ので、彼らの目にはそう映るのでしょう。

同様の指摘は、朝鮮と同じく社会主義国であった旧東ドイツの一般市民が、「壁」崩壊後に執筆した回顧録にもありました。先日読んだ『私は東ドイツに生まれた 壁の向こうの日常生活』から該当箇所を引用いたします。
>>  東ドイツに売春宿はなかった。そんなものが存在していたら、女性に対する侮辱にあたっただろう。全ての女性が仕事を見つけられるような社会だったのだ。国家は工場の中に女性を必要としていた。生計を立てるために我が身を売る必要などなかったのだ。東ドイツにおいて売春行為は、資本主義特有の現象であるとみなされていた。春をひさがねばならぬほど女性を追い詰める社会、というわけである。(中略)
 男性の間では時折、パートナーを次々と替える「軽尻女」の噂が立ったものだが、これは職業的な売春とは無関係な話題であった。
<<
フランク・リースナー『私は東ドイツに生まれた 壁の向こうの日常生活』東洋書店(2012)p229

20世紀の社会主義を無邪気にマンセーするつもりはありませんが、「女性を追い詰める社会」という「対抗文明」側からの指摘は、重要だと思います。

リースナー氏のパートナーを次々と替える「軽尻女」の噂が立ったものだが、これは職業的な売春とは無関係な話題」という指摘は、程度の低いAV擁護論に対する痛撃でしょう。もちろん、AVなどの性産業従事者たちを「軽尻女」と断ずるのは、私は冒涜的な言い過ぎだと思います。AVを芸術表現と認識し、誇りを持って出演している女性がいらっしゃるであろうことは、以前にも述べた通りです。私はAV女優が賎業だとは思ってはいません。しかし、「好きでやっている女性」と「追い詰められて」とを峻別する視点は重要です。

たとえ一見して「好きでやっている女性」であったとしても、朝鮮中央通信記事が指摘するように、「少女たちが驚いて逃げ出そうとしても、この者(注;AV業者)たちは、「契約」文書を持ち出し、さまざまな手段・方法を尽くして彼女らを脅し、恐喝している」のであれば、あるいは、坂口杏里ちゃんのように、精神的に不安定な状況で、借金返済に迫られてAVに出演しているケースについては、やはり「好きでやっている女性」とは言い切れないでしょう。自由意志論は哲学的領域にも達する話題であり、ここでは哲学を深く論じるつもりはありませんが。

若い女性には社会経験が乏しく、それゆえ百戦錬磨の業界人にいいように言いくるめられる事実にも、配慮が必要でしょう。「分別のない子どもたちを対象にした反人倫的・非人間的な色情犯罪」と朝鮮中央通信は指摘しています。ある種のギャラリーたちは、そういうケースについても「自己責任」を提唱しますが、失うものの大きさを勘案するに、AV出演強制は「自己責任」の範疇に帰属させていいものなのか、はなはだ疑問であります。「おバカ」だからこそ、「失うもの」が大きすぎるからこそ、キム・イルソン主席のチョンサンリ方法、毛沢東の大衆路線に沿って領導しなければならないと思います。

もっとも、これは価値観の問題・正義感の問題です。重々に承知しています。正義感の問題だからこそ、私は、朝鮮中央通信・朝鮮労働党の見解と同じく、AV出演強制問題を放置できません。他人の貞操を心配するほどの暇人であることを私は否定しません。「恒産なくして恒心なし」――他人の貞操を心配できることは決して悪いことではないと思います。「しない善より、する偽善」――困っている人の役に立てば何でも良いと思います。もちろん、自己満足の要素があることは否定しませんヨ。私、俗物ですから。
posted by 管理者 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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