2017年03月08日

「マレーシアは北朝鮮に友好的な国だ」;「戦前の朝日新聞」のような単細胞は通用しない

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170308-00000042-reut-kr
>> 北朝鮮との断交は計画していない=マレーシア首相

ロイター 3/8(水) 12:29配信

[クアラルンプール 8日 ロイター] - マレーシアのナジブ首相は8日、マレーシア政府が北朝鮮との国交断絶を計画していないことを明らかにした。

首相は議会で「われわれは北朝鮮に友好的な国だ」と語った。


(以下略) <<
ラングーン事件の再来ならず! マレーシア首相はこのタイミングで敢えて「われわれは北朝鮮に友好的な国だ」とまで言いました

「国際的孤立を深める北朝鮮」の筋書きに沿わない展開は、日本メディア、韓「国」政府筋にとっては極めて面白くない展開でしょうし、そして、いまだに何かというと「断交」「戦争」「膺懲」だのと戦前の朝日新聞のような単細胞な発想ばかりが飛び出してくる日本「世論」にとっては、意外な展開であることでしょう。断交というのは外交戦略としては選択肢の一つとしてあり得るものですが、そう易々と繰り出せるようなものではないのです。マレーシア政府の今後の決断は、これからの捜査の動向に応じて依然として注視すべきだと私も思いますが、このタイミングで国交断絶を選択するという展開を本気で予想するのは、あまりにも短絡的です。

事実のデータを基に物事を判断する人間にとっては、「国際的孤立を深める北朝鮮」は正しくない認識です。日本「世論」によれば、「へー、マレーシアは北朝鮮なんかといままで国交を結んでいたんだ」といったところでしょうが、外務省(日本)によると、162カ国が朝鮮民主主義人民共和国を国家として承認し、国交を結んでいます。ちなみに、国連加盟国は、全世界で193か国です。アメリカや日本、共産圏とは国交を結ばないバチカンや、冷戦期以来そのままの国々(中南米に多めですが、あのあたりの国々にとって極東アジアには余り関心がないのでしょう)は国交を有さないものの、全世界の8割以上の国々が朝鮮民主主義人民共和国と国交を結んでいます。いわゆる「孤立」のイメージに反する事実のデータです。

エジプトで過去最大規模の「制裁逃れの密輸」が発覚しています。密輸というのは商売であり、つまり「買う人」がいるということです。アフリカ諸国を中心に、「国連の制裁」をヨソに朝鮮民主主義人民共和国と貿易を続けている国は決して少なくありません。また、地理的に遠い朝鮮半島方面からアフリカ方面に「遠征」するには何度か寄港する必要がありますが、わざわざ「敵国」に寄港するはずもなく、シーレーンには「基本的に友好国」が複数存在していることが推察されます。また、このロケット弾事件は、「中国・南京で荷積みされた「水中ポンプの組み立て部品」と虚偽の説明が記されていた」とのことで、やはり中国共産党政権の影がチラつきます。こうした事実のデータは、朝鮮民主主義人民共和国が「孤立」しているとは言いがたい現状を示唆します。国交は「単に結んでいるだけ」という実態を伴わないケースもあるでしょうが、実際の貿易活動の場合、そうはいえないでしょう。

視点を朝鮮民主主義人民共和国本国に移せば、首都ピョンヤンの開発が盛んです。「貧乏で孤立している北朝鮮」が本当であれば、いったい何処からあの資金が出てきたのでしょうか。あれだけミサイルを連射しているのだから、都市整備にかける金銭は国内だけでは逆立ちしても出てこないはず。やはり、「輸出先」があり、「外部からの投資」もあることが推察できます。やはり「孤立」しているイメージに反する事実のデータです。

地方都市に目を移しましょう。もし、朝鮮民主主義人民共和国が対外的に断絶された閉鎖経済であれば、途方のないインフレが今もつづいているはずです。価格も流通物資量も破滅的な状況であるはずです。しかし、事実のデータは異なります。
http://jp.reuters.com/article/north-korea-prices-currency-idJPKCN10K0BB?sp=true
>> World | 2016年 08月 10日 09:34 JST
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アングル:北朝鮮、制裁下でも安定する物価と通貨の「謎」

