>> 自民支持の若者票をどう取り込む? 立憲民主党・枝野代表を直撃!「まったく考えていません」■党としての主張を鮮明にした上で、その次に党組織の拡大が必要
11/6(月) 6:00配信
週プレNEWS
10月の衆院選の結果、野党第一党に躍り出た立憲民主党。しかし、“自民一強”の構図は温存どころか強化された感がある。では、選挙を通して“男を上げた”と評された枝野幸男代表は今、何を考えているのか。
(中略)
―確かに民主党も民進党も、常に「考えがバラバラな議員の寄せ集め」との批判がありました。
枝野 これまでは自民党に対抗するには大きなまとまり、政党をつくらなきゃダメだといわれていましたが、実は違った。党としての主張を鮮明にしていかないと、結局自民党とどこが違うのかが、有権者にわからなかったんですね。
(中略)
―では今後、自民党支持の若者をどう取り込む?
枝野 それはまったく考えていません。
―必要ないと?
枝野 自民党支持の有権者をひっくり返すのではなく、“今回の選挙で投票に行かなかった人に、次の選挙で立憲民主党に投票してもらう”のです
(以下略) <<
「これまでは自民党に対抗するには大きなまとまり、政党をつくらなきゃダメだといわれていましたが、実は違った。党としての主張を鮮明にしていかないと」というくだりについて、行間を「やみくもに巨大化を目指すのではなく、党としての主張を鮮明にした上で、その次に党組織の拡大が必要なんだ」といった具合に好意的に読もうとすれば、これは正しい主張だと言えるでしょう。
政治は力、力は数。後述するように、私は政治と言うものは「交渉と調整で対立する利害関係に折り合いをつけるもの」であると考えている点、数さえあれば良いというものではないと考えていますが、しかし、キチンとした交渉を展開してゆくためには、数を誇らなければ始まらないものです。まさか枝野氏ともあろう御方が、そんなことも知らないとは到底思えないので、おそらく雑誌編集者のインタビューの取り仕切りか、インタビュー内容の切り貼りが下手だったんでしょう。
■投票率が上がったからといって、相対的な勢力格差に変わりはない
しかし、「自民党支持の有権者をひっくり返すのではなく、“今回の選挙で投票に行かなかった人に、次の選挙で立憲民主党に投票してもらう”のです。つまり、投票率を上げること。」というのは、好意的に行間を読もうとしてもできない、ハチャメチャな言い分です。
「今回の選挙で投票に行かなかった人に、次の選挙で立憲民主党に投票してもらう」と「投票率を上げる」は直結しないでしょう。ふつう、全体の投票率がたとえば1パーセント増えれば、自民党の得票も立憲民主党の得票も、ひとしく1パーセント分スライド的に増えるものです。投票率が上がったからといって、相対的な勢力格差に変わりはないものです。政敵から支持者を奪うくらいの勢いが必要です。
■政治の位置づけを「数の力での突破の営み」に帰着させる枝野氏のプラン――懐の深さが絶対的に足りない
それ以上に驚くべきは、「自民党支持の若者をどう取り込む」という問いに対する「それはまったく考えていません」という応答。この一言を見るだけで立憲民主党に政権獲得の意思もなければ能力もないことが明々白々になるものです。
政治というものは利害調整の営みです。対立する意見や利益について交渉して折り合いをつける営みです。その意味において、相手側の主張も取り込む懐の深さが必要です。他方、相手側の主張を取り込まず、「処女地開拓」に邁進すると宣言した枝野氏のプランは、結局、政治の位置づけを「利害調整の営み」ではなく「数の力での突破の営み」に帰着させるものです。こんな方法論を為政者が採用しようものなら事態の対立的構図の収拾がつかなくなり、失敗するでしょう。その点において、与党にはなり得ないでしょう。
■ある意味「レーニン主義的」
まあ、ロシア10月革命から明日で100年になるにもかかわらず革命的左翼勢力がまったく元気がない昨今において、「人民の意思を代表し敵対勢力を粉砕するレーニン主義的な階級闘争革命精神」を感じさせる枝野氏の「突破志向」は、近頃では貴重種であると言えるかも知れません。Товарищ Едано ура!
ラベル:政治