2017年11月23日

強い敵より愚かな味方の方が脅威的;民営化論者として、デタラメな「公営廃止」に反対する

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171123-00010002-agora-soci
>> 都営バスの公営廃止を強く求める! --- 荘司 雅彦
11/23(木) 16:29配信
アゴラ

「こんなに狭い道をバスが通っているのか!」と驚いた経験をした都内在住の方が、案外多いのではないでしょうか?

都内を走っているのは(観光バス等を除けば)都営バスで、運転手さんは地方公務員です(待遇は若干異なるようですが)。

ちなみに、2016年3月20日時点で、公営バスが運行されているのは東京都と長崎県のみです。
それ以外の自治体の公営バスは全て民間委託か民営化がなされています。


(中略)

なぜ東京都が採算の合わない都営バスを直接運営しているかといえば、都の財政が豊かであるという理由しか私には思いつきません。住民の足の確保という点では、他の地方自治体の方がはるかに必要性が強いからです。

狭い道を走ってくるバスは歩行者や自転車にとっても危険です。
また、追い越しの効かないところにバス停があるので、交通渋滞の大きな原因になっています。
さらに、車高の高いバスは後続車の安全を脅かします。
信号が見えないバスの後ろにいて、バスに付いていったら信号が変わっていてヒヤリとした経験をお持ちの方も少なくないと思います。

都営バスの運行本数が減れば、短い区間を安い料金利用できる「ちょい乗り」を始めたタクシー業界にとってかなりの収益向上が見込めるはずです。
最寄りの地下鉄やJRの駅までの利用者が増えるでしょうから。

そういう意味では、官業が民業を圧迫しているとも言えます。


(以下略) <<
荘司雅彦氏――割と「頭でっかち」な記事を量産される方です。「公営廃止」といった類の荘司氏の従来からの主張には、私も基本的には賛同しているものですが、今回ばかりはちょっとデタラメが酷過ぎるものです。ちゃんと調べたのかな? 強い敵より愚かな味方の方が脅威的です。

都内を走っているのは(観光バス等を除けば)都営バス」という認識がまず大間違いです。山手線沿線だけが生活圏なのでしょうか? 都内では、東急や京王、小田急といった大手私鉄沿線であれば私鉄系バス、そのほかにも関東バスや国際興業バス、神奈川中央バス(かなちゅうが我が物顔で走り回る東京都町田市・・・)といった民営バスが数多く運行されています。都営バスは、23区内の私鉄系バスと競合しないエリアだけを担当しており、なおかつ、青梅支所管轄の数路線を除き東京都内の市部には一路線も擁していません

そして、「こんなに狭い道をバスが通っているのか!」と驚かされるバス路線は、ほとんどの場合、民営バス路線です。「追い越しの効かないところにバス停があるので、交通渋滞の大きな原因になっています」という指摘も、ほとんどの場合、民営バス路線での話です。こんなのは路線図を見るだけでも分かることだし、どこかテキトウに私鉄駅を降りてバスに乗ってみれば、ただちに分かることでしょう。

都内のバス路線はかなり明確に「棲み分け」されているものですが、都営バスのシマは、都心部の比較的大きな通りです。これは、もともと都営バスが都電やトロリーバスの代替として誕生したことに起因するものです。都営バスが狭い道で歩行者や自転車の間を縫うようにして走ったり、追い越しができないような片側一車線道路や一方通行道路を経路にしているケースは、絶無ではないものの、かなり少数なケースと言ってよいものです。

官業が民業を圧迫している」と言いたいのであれば、放っておいても誰かがきっと参入するであろう、都心部の大通りを経由する路線を都が独占していることを槍玉に挙げるべきでしょう。たとえばこのことを、毛沢東の『新民主主義論』における「たとえば銀行、鉄道、航空事業などのたぐいは、国家がこれを経営管理し、私有資本制度が国民の経済生活を左右できないようにする」という著述に連結させ、「都営バスの存在は社会主義的統制経済の残滓!」と騒ぎ立てるのであれば、ぶっちゃけ正気を疑う尋常ならざるアクロバットな言い分だとは思いますが、「都内を走っているのは(観光バス等を除けば)都営バス」などと大嘘を書くよりは遥かにマシだったでしょう。

はとバスへの業務委託もある以上は、「運転手さんは地方公務員」というのも正確な記述ではありません。民間企業であるはとバスが受注することは、決して悪いことではないでしょう。

都営バスの運行本数が減れば、短い区間を安い料金利用できる「ちょい乗り」を始めたタクシー業界にとってかなりの収益向上が見込めるはず」などというものの、多くの人々がおのおのでタクシーの「ちょい乗り」を使って最寄りの鉄道駅まで行くのと、乗合自動車としての路線バスを使って最寄りの鉄道駅まで行くのは、果たしてどちらが社会的資源の効率的活用を実現できるのでしょうか? 経済学や経済政策というものは、単に経済活動を活性化させればよいものではなく、社会的資源の効率的配分について考慮しつつ経済活動を活性化させることが使命です。「とりあえずタクシー業界が活況」だからよいという考え方はしないものです。

荘司雅彦氏は弁護士先生ですが、弁護士先生にありがちなのが、目の前の事象に囚われて社会全体を見据えた視野に欠けること。「個々人の私的な都合や権利を無視せよ」などというつもりは毛頭ないものの、自身が肩入れしているクライアントの要求を満たすことだけが法律家の任務ではなく、限定空間における個人的事情と公的空間における社会的事情とを調整することもまた、法律家の任務でありましょう。その点、荘司氏の上掲の言説は、あまりにも短絡的に視野が狭いと言うほかありません。

荘司雅彦氏は弁護士なので頭の回転は速いのでしょうが、インプットデータや立場がこうもデタラメだと、せっかくの頭の良さも台無しです。
ラベル:社会 経済 経済学
posted by 管理者 at 20:30| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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