2017年12月04日

冬季漁獲戦闘から見える、相当に健在なる共和国の動員力

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171204-00010014-abema-kr&p=1
>> 相次ぐ木造船漂着、そして兵士亡命が示す北朝鮮経済の危うさ
12/4(月) 16:50配信
AbemaTIMES


(本文省略) <<
この見立ては、いまの大方の見立てといったところでしょうが、私はむしろ、「共和国の動員力は相当に健在」であることの一つの証拠であると見ています。

共和国が、朝鮮労働党委員長を頂点とするピラミッド型ヒエラルキー構造の社会主義国である事実から出発すべきです。

同様の構造であった中国の人民公社の歴史的事実を思い起こしましょう。人民公社の労働者たちは、「到底割に合わないノルマ」を下達されるや否や、やる気ゼロのテキトウ労働にてノルマを遥かに下回る実績に留まりながらも「ノルマ達成」を主張したものでした。自分自身の個人的な損得に忠実な人民公社の労働者たちは、割に合わないノルマなど達成としようともしなかったのです。

それに対して共和国の漁師たちはどうか。党の号令一下に、明らかに沿岸漁業用の小型船舶で冬の日本海に乗り出しています。テレビなどで繰り返し報じられているように、日本の漁師であれば、あんな船では絶対に冬の日本海には乗り出しません。どう考えても「到底割に合わないノルマ」であるにも関わらず、馬鹿正直なまでに党政策貫徹を実行しているのが、共和国の漁師たちなのです。

「処罰を恐れているから嫌々、出漁しているに決まっているだろう」という反論もあるかもしれませんが、これは社会主義国の実態を踏まえない頭でっかちな理屈です。

またしても中国の人民公社における歴史的実例を振り返りましょう。毛沢東体制においては、死刑を含めた厳しい姿勢で生産ノルマの達成を要求されていたものですが、逆にそうであるがゆえに、ノルマを遥かに下回る実績に留まった現場労働者や現場監督者は、そのまま実態を報告すれば、自分自身の「クビ」(文字通りの意味で)に関わるので、「ノルマ達成」と上級機関に報告したものです。ピラミッド型ヒエラルキー構造の社会主義国においては報道の自由がないので、虚偽報告をしたところで事実が暴露されることはまずありません。中央が派遣してくる調査隊にしても、適切に「接待」しておけば問題にはならないものです。それゆえに、虚偽報告が横行したものであり、それどころか、ちょっと野心のある人物に至っては、「ノルマの超過達成」なる大嘘をついたものです。この虚偽報告が、中央計画当局・党中央に到達するころには、実態の数十倍の「成果」になっていたものです。

「処罰を恐れているから」こそ、ピラミッド型ヒエラルキー構造の社会主義国においては、「嫌々ノルマを達成する」のではなく、「みんなで結託して虚偽報告で取り繕う」のです。

その点、「金正恩委員長の指示で漁獲量を増やすことが急務になっている」とはいっても、「普通の社会主義国」であれば、朝鮮労働党が如何に「冬季漁獲戦闘」を政策として打ち出したところで、漁師たちは沿岸をチャプチャプとクルージングして、適当な頃合いを見計らって帰港することでしょう。

中国の漁船に漁業権を付与することで(中略)北朝鮮の漁師たちは自国の近海から締め出され」ているとは言えども、中国海軍が常に監視しているわけではないのだから、中国船の目を盗んで申し訳程度に「密漁」を行ってお茶を濁そうとすることでしょう(漁業は自然環境の影響が大きいのだから、農業労働者たちが言い訳を捻り出すよりも、遥かに言い逃れるのは容易でしょう)。

以上のように、サボろうとすれば割と容易にサボれるところであるにも関わらず、共和国の漁師たちは馬鹿正直なまでに、荒れる冬の日本海に出漁しています。どう考えても割に合わず、適当に取り繕うとすれば容易である事態であるにも関わらず、馬鹿正直に党政策貫徹が実行されている現状。「普通の社会主義国」の例に従えば到底考えられない事態です。この点においてこそ私は、このことが、「共和国の動員力は相当に健在」であることの一つの証拠であるとみているのです。

キムジョンイル総書記は、『思想活動を優先させるのは社会主義偉業遂行の必須の要求である』にて次のように指摘されています。
http://kcyosaku.web.fc2.com/kj1995061900.html
>> 社会主義思想教育を正しく行ってこそ、人民大衆を思想的に目覚めさせ、組織的にかたく結束することができ、人民大衆に社会主義の主体、国家と社会の主人としての責任と役割を果たさせることができる。人民大衆は高い思想・意識をもち、一つにかたく団結してたたかうとき、底知れない力と知恵を発揮し、自然と社会の改造において偉大な変革をもたらすことができる。 <<
キムジョンイル総書記のお言葉が現実世界で実践されていると見なすことこそが、自然な見立てであると言うべき事態。無茶なノルマであるにも関わらず、誤魔化そうとすれば幾らでも誤魔化せるにも関わらず、愚直なまでに本当にノルマを達成しようとして漁師たちが大挙して冬の荒れる日本海に繰り出してきている限りは、まだまだ盤石ですよ朝鮮労働党体制は。
posted by 管理者 at 23:38| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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