2017年05月22日

日本共産党議員の質問に見られるソ連・東欧型放漫経営の保険・損失補填理論

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-19/2017051904_01_1.html
>> 保険使わぬよう誘導
自動車事故時 大門氏が指摘

 日本共産党の大門実紀史議員は18日の参院財政金融委員会で、事故が発生しても自動車保険を使わないよう誘導する仕組みが作られているとして、「本当に顧客のニーズに沿っているのか」とただしました。

 大門氏が取り上げたのは、自動車保険の「事故あり等級制度」という仕組みです。事故を起こして保険金を受け取ると、その後の保険料が無事故の人に比べ割高になるため、損害額によっては保険を使わない方が有利に働くよう設計されています。

 大門氏は、十数万円の損害の場合、保険を使わずに自己負担で直した方が安くなるケースがあることを指摘。保険会社と契約者全体の関係でみれば、保険が使われなかった分だけ保険会社の利益になるとして、「『事故のない人』『事故を起こした人』を対立させながら結局、もうけたのは保険会社ではないか」と提起しました。


(以下略) <<
保険理論的なツッコミどころが満載の言説ですが、共産主義に関連する論点に絞るとすれば、「こんなこと言っているようでは、『日本共産党政権』の経済運営は、ソ連・東欧の二の舞になるぞ」と言えるでしょう。

自動車保険が保険である限りは、事故発生時に「使える」ものでなければならないのは当然です。しかし、いつも易々と損失を補填していては、いわゆるモラルハザードを引き起こします。保険というものは、個々人がそれに胡坐をかき、自主的な注意を怠ることがないように設計しなければなりません。みんながみんな「保険」にもたれ掛かり、注意力散漫になってしまっては、保険支払いは際限がなくなってしまうことでしょう。ソ連・東欧経済における放漫経営は、まさに「いつも易々と損失を補填してしまった」ことが一因であると指摘されています。

このことは、かつてであれば、「自己責任論だ!」と脊髄反射的な罵声が浴びせかけられたものですが、最近は左翼陣営にも少しずつ浸透しつつあるようです。たとえば、マルクス経済学者の松尾匡氏は、この厳然たる歴史的事実を認めた上で、新しい社会主義社会像・アソシエーション社会像においては、「リスク・決定・責任のバランスが重要」「リスクがかかる責任に応じた意思決定参加が必要」と指摘しています。

もっとも、内部留保論のときもそうでしたが、おそらく共産党側は、「保険のイロハ、経済の基本も分かっていない素人染みた言い分」という批判が高まれば、「保険料に『差をつけること自体』を批判しているのではなく、『差をつけすぎ』だといっているのだ」などと慌てて「程度の問題」に論点を修正することでしょう。

しかし、まさに内部留保論のときもそうだったように、「程度の問題」であるというのならば、具体的な数値を指摘する必要があります。内部留保論のときのような「たった1パーセント」といった言い分は、具体的な根拠のある数値ではないので通用しません。政策の専門家結社であるべき共産党は、「1パーセントなんて少ない! もっと巻き上げられるはずだ!」という革命的労働者階級の主張に対して、科学的根拠を与えるべきです。その点において、「たった1パーセント」などという根拠薄弱なる見積もりは、貧困に苦しむ人民大衆に対して無責任極まる「イイカゲンな仕事」であるという他ありません。

具体的な数値として指摘するにあたっては、保険数理的な分析に基づく政策提言が必要になります。まさしく「政権担当能力」。内部留保論を巡っては「たった1パーセント」といった曖昧な主張に逃げた共産党は、自動車保険料については、果たして具体的にどういった保険料設定を想定しているのでしょうか。ソ連・東欧型放漫経営に至るような「安易な損失補填」に過ぎないのではないかという疑いが拭いきれません

ちなみに、保険数理はあまりにも難解なので私には分かりません。現行の保険料設定について私は科学的根拠に基づく異議申し立てを行うことはできません。保険設計に係る「担当能力」は私にはありません。収入に対する保険料額については、自動車保険に限らず、年金保険や健康保険などについても少々思うところはありますが、保険料額はリスクに対して設定されているものだし、私にはオルタナティブを提案できない以上は、現行の保険料額を受け入れるほかないと思っています。一応動作しているシステムを素人考えでイジクるようなことはすべきではありません。
posted by s19171107 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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