2019年03月23日

最高人民会議第14期代議員選挙結果を読む

最高人民会議第14期代議員選挙が去る3月10日に執行され、全687議席が確定しました。「共和国においてこそクレムリノロジ―的分析が有効だ」という持論の私としては、共和国の権力構造を人材の布陣から把握できる絶好の機会として注目の選挙。何よりも最大の注目点は、キム・ジョンウン委員長におかれては代議員に立候補なさらず、よって当選者名簿に載っていらっしゃらないことです。

キム・ジョンウン委員長が最高人民会議代議員選挙に立候補されなかった!
このことについては、さまざまな推測が流布しています。『統一ニュース』は、12日づけ記事でチョン・チャンヒョン平和経済研究所所長のコメントを次のように報じています。
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=128110
북 김정은, 최고인민회의 대의원 처음 빠져
北のキム・ジョンウン、最高人民会議代議員から初めて抜ける

(中略)

정창현 평화경제연구소 소장은 “김정은 위원장이 수령을 신비주의화하지 말라고 했다. 그 말이 말로 그친 게 아니라 행동으로 보여주고, 그러한 방침이 확고하다는 걸 보여주는 것”이라고 추측했다.
チョン・チャンヒョン平和経済研究所所長は「キム・ジョンウン委員長は、首領を神秘化しないようにした。その言葉が掛け声に終わったのではなく、行動で示し、そのような方針がしっかりしていることを示している」と推測した。

“최고인민회의에서 국무위원장을 선출하는데, 본인이 대의원으로 있으면서 국무위원장으로 선출되는 것이 불합리하다고 생각할 수도 있”고 “최고인민회의 대의원은 인민대중을 기본적으로 대표하는 자리이기 때문에, 자신의 이름을 빼면서 수령 신비주의화에 선을 분명하게 그어주는 조치”라는 것.
「最高人民会議では国務委員長を選出するが、代議員でありながら国務委員長に選出されるのは不合理だと考えることもでき」、「最高人民会議代議員は人民大衆を代表する立場であるため、自分の名前を外して首領神秘化と明確に線引きした措置」とのこと。

김 위원장은 서한에서 “수령은 인민과 동떨어져 있는 존재가 아니라 인민과 생사고락을 같이하며 인민의 행복을 위하여 헌신하는 인민의 영도자”라며 “위대성을 부각시킨다고 하면서 수령의 혁명활동과 풍모를 신비화하면 진실을 가리우게 된다”면서 “위대성 교양의 내용을 우리 당의 인민대중제일주의로 관통시켜야 한다”고 강조한 바 있다.
キム委員長は書簡において、「首領は人民とかけ離れた存在ではなく、人民と苦楽を共にし、人民の幸せのために献身する人民の領導者」であり、「その偉大性を浮き彫りにさせると言って首領の革命活動と風貌を神秘化しようものならば、真実を隠すことになる」とし、「偉大性教育の内容を我が党の人民大衆第一主義で貫通させなければならない」と強調したことがある。

2014년 13기 대의원 추대 당시, “조선의 군대와 인민을 이끌어 온 기간은 짧은 한순간에 지나지 않지만, 이 나날에 쌓아 올린 업적은 보통의 정치가들은 백 년, 2백 년이 걸려도 이룩할 수 없는 참으로 거대한 업적”이라고 추켜세운 바 있는데, 이는 김 위원장이 밝힌 수령의 신비주의화에 해당하는 내용.
2014年の第13期代議員推戴時、(キム委員長は側近たちから)「朝鮮の軍隊と人民を率いてきた期間は短い期間に過ぎないが、この日々に築いた業績は、普通の政治家たちならば百年、二百年がかかっても成し遂げられない非常に巨大な業績(をあげた)」と持ち上げられたことがあったが、(これこそが)キム委員長が言う「首領神秘化」にあたるものだ。

