セブン大阪時短店が日曜定休通告 本部は慰留、導入すれば異例日本世論は、妬みの感情もあると思いますが、「いいとこ取り」をヨシとしない傾向にあります。万事自分に都合の良い「旨い話」など、そうそうはありえない、そんなことは許せない・・・といった感覚です。コメント欄でも以下のとおり指摘されています。
8/22(木) 20:15配信
共同通信
自主的に24時間営業を短縮したセブン―イレブン東大阪南上小阪店(大阪府東大阪市)のオーナー、松本実敏さん(57)が9月から日曜日を定休日にするとセブン―イレブン・ジャパン本部に通告したことが22日、分かった。人手不足を理由としている。本部側は慰留した。セブン加盟店は年中無休が前提で、定休日を導入すれば異例となる。
松本さんによると通告は22日。本部側は契約違反だと指摘し、人員を派遣すると提案した。松本さんは、派遣にかかる金銭的負担を理由に断った。
(以下略)
そうであれば自分で個人商店を立ち上げて自由に営業時間を設定したらいいのでは。本部の営業に関する指示には従わない、でもオリジナル商品やブランドの恩恵を受ける、は成立しないでしょう。
好き勝手に定休日作りたいのならフランチャイズに加盟するべきでは無いと思う。
フランチャイズシステムの、オイシイとこだけ欲しいというのが認められるのなら、
好き勝手やった者だけが得をする社会になってしまう。
さすがに自分の勝手放題に営業したいなら今回、セブン・イレブンのFC殿様商売システムに風穴を開けることができたのは、なによりも「評判経済」たる現代資本主義市場経済における「世論」に他なりません。世論がFCオーナー側に同情的で、そうした状況を機敏に察知したセブン・イレブン本社側が、自社の評判に傷がつくことを恐れるからこそ契約条件の譲歩を決断したわけです。
フランチャイズでセブンのブランドを利用せずにやればいいのに
それが成功すればあらたな小売業のFC元になるかもしれない
まさにそれが先行事例じゃないかな
ブランドは利用したいけどとにかく自分のやりたいようにやりたいでは
身勝手というか都合良すぎじゃないかな
その「世論」が眉をひそめるような挙に出た東大阪南上小阪店オーナー氏。本部側の人員派遣申し出の詳細が分からないので断定的なことは言えませんが、コメント欄で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏が「あまり度が過ぎると世論の風向きが変わるリスクもあります。同情から「わがまま」と見られるということになりかねません」と指摘しているように、これは「風向き」が変わりかねない際どい事態です。。。「本部側もいままで相当、やりたい放題してきたんだからお互い様」といった具合のフォローも出てきていますが、いささか苦しいようです。「本部の横暴を糺す」という錦の御旗を掲げているときに「そっちこそどうなんだ主義」は、あまりウケがよくないように見受けられます。
例によって藤田孝典氏がコメントを寄せています。本件に関する彼の主張については、3月12日づけ「「少数派は多数派に合わせろ」と言うに等しい暴論が労働界隈・社会政策界隈の人権闘士から出てきた驚きの展開――ブルジョア的「お客様」論に接近する異常事態」で既に批判していますが、今度は「正直なところ、日曜日にコンビニが閉まっていても問題ありません」と言い始めました。そのまま読むと、「本部側の人員派遣申し出がお話にならないくらいショボい以上は、日曜定休はやむを得ない(=本部が更に譲歩すべき)」ではなくて、本当に日曜定休でいいと思っているように読めます。
そりゃまあ、無ければ無いでみんな仕方ないから環境に合わせるでしょうが、だからといって「そらみろ、本当はなくてもよいんだ!」という話にはならないでしょう。そのうちお役所みたいな営業時間を提唱したり、ついには「コンビニなんて無くても構わない」とか言い出すんでしょうか? まさかなあ。。。でもなあ。。。
全国的に、商店街の個人営業の小商店が大型スーパーに淘汰された経緯を見るに、消費者の求めるものは「いつでも開いている店」であることは間違いないでしょう。しかし、それが働く側にとって問題が発生するのであれば、「綱引き」の要領で元に戻すのではなく、双方の要求を両立させるべく方法を考えるというのが正道だと思うのですが(社会政策界隈では「綱引き」的発想によく遭遇するものです)。
ライフスタイルやワークスタイルの多様化している「多様性の時代」だからこそ、消費者運動と労働運動が連携して「組織としては年中無休:24時間・365日営業であるが、労働者個人としては十分な休暇・休養を取ることが出来る」ようにすべく企業・資本側に要求を展開してゆくことが必要なのではないのでしょうか。それこそ市民団体や労働組合の出番なのではないでしょうか。
「無いなら無いで私は困らないから構わない」論法で年中無休・24時間営業の中止に賛同する言説は、「全体から見れば少数かも知れないが、そのタイミングでそれを必要とする人・せざるを得ない人が社会には存在する」ということを無視した粗雑な議論であり、多数派の都合によって少数派の必要を無視する暴論ではないのでしょうか。
そもそも、「深夜閉店」なら「多数派にとっては無問題」と言えるでしょうが、「日曜定休」はそうと言えるのでしょうか。。。藤田氏の言説は「ぼくの かんがえた りそうの しゃかい」を出発点としているようにしか読めない主張が決して少なくありませんが、これはまさにそのド真ん中といえそうです。
本件ニュース及びさらに原理主義化した藤田氏の言説を目の当たりにして、改めて疑問に思います。
ちなみに私は、「本部側の人員派遣申し出がお話にならないくらいショボい以上は、日曜定休はやむを得ない」というのであれば、「それなら致し方ない」という点において決断を理解します。これは、「組織としては年中無休:24時間・365日営業であるが、労働者個人としては十分な休暇・休養を取ることが出来る」ようにすべく企業・資本側に要求を展開してゆくことが必要という立場ゆえのことです。原則として「年中無休:24時間・365日営業」を支持するものです。他方、「そこまでしてセブン・イレブンのFC加盟店でなければならないのか?」という疑問も浮かんできます(きっと何か理由があるんでしょうけど)。どちらが先に袂を分かとうとするでしょうか。