[ソウル 8日 ロイター] - 相次ぐ核実験や弾道ミサイル発射実験に対して、国際社会が制裁を強めているにもかかわらず、北朝鮮の食料と燃料の価格は、金正恩朝鮮労働党委員長の下でおおむね安定を維持している。孤立する同国内部から得た珍しいデータから明らかとなった。

父親の故金正日総書記の時代とは対照的に、現在は物価と通貨の両方ともに比較的安定しているが、その要因の1つには、ますます進む市場本位の経済に正恩氏が不干渉主義的なアプローチを取っていることが挙げられる。また専門家らは、北朝鮮政府が何らかの政策を習得していることの表れだと指摘する。


(中略)

「金正恩氏が政権を握ってから、ジャンマダンに対する支配、あるいは取り締まりは行われていない」と、脱北者で現在は韓国の北朝鮮専門ネット新聞「デイリーNK」で働くKang Mi-jinさんは話す。Kangさんは定期的に北朝鮮の市場筋と話をするという。

「金正恩氏は悪いこともたくさんしているが、市場を開放し続けることは国民にとってポジティブな効果がある。他に選択肢はない。国民を養えないので、完全に市場を閉鎖することなどできない」

脱北者で運営される「デイリーNK」から得た情報に基づいてロイターがまとめたデータによると、昨年のコメ、トウモロコシ、豚肉、ガソリン、軽油の価格は比較的安定しており、国内外の出来事に対する価格抵抗力を示している。


(中略)

「過去2年に見られるウォンの効果的な安定は、皆にとってちょっとした謎だ」と語るのは、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の北朝鮮経済専門家ステファン・ハガード氏だ。

「通貨の転換が大失敗に終わった後、何らかの貨幣政策の習得があったことはほぼ間違いない」と、同氏は指摘する。

金正恩政権の下で、歯磨き粉から香水まで国内産の消費財が増え始めており、これが価格の安定にも寄与した可能性がある。

平壌の一部の店では現在、ほぼ国内製品だけを販売し、市場の実勢レートに従って価格は決められている。

「北朝鮮で製造された中国製品のコピー商品は、オリジナルよりも安く、人気がある」と、脱北者のSeo Jae-pyoungさん。Seoさんは2001年に北朝鮮を離れたが、定期的に同国内にいる情報筋と話をしている。

北朝鮮の一般国民は差し当たり、国が孤立を深めているにもかかわらず、比較的うまくやっている。

Seoさんは「今年新たに制裁が科されたにもかかわらず、一般市民はうまくやっている」としたうえで、「その効果は来年から徐々に表れ始めるかもしれない」と話した。

(James Pearson記者、Ju-min Park記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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ここで重要なのは、「北朝鮮の一般国民は差し当たり、国が孤立を深めているにもかかわらず、比較的うまくやっている」という事実のデータだけではなく、「金正恩氏が政権を握ってから、ジャンマダンに対する支配、あるいは取り締まりは行われていない」という指摘です。つまり、無政府的な闇市が盛んになっているのではなく、朝鮮労働党政権が、政策としてその自生的秩序を容認しているのです。

このことは、当ブログでも以前から取り上げてきました。2013年10月7日づけ「チュチェの市場経済・ウリ式市場経済――共和国の経済改革措置に関する報道簡易まとめ」では、朝鮮民主主義人民共和国政府関係者の「すべての工場・企業所の国家管理ができなくなってきたので、、産業の現場における権限を拡大する」という、ある意味において、ハイエクの計画経済批判を認めるがごとき発言を紹介しました。また、昨年の最高人民会議においても、2013年以来の経済改革が否定されませんでした。経済改革は政策として進んでいます。さらに、本年1月2日づけ「キムジョンウン委員長の「新年の辞」で集団主義的・社会主義的競争が総括された!」でも触れたとおり、こうした経済改革のイデオロギー的後ろ盾も着々と強化されています。朝鮮民主主義人民共和国はイデオロギー過剰な国家です。「背に腹はかえられず経済改革」ではなく、それを積極的に正当化しているのが昨今の朝鮮労働党政権・キムジョンウン体制なのです。

決して孤立などしていないし、それどころか、立ち位置を固めつつあるのです。諸外国の暗黙の協力下、貿易活動を展開し、その利益を国内で循環させつつあるのが、今日の朝鮮民主主義人民共和国なのです。
posted by 管理者 at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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