김 위원장이 강조한 인민대중제일주의에 따라, ‘인민과 생사고락을 같이하며 인민의 행복을 위하여 헌신하는 인민의 영도자’로서 ‘수령에게 인간적으로, 동지적으로 매혹될 때, 절대적인 충실성이 우러러 나온다’라는 입장에 따라, 타인에 의한 무조건적 추대를 거부했을 수 있다.
キム委員長が強調した人民大衆第一主義に従い、「人民と苦楽を共にし、人民の幸せのために献身する人民の領導者」として、「首領に人間的・同志的に魅せられるとき、絶対的な忠実性が出てくる」という立場に立つ者として、他者による無条件的な推戴を拒否した可能性もあるのだ。

김 위원장이 최고인민회의 대의원 명단에 빠졌다고 해서, 국무위원장직에 오르지 못하는 것은 아니다. 최고인민회의는 북한의 최고주권기관으로 국무위원장을 선거 또는 소환할 수 있지만, 국무위원장의 자격을 대의원에 한정하지 않기 때문이다.
キム委員長が最高人民会議の代議員名簿に載らなかったからといって国務委員長職になれないということはない。最高人民会議は、北朝鮮の最高主権機関として国務委員長を選挙または召喚できるが、国務委員長の資格を代議員に限定していないからだ。

국무위원회는 최고정책지도기관으로 국무위원장은 ‘공화국의 최고영도자’이며 ‘공화국 전반적 무력의 최고사령관으로 되며, 국가의 무력을 지휘통솔하’는 임무를 갖고 있다.

国務委員会は最高指導機関として、国務委員長は「共和国の最高領導者」であり、「共和国の全般的な武力の最高司令官になり、国家の武力を指揮統率する」という任務を持っている。

(以下略)
「首領を神秘化しない」や「親しみやすい指導者」といったイメージ戦略は、キム委員長が就任以来一貫して注力されてきたことですが、「最高人民会議の代議員に選出されると人民大衆とかけ離れた立場になってしまう」という分析は、「?」をつけざるを得ないものです。ただ、建前とは別に最高人民会議の代議員と人民大衆との間に事実として「溝」があるとすれば、そのことをキム委員長が自らのイメージ戦略に逆に活用する可能性も絶無ではない点、一概には否定できない分析かと思います。

韓「国」紙『ハンギョレ』は、下記13日づけ記事で、「4月初めの第1回会議で、金委員長を特定の選挙区ではなく、“全人民の代議員”に推戴し、象徴的な地位を与える可能性もある」という韓「国」「政府」の元高官のコメントを掲載。「最高人民会議の際、一般の代議員である最高指導者が、最高人民会議常任委員長・議長よりも上座の中央に座ってきた慣例をなくすことで、最高人民会議の形式的“独立性”を高める狙いと見られる。」とも分析しています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00033005-hankyoreh-kr
金委員長が史上初めて最高人民会議代議員に出馬しなかった理由とは
3/13(水) 17:17配信
ハンギョレ新聞

687人の名簿に名前見当たらず 「全人民の代議員」に推戴される可能性も
 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、10日に行われた最高人民会議第14期代議員選挙に出馬しなかったことが確認された。1948年の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の創建以来、最高指導者が最高人民会議代議員選挙に出馬しなかった前例が一度もなかったことから、金委員長がこのような選択をした背景に関心が集まっている。


(中略)

 政府当局者は「金委員長が最高人民会議代議員に選出されなかったことの政策的含意は、4月9〜10日ごろ開かれる最高人民会議第14期第1回会議で確認できるものと見られる」と述べた。これに関し、北朝鮮の事情に詳しい元政府高官は「4月初めの第1回会議で、金委員長を特定の選挙区ではなく、“全人民の代議員”に推戴し、象徴的な地位を与える可能性もある」と見通した。最高人民会議の際、一般の代議員である最高指導者が、最高人民会議常任委員長・議長よりも上座の中央に座ってきた慣例をなくすことで、最高人民会議の形式的“独立性”を高める狙いと見られる。
『統一ニュース』で指摘されている「人民大衆第一主義」の文脈で「金委員長を特定の選挙区ではなく、“全人民の代議員”に推戴し、象徴的な地位を与える可能性」を位置づけると、興味深い可能性の指摘であると言えるでしょう。

