実行犯は高学歴 女1人を含む計9人 スリランカ連続爆破テロロイター電を引用する形での記事ではあるものの、毎日新聞記者の「驚き」が行間からにじみ出てきています。
4/25(木) 11:05配信
毎日新聞
【コロンボ西脇真一】359人が死亡したスリランカ連続爆破テロ事件で、ウィジェワルダナ国防相は24日、テロの実行役は女1人を含む計9人で、ほとんどが高学歴で裕福な家の出身だったと明らかにした。捜査当局は過激派組織「イスラム国」(IS)など海外の組織の支援を受けていたとみて、外国捜査機関の協力を得て捜査している。ロイター通信などが伝えた。
(中略)
兄弟の父親は不動産販売や香辛料の輸出業で成功した人物だった。捜査当局はこれまでに、この父親を含む60人を事件に関連したとみて拘束した。
実行グループの中には留学経験者もおり、英スカイニュースは治安当局者の話として、男の一人が2006〜07年ごろ、英南東部で学んでいたと報道。男はその後、オーストラリアの大学院に進学したという。
最終更新:4/25(木) 11:08
毎日新聞
爆破テロの実行犯が「裕福な出身」や「高学歴」だった・・・何か驚くような要素があるでしょうか? チュチェ105(2016)年7月4日づけ「いつまで経済決定論・経済疎外還元論にしがみつくのか――バングラ・ダッカでのテロ事件の「原因」論」でも取り上げましたが、俗流マルクス主義的な経済決定論・経済疎外還元論の発想が未だに残っているということなのでしょうか?
チェ・ゲバラが南米放浪の旅のなかで、ある種の「自分探しの旅」の中で、現実社会に対する問題意識を芽生えさせ、その生涯を革命運動に捧げるに至ったように、裕福な出身・高い学歴を持つからこそ物事を深く考える余裕が生まれます。他方、学校のお勉強や理論空間での思考と社会的判断能力は多少ズレがあるので、裕福な出身・高い学歴であるからこそ妙な方向に走ることも多々あるものです(現代日本でいえば、オウム真理教の元死刑囚など)。日々の生活に追われる「貧乏人」の方が、いやでも社会の実相を分かっているので、やけっぱちにでもならない限りは意外と「穏健」だったりします。
キム・ジョンイル総書記が指摘されるように、政治的運動は、その人の出自ではなく、その人の思想によって行うものです。上掲過去ログでも引用しましたが、イスラム圏の若者たちのなかには、自らのアイデンティティーを確立するためにイスラム国に旅立っていく者もいるそうです。自らのアイデンティティーを確立する過程で過激思想に染まり、そして、過激思想に基づく「誇り高いイスラム国家」の樹立を目標としている連中の存在がこの事件からも推察できるところです。
上掲過去ログの繰り返しになりますが、いまこそ、俗流マルクス主義にもとづく分析ではなく、より「運動の主体」の心理にスポットを当てた動機分析、主体的分析が必要とされているといえるでしょう。
関連記事
チュチェ105(2016)年7月4日づけ「いつまで経済決定論・経済疎外還元論にしがみつくのか――バングラ・ダッカでのテロ事件の「原因」論」