2018年02月01日

平和の問題も福祉・労働の問題も詰めが甘い日本共産党

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-31/2018013101_04_1.html
>> 2018年1月31日(水)
非人道的惨禍が前提 「核抑止力論」を批判
衆院予算委 藤野氏、政府を追及

 日本共産党の藤野保史議員は30日の衆院予算委員会で、北朝鮮の脅威と「核抑止力論」を理由に核兵器禁止条約に背を向ける日本政府の態度をただし、安倍晋三首相に正面から条約参加を強く求めました。


(中略)

 藤野氏は、「核抑止論」について、「広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こしても許されるという考え方だ。唯一の戦争被爆国の政府が続けていいのかが問われている」と指摘。「核兵器を違法化し、『悪の烙印(らくいん)』を押すことが核兵器開発の放棄を迫る国際的な大きな力になる。日本政府は条約に参加してこそ、北朝鮮にも核兵器を捨てなさいと強い立場で迫ることができる。北朝鮮問題の解決には、核兵器禁止条約が最も抜本的かつ現実的な道だ」と指摘しました。 <<
核抑止論は、広島・長崎のような非人道的惨禍を回避しようとする合理的思考に対する期待があればこその外交戦術のはずですが、それはさておき、「日本政府は条約に参加してこそ、北朝鮮にも核兵器を捨てなさいと強い立場で迫ることができる」という言い分。大丈夫かな? 共和国の興味関心は徹底してアメリカであり、日本など眼中にないというのが実態でしょう。

日本共産党の理屈ではこうなのかもしれませんが、交渉事なのだから、問題は、朝鮮労働党がどういう理屈に立脚しているかです。自分が拠って立つ理屈を相手側に当てはめることは愚かなことです。国際関係でも「科学的指導」をするつもりなのでしょうか?

『しんぶん赤旗』の編集が悪いのかもしれませんが、日本共産党は平和と労働を政策的柱にしている割には、筋の通らない理解困難な言説がますます増えています。直近でも、1月30日づけ「大東建託労組員の夢物語的願望に付き合う日本共産党の著しい後退」で言及したとおり、ブラック企業の大家である大東建託について、労働運動による「体質改善」を目指す言説を好意的に取り上げるという、科学的社会主義・革命的共産主義者としては驚くべき言説を展開したところです。

当該記事でも述べましたが、一般的なレベルの企業であれば労組運動は必ずしも無意味・無価値ではないと思いますが、しかし、大東建託のケースでは無意味・無価値と言っても過言ではありません。それだけ大東建託は悪質です。大東建託のケースのような経営者・資本家が改心するはずなどなく手遅れです。

当該記事では「辞める」ことの効果を述べました。すなわち、@ミクロ的には、個別労働者が心身の無理をせず「退職」するのは、取り急ぎ安全地帯に脱出するという意味で最善的であること、そしてAマクロ的には、労働市場においてブラックの悪名が立つと求職者が減ってしまうので、企業側としては営利的判断として待遇改善に取り組むようになるわけです(もともと日本共産党はEconomics的な分析には批判的であり、かつ疎いので、これは仕方ないかなと思いますが・・・いやまあ、ダメだとは思うけど、新しい分析の視座を消化するのには時間がかかるから・・・)。

もちろん、特筆的に悪質なブラック企業といえども、現実として大東建託に勤めている人々がいる以上は、長期的には倒産・破産を目指すべきですが、短期的には現従業員の生活を擁護する必要が絶対的に存在します。それはまさしく政治の課題、経済政策の課題です。その点について私は、「社会的に好ましくない企業の淘汰」のためにこそ、スウェーデンの福祉国家モデルを参考に、ソーシャル・ブリッジの構築を急ぐべきだと述べました。かの国では、斜陽産業の淘汰を促進させつつ当該企業従業員の生活を擁護するためにソーシャル・ブリッジを構築しています。スウェーデン・モデルの神髄を「企業の適者生存のためにソーシャル・ブリッジを構築すること」に位置づけた上で、それが指し示す前例を摂取し、来るべき「日本モデル」を「ブラック企業の淘汰のためにソーシャル・ブリッジを構築すること」とすべきでしょう。しかし、日本共産党の政策パッケージからは、そういった観点を見出すことは、ほとんど不可能です。

平和の問題も福祉・労働の問題も詰めが甘い・・・というよりもともとの客観的事情の認識がズレていると言わざるを得ない、後退著しい日本共産党の姿が改めて浮き彫りになったわけです。地域の生活上の課題解決には依然として存在感があるとは思っていますが、そのレベルを超えるスケールになると一気に意味不明な「政策」が目白押しになるのが今日の日本共産党の姿です。
posted by 管理者 at 22:22| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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