18日づけ韓「国」紙『中央日報』(日本語版)は、韓「国」に亡命したテ・ヨンホ(太永浩)元駐英公使の分析として次のように報じています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190318-00000038-cnippou-kr
「金正恩が改憲の動き…金日成主席制を再導入も」
3/18(月) 15:02配信
中央日報日本語版

韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使が、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が第14期最高人民会議代議員に出馬しなかったことについて「憲法改正を準備中」と分析した。

太氏は17日、ブログに「金正恩委員長が第14期最高人民会議代議員名簿に含まれなかったが、こうした現象は北朝鮮の歴史で初めて」とし「来月初めに開催される第14期最高人民会議第1次会議をきっかけに、金正恩の職位に関連する憲法の修正を準備しているものと推定される」と明らかにした。

現在、金委員長の職位は「国務委員長」で、北朝鮮の最高統治者だ。しかし憲法上、対外的に北朝鮮を代表するのは金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長となっている。太氏はこのため今すぐ終戦宣言がある場合、署名式に出席するのは金委員長でなく金永南常任委員長だと説明した。

太氏は「金正恩を憲法的に北朝鮮の国家首班であることを明記するのは、今後、多国間の合意で締結される終戦宣言や平和協定に署名する金正恩の憲法的な職位を明らかにするためにも必要な工程」と強調した。

続いて「西側で留学した金正恩は西側国家の大統領が国会議員職を兼職しないことをよく知っているため、北朝鮮の憲法でも国家首班が代議員職を兼職する制度をなくそうとする可能性がある」という見方を示した。

太氏は「北朝鮮は憲法を改正し、今のような金永南の最高人民会議常任委員会委員長職は廃止するだろう」とし「この場合、結局は70年代の金日成(キム・イルソン)の主席制を再び導入することになる」と説明した。


(以下略)
首領様は、主席職と最高人民会議代議員職を兼ねておられたので、「主席制を再び導入することになる」というのは正確さに欠ける表現でしょう。また、「西側国家の大統領が国会議員職を兼職しないから自分も兼職しない」というのは、可能性として考えられないことはないものの、論拠としては薄いような気もします。あれだけ「ウリ式」を強調し、それゆえに世界的にも稀有な制度をもつ国で、ここだけ西側の制度をコピー・導入するものでしょうか? 現時点では「あるかもしれないし、ないかもしれない」としかいえない分析です。

全体的に「どちらともいえないなぁ」と思うものの、エリートとはいえ決して権力中枢にいたわけではなく、また、亡命から時間が経過しているがゆえに最新の権力事情について明るいとは考えにくいテ・ヨンホ氏の分析ながらも、興味深いとは思います。

宮本悟氏は、20日公開の『日経ビジネス』記事で、おそらくテ・ヨンホ氏の分析を意識しつつ以下のように推理しています。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190320-59625666-business-kr&p=1
金正恩は大統領になるのか?!
3/20(水) 18:00配信
日経ビジネス

 北朝鮮で2019年3月10日に、中央議会である最高人民会議の第14期代議員選挙が実施された。建国以来、14回目の選挙である。しかし、極めて異例な結果が発表された。当選した687名の代議員の名簿が発表されたところ、そこに、北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)の名前がなかったのだ。北朝鮮の支配政党である朝鮮労働党のリーダーが、最高人民会議の代議員に当選しなかったのは、史上初めてのことである。


(中略)

 このままでは金正恩は、最高人民会議代議員だけでなく、政府(国家)の執政長官である国務委員会委員長の職務も失うことになる。北朝鮮の執政長官は現在まですべて、最高人民会議の代議員から選ばれてきた。金正恩が選挙を通じないで執政長官になれば、諸外国で揶揄されてきたように君主制(王朝)になってしまう。それは朝鮮民主主義人民共和国ではなくなることを意味する。

 ただし、国名を維持しながら、金正恩が政府の執政長官になる方法が一つ考えられる。それは現在の議院内閣制から大統領制に移行することだ。もちろん、そのためには憲法改正が必要になる。新たに当選した最高人民会議の代議員による第1次会議が4月に開催されるはずなので、おそらくそこで憲法を改正するのであろう。そして、新たに大統領選挙が実施され、直接選挙によって「推戴」された執政長官である金正恩が誕生することになると考えられる。


