2019年11月12日

グローバリズムとインターナショナリズムの区別がついていない「役に立つ馬鹿」が、いかに諸国民・諸民族の友好と団結を阻害しているか

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191108-00000016-jij-eurp
ナショナリズム再燃=憎悪で扇動、ヒトラーと共通―ベルサイユ条約100年の欧州
11/8(金) 7:10配信
時事通信

 【パリ時事】第1次世界大戦(1914〜18年)後、連合国と敗戦国ドイツとの間で締結されたベルサイユ条約は、多額の賠償金と領土割譲でドイツに屈辱を与え、ユダヤ人排斥を掲げるヒトラーを生んだ。


(中略)

 ◇恨みの感情利用
 歴史は繰り返すのか。ゲルマン民族の優位性を主張するヒトラーは、第1次大戦後の国内不況をユダヤ人に責任転嫁して第2次大戦へと突き進んだ。歴史家ジャンクロード・アゼラ氏はフランス紙ルモンドへの寄稿で「1世紀前は恨みの国民感情が民主主義にとって一番危険な毒だったが、状況は今でも変わらない」と警告した。

 現在、中東やアフリカからの大量の移民流入を背景に、欧州各地でナショナリズムが高まりを見せている。仏極右政党「国民連合(RN)」のルペン党首は最近、支持率でマクロン仏大統領と伯仲。10月のイタリア中部ウンブリア州の議会選では、反移民の右派政党「同盟」が連立与党に勝利した。9月に行われたドイツのザクセン、ブランデンブルク両州での州議会選でも、移民排斥を掲げる「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進した。

 いずれの勢力も「移民が雇用を奪い、治安を悪化させている」と主張し、憎悪をかき立てる。どこかヒトラーの手法と共通している点を指摘する識者は少なくない。

 ◇強要から対話へ
 教訓は生かされているだろうか。仏国際関係研究所(IFRI)のドミニク・ダビド顧問は、第2次大戦を防げなかったのは「ベルサイユ条約が交渉を経ずにドイツに強要されたからだ」と指摘する。中東での紛争や米中貿易戦争など、世界の対立の構造が複雑化する現在では、マクロン大統領が掲げる「多国間主義」が課題解決の鍵になると期待している。

(以下略)
「ゴドウィンの法則」または「ゴドウィンのヒトラー類比の法則」を思い起こさずにはいられない無茶な類推。Wikipediaによると「多くのニュースグループやインターネット上のフォーラムには、ヒトラーとの類比が行われた時点でそのスレッドは打ち切られ、それまでどんな議論が進行中であろうとその類比を持ち出した側が負けとされる伝統がある」とのことですが、その筋で行くと時事通信記者は、負けですねw

ヒトラーの経験を教訓とするのは大切なことですが、「絶対悪・ヒトラー」の例を当てはめることは、しばしばレッテルはりに直結すること。ヒトラー・ナチズムにおいて不可欠の思想的要素は、やはり「アーリア人種至上主義」ですが、現時点でのヨーロッパ諸国におけるナショナリズムの高まりは、あくまでも「生活防衛」であり人種主義的主張の高まりは見られません。その点、本件引用記事で展開されている論理では「ヒトラーと類比するには厳密さに欠ける」と言わざるを得ず、「レッテルはり」の誹りは免れ得ないでしょう。

コメ欄にとても良い意見が投稿されています。
こういう煽り方はよくないです。まるで、「グローバリズムが絶対善」のように思う人が出てしまいます。記者はそう思っているのでしょうけど。
ここは、なぜそうなったのかをしっかり考えるべきです。
金儲けのためのグローバリズムが、とんでもなく行き過ぎたことが最大の原因でしょう。
イチかゼロか、じゃなくてバランスの問題。
グローバリズムの行き過ぎを戻すために、ちょっとナショナリズムの方が力を入れている状態でしょう。
(以下略)
私も常々思っていることですが、国際資本・多国籍企業の儲けを実現するための方便に過ぎない「グローバリズム」と、諸国民・諸民族の友好と団結を保障する「インターナショナリズム」を混同し、「グローバリズム」の旗振り役を率先する、一種の「役に立つ馬鹿」が、とりわけ日本において、いかに多いことか・・・そして、こうした手合いは、「反クローバリズム=右翼」などと短絡的に判断し、たとえばフランスのガチ左翼が「反EU」の旗を掲げるや否や、己の思考的枠組みでは現実を処理しきれずに思考停止・システムフリーズに陥るわけです(チュチェ106・2017年5月14日づけ「日本左翼のEU崇拝・EU幻想を崩したフランス大統領選挙での左翼票動向」でも論じたとおりです)。

記事中では「マクロン大統領が掲げる「多国間主義」が課題解決の鍵になると期待している」などとされていますが、マクロン仏政権がいかなる階級・階層を支持基盤としており、マクロン大統領がいう「多国間主義」によって最も利益を得るのが誰であり、最もワリを食わされるのが誰であるのかを見つめなおす必要があるでしょう。まさか、マクロン政権が「全国民の利益」を代表しているなどと、中学生みたいなことは言わないことだけは固く信じています・・・建前と現実は異なるものです。

国際資本が己の利益のためにグローバリズムを煽り、「役に立つ馬鹿」がそれを更に声高に主張する・・・その影で進む生活者・労働者への搾取は深刻化し、それゆえに反グローバリズム運動が激化する・・・しかし、グローバリズムとインターナショナリズムの区別がついていない「役に立つ馬鹿」は、そうした抵抗運動を「右翼」呼ばわりし、国際資本以上に原理主義的にグローバリズム推進を主張する・・・そして、さらに生活者・労働者の搾取が激化する・・・

こう考えると、グローバリズムとインターナショナリズムの区別がついていない「役に立つ馬鹿」どもの罪深さは筆舌に尽くしがたいものがあると言えます。彼らこそが真の意味での諸国民・諸民族の友好と団結を阻害しているわけです。

なお、インターナショナリズムを考える際の必須文献として当ブログでは、以前からキム・ジョンイル総書記の労作「民族主義に対する正しい認識をもつために」をお勧めしています。インターナショナリズムとしての社会主義・共産主義と朝鮮民族主義との整合性確保を試みる当該労作は、かつては民族主義を敵視さえした社会主義・共産主義理論を根本的に転換させています。
posted by 管理者 at 21:34| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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