2017年10月08日

共和国の自衛論理が報じられるようになった

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171006-00000088-mai-kr
>> <ノーベル平和賞>北朝鮮は「自衛論理」維持か
10/6(金) 21:17配信
毎日新聞

 北朝鮮は自らの核開発は米国の核兵器による脅威に対する抑止力で、自衛目的であるとの論理を今後も維持するとみられる。「米国などが核兵器を廃棄しないなら、自分たちにも核保有の権利がある」という立場だ。

 北朝鮮は今年7月に採択された核兵器禁止条約は、「核兵器の全面撤廃という人類の念願を反映したものだ」と評価。昨年10月、国連総会第1委員会で条約制定交渉開始の決議案に賛成した。

 しかし、今年3月には一転して外務省報道官声明で「米国をはじめとする核保有国が参加を拒否する中では、そうした念願を反映した結果がでるか疑問だ」と主張し、条約への不参加を表明した。また「世界の非核化が実現する時まで、核保有国の責任を果たしていく」とも強調した。

 保有国に核廃絶を迫る核兵器禁止条約を、自らの核開発を正当化する論理に援用している形だ。
(以下略) <<
共和国側の立場や認識・主張について、割と正確に伝えている記事です。意外に思うかも知れませんが、共和国は「核兵器の全面撤廃」というビジョンについては、「人類の念願」として肯定的に位置づけています。しかし、毎日新聞も報じている通り、アメリカと直接的に対峙せざるを得ない状況下では自衛目的の抑止力は不可欠であるために、已む無く核爆弾やICBMといった核武力の整備に邁進しているのです。

共和国とアメリカの圧倒的な国力の差・軍事力の差、アメリカの侵略的な歴史を鑑みれば、さらに最近について言えば、思い付き的に独立国家(シリア)に巡航ミサイルを撃ち込む(一回撃ち込んだっきりですが)ような大統領が執権している事実を鑑みれば、共和国の認識と行動は、主観的な思い込みなどではなく客観的に当然の成り行きと言えるでしょう。

こうした共和国の立場については、当ブログでは以下の2つの記事を筆頭に、理解を示しているところです。
7月29日づけ「ICBM発射実験は安保理決議違反だが正当防衛
9月27日づけ「弱小国が強大国と対峙する唯一の道は「刃物をもったキチガイのフリをすること」――「挑発」は合理的かつ正当防衛的自衛行動の一環

要約すれば、ミサイル発射や核実験といった一連の軍事的行動は、いずれも、アメリカの急迫不正なる直接的脅威に対する正当な自衛行動であること、そして、一見して不必要なまでに大袈裟な行動の数々も、弱小国である共和国が世界最強の軍事力を誇るアメリカと直接対峙する上では「刃物をもったキチガイのフリをする」という心理的抑止戦略のみが、戦争回避・体制維持の唯一の道であり、決して挑発しているわけではないということです。

共和国が主張する自衛論理が、割と正確に報じられるようになったことは特筆すべきことです。「曲解や揶揄抜きで報道される程度」には浸透し始めているようです。

というのも、これがもし、世間一般では全く受け入れられる余地がない内容だったら、その主張を正確に報じてはもらえなかったでしょう。旧ブログ時代以来、私は、光市事件裁判を筆頭とする重大刑事事件・裁判を巡る世論動向・報道動向を継続的にウォッチしてきましたが、日本の世論は、「悪者」認定された者の主張を伝えようものなら、その伝達者までをも激しく叩く傾向があります。「悪者」の言い分には一切耳を傾けてはならず、耳を傾けることは「悪者」の肩を持つことなのだそうです(「悪者」の主張に批判的論評や悪意的曲解を添えて報じることだけは、唯一の例外として許容される傾向があります)。

産経のような「特殊」な読者層を相手とする新聞が、しばしば捻くれ切った屁理屈を並べて事実を曲解・揶揄しているのは極端なケースですが、程度の差こそあれ、商業メディアというものは読者の反応を見越して記事を書く(敢えて書かないこともある)ものです。その点、共和国側の主張を割と淡々と伝えている上掲の毎日新聞記事は、特異的だなと思うところです。
posted by 管理者 at 22:55| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。