(中略)

●首脳会談に臨んで対外代表権が必要になった
 執政制度によって権力関係に変化がないのならば、なぜ北朝鮮は議院内閣制から大統領制に移行する必要があるのか。それは、1972年から1998年(実際は1994年まで)まで採用していた「主席制」にヒントがある。主席制だと、執政長官は、米国や韓国の大統領と同じように、対外代表権を持つ。主席制は、選挙制度を基準にすれば議院内閣制であるが、対外代表権を基準にすれば大統領制といえる。


(中略)

 1972年に主席制を採用したのは、執政長官である金日成が外交活動をしやすくするためであることが分かっている。建国以来、北朝鮮の外交相手の中心であった社会主義国家では、国家の代表よりも、党の代表が重要であったので、執政長官が対外代表権を持つ必要はなかった。しかし、1970年代に入り、北朝鮮が第三世界外交に力を入れるようになると、社会主義国家以外の国家との外交に金日成が直接かかわることが多くなった。そこで、金日成が対外代表権を持つ必要が出てきた。でなければ、対外代表権を持つ最高人民会議常任委員会委員長が金日成よりも上位に扱われることになるからだ。

 金正恩は2018年から各国との首脳会談を始めた。しかし、首脳会談で会談した中国国家主席、韓国大統領、米国大統領、キューバ国家評議会議長、ベトナム主席はすべて国家元首であって対外代表権があった。そこで、北朝鮮も金正恩に対外代表権が必要と考えたのかもしれない。


(以下略)
テ・ヨンホ氏の分析の二番煎じと言う他ない内容ですが、これもまた「最高人民会議代議員選挙に立候補しなかった理由の説明にはならないのでは?」と言わざるを得ないところです。前述のとおり、首領様は主席職と最高人民会議代議員職を兼務されていたのですから。

ちなみに、共和国は憲法で党の指導性が定められているので、「国名を維持しながら、金正恩が政府の執政長官になる方法」にこだわる必要は絶対的ではありません。たとえば、ベトナムは長く実質的最高指導者である党書記長、国家元首である国家主席、実務担当の首相を分担するトロイカ体制を敷いてきました。もちろん、唯一指導体系を重視する共和国にあっては集団指導体制を目指す意味でのトロイカ体制に移行する可能性は低そうですが、党組織の指導的役割の復権・強化・向上は以前からの政策課題なので、党の指導性・優位的立場を強調しつつ党委員長職に専念なさる可能性は絶無とは言えないでしょう。

■立候補しなかった真意とは?
『統一ニュース』に掲載されたチョン・チャンヒョン平和経済研究所所長の分析、『ハンギョレ』紙掲載の分析、そして、テ・ヨンホ氏と宮本悟氏の分析の分析を総合してみましょう。積極的な平和攻勢を強める共和国にあっては、キム・ジョンウン委員長を対外代表権を持つ地位につける必要がある点において何らかの組織改正が予定されていると思われるものの、最高人民会議代議員と兼職しなかった理由は別にあると考えられ、その真意は、対内的なイメージ戦略にあるとは考えられないでしょうか?

かつてキム・ジョンイル総書記は、党中央委員会全員会議で選出されるのではなく、全国の党細胞が個別に開いた代表会での推戴決議に基づいて総書記に就任されました。それと同様に、キム・ジョンウン委員長におかれては、「首領に人間的・同志的に魅せられるとき、絶対的な忠実性が出てくる」という格言に従い「人民と苦楽を共にし、人民の幸せのために献身する人民の領導者」という人民大衆第一主義のイメージを演出するために、特定の選挙区で出馬・当選するのではなく「全人民の代議員」として推戴をうけ、代議員に就任するという可能性が考えられるでしょう。

もちろん私の上述推測は、他人様の推測を都合よく継ぎ接ぎしただけのシロモノなので、輪をかけて信憑性が低いと自分でも思ってはいます。すべては4月上旬に開催されるであろう会議以降に判明することでしょう(朝鮮総連機関紙『朝鮮新報』が意味深にも沈黙している姿に私も学び、これ以上の余計な推測は控えようと思います)。

■その他幹部たちの当選状況から見える、こんにちの共和国の権力構造
キム・ジョンウン委員長の件以外について、クレムリノロジ―的に分析したいと思います。ここからは、聯合ニュース記事(12日づけ)『コリア・レポート』編集長のピョン・ジンイル(辺真一)氏の記事(13日づけ)から注目した点を箇条書きにします。

・朝米首脳会談に関わったキム・ヨンチョル党統一戦線部長、リ・スヨン党国際部長、キム・ゲグァン第一外務次官が再選、リ・ヨンホ外相とチェ・ソンヒ外務次官は初当選。第2回会談が合意に至らなかったために左遷されることはなかった模様。
・国家安全部、護衛司令部、そして保衛司令官(保衛局長)うち代議員として残ったのはチョ・ギョンチョル保衛司令官のみとなった。体制維持の要である公安・保安部門の三大ポストのうち二つのクビを飛ばせるほどキム・ジョンウン体制は安定している。
・ファン・ビョンソ党組織指導部第一副部長が消えた。降格したものの完全に失脚したわけではなく、昨年8月の段階では現地指導に同行したと報じられているが、また情勢が変わったのか?
・キム・ギョンオク同第一副部長も消えた。キム・ジョンイル総書記の信任が厚く権力継承期にも活躍したが、現政権下においては粛清説も流れたこともあった人物。もしかすると、現改革にとって「古い人」なのかもしれないが不明。
・長老世代が引退する中、イデオロギー担当だったキム・ギナム(金基南/金己男)氏が再選された(48号選挙区選出と思われる)。
・処刑説が流れた幹部が再選されることはなかった。

このうち特に、朝米首脳会談に関わった面々の当選と公安・保安部門の面々の当落は、こんにちの共和国の権力構造を把握する上で貴重な資料になることでしょう。

第2次朝米首脳会談において合意に至らなかったことは、担当者・責任者たちの当選状況を見るに、「予想外の大失敗」ではなく、現時点では大きく路線を変更するつもりはなさそうです。もし、予想外の大失敗であれば表向きの宣伝文句とは別に、担当者・責任者は密かに左遷されていることでしょう。また、大きな路線変更があるとすれば、旧路線を推進してきた面々を代議員候補者として推薦し、彼らが信任投票たる最高人民会議代議員選挙で当選することはないでしょう。

国家安全部、護衛司令部、そして保衛司令官(保衛局長)うち代議員として残ったのはチョ・ギョンチョル保衛司令官のみとなったことについては、以前にも指摘したことですが、公安・保安部門に対して迂闊に手をだせば、スターリンがベリヤに暗殺されたように、逆襲を受けることさえある点において、キム・ジョンウン体制の安定性を示すものであると言えるでしょう。

公安・保安部門は、反対派を抑制して最高指導者の唯一指導を担保する強力な権力組織機構ですが、絶対的な最高指導者といっても「寝込みはただの一個人」です。体制維持の要である公安・保安部門の三大ポストのうち二つのクビを飛ばした・飛ばせたということは、それだけキム・ジョンウン体制は安定しているということを示していると言えます。

■まとめ
公安・保安部門の手入れができるほどに権力構造的に安定したキム・ジョンウン体制は、先の第2次朝米首脳会談において合意には至らなかったものの本気で路線を大きく変更するつもりはなく、組織体制を改正するなどの方法でむしろ平和攻勢の情勢を更に積極的に活用しようとしている意図を感じるところです。

また、キム・ジョンウン委員長については、「首領に人間的・同志的に魅せられるとき、絶対的な忠実性が出てくる」という格言を実践し、「人民と苦楽を共にし、人民の幸せのために献身する人民の領導者」という人民大衆第一主義のイメージの演出に注力している姿を推察できます
posted by 管理者 at 11:45| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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