2020年03月17日

世論は陰謀論がお好き

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200310-00000003-ykf-ent
満員電車、パチンコ、映画は良くてライブはダメって、どーなの!?
3/10(火) 16:56配信
夕刊フジ

【織田哲郎 あれからこれから Vol.59】

 2月29日に予定していた私の下関でのライブが中止になりました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、という事情です。

 これに関しては残念だけど仕方ない、とは思います。ただ、満員電車のように“人が濃厚に接触する”ライブというのは、お客さんが目いっぱい入っているオールスタンディング形式のライブくらいしかありません。そういえば昔のパンクのライブだと、バンドも観客も唾を吐き掛け合うなんていう恐ろしい流儀もありましたが…。

 とにかく今、多くの音楽や演劇などの予定が中止になっています。また言いますが、それはこの状況では仕方ない、とは思うのです。ただ、それならそれで今はみんなで何はともあれ新型コロナウイルスの感染を徹底的に防止しようよ! という一貫性があってほしいと感じてしまいます。

 相変わらず多くの方々が満員電車で会社に行かれる。休日にはパチンコ屋に行かれる方もいるでしょう。私もエンターテインメント業界に生息している一員として、エンターテインメント業界にあふれる「俺らスケープゴート感あるよな」という感想には、それなりの共感を持たざるを得ない、というのが正直なところです。

(以下略)
■疫学的に見て満員電車、パチンコ屋および映画館とライブは同列視できない
3月9日に厚生労働省(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議)が発表した「新型コロナウイルス感染症対策の見解」によると、これまで感染が確認された場に共通するのは、「@換気の悪い密閉空間、A人が密集していた、B近距離での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場であるとのことです。上掲引用記事中でも触れられている満員電車について専門家会議は、「満員電車では、@とAがありますがBはあまりなされません」とし、通常的な満員電車は感染拡大の温床になるとは言えないという見解を示しています(「しかし、場合によってはBが重なることがあります」としている点、油断は禁物です)。同様にパチンコ屋もBはあまりないでしょうし、パチンコとタバコは「セット」と言っても過言ではなく、よって店内では強力な換気扇が回っていることあるので、場合によっては@の条件も満たさないかもしれません。映画館についても、Bをやったら職員に摘まみ出されることでしょう。

これに対してライブ会場は、@・A・Bのすべてを満たし得ると考えられます。クラシック音楽の演奏会のように大人しく鑑賞するような場所ではないでしょう。事実、新型コロナウィルス禍によって時差通勤が行われつつあるとはいえ、依然として都市部の通勤電車は大変混雑しています。近接性と密集性だけが要因であるとすれば、日々の運行本数を考えるに既に複数の感染クラスター列車が出現しているはずですが、しかし、満員電車が感染クラスターになったというケースは報じられていません。それに対して、ライブ会場が感染クラスターになったという報道は既に周知のとおりです。

つまり、織田哲郎氏がいうようには満員電車、パチンコ屋および映画館とライブは同列視できないわけです。決して「スケープゴート」などにしているわけではなく、これらは素人目には同じように見えても疫学的に見てまったく異なるシチュエーションなのです。

もちろん、シンガーソングライターに疫学の知識がないのは当然です。少々「上から目線」的な物言いになってしまいますが、知らないことは悪いことではないと思います。かくいう私も最近まで、不便に思いつつも念のために避けていたことが実はあまり意味のないことだったと知り、行動を改めたところです。

■単に自分が無知なだけなのに陰謀論的な構図が描かれがち
しかしながら、単に自分が無知なだけなのに陰謀論的な構図を描くことは別問題というべきでしょう。たとえば、コメ欄には次のような投稿があります。
>パチンコも映画館も良いけどライブはダメ、そして損害は自己負担で、といわれるのはやはり皆が納得がいく話ではないと思うのです。

織田氏の指摘も理解出来ます。ライヴは中止、延期が殆どです。

一方で、パチンコ、パチスロ屋さんは通常通り営業しています。
店内で一日中過ごす高齢者が多く、密閉空間で明らかに感染拡大の可能性が高いですよね。

何故、未だに専門家は指摘しないのでしょうか。
広告を出してもらっているのでテレビジョン側が黙殺しているのでしょうか。
もしかして、袖の下でも貰っているのでしょうか?
今回の新型コロナウィルス禍の一つの特徴として、陰謀論じみた勘繰りが横行していることが挙げられると思います。たとえば、WHOの歯切れが悪いことについて、「中国からカネをもらっているに違いない」といった具合の妄言が横行しています。

腑に落ちない事態が眼前に展開されていることについて、「カネのチカラで真実が覆い隠されているに違いない」として合理化することは、一番初歩的かつ最も典型的な陰謀論というべきものです。この世の中には、一見して「理解に苦しむ」ことは決して少なくはありませんが、しかし実際のところ、陰謀論者が考えているほどには陰謀は張り巡らされてはいません。多くの場合、陰謀論者たちの低水準な知識・知能では事態が理解できないだけに過ぎません。要するに、陰謀論者たちは、単に自分たちがアホだから現実を理解できないだけなのに、自分がアホであることに向き合わず、むしろアホだからこそ陰謀物語を紡ぎ出して現実を理解しようとしているわけです。

上掲コメントも同様です。パチンコ・パチスロ屋とライブ会場は素人目には同じに見えても、疫学的に見ればまったくシチュエーションが異なります。だから、専門家はライブについてのみ言及しているのです。決して、袖の下をもらっているからパチンコ・パチスロについて言及していないわけではありません

■何の証拠もないま陰謀論が見られ始めた新展開
この手の陰謀論は、最近になって急に生まれたものではありません。陰謀論の根底には他者に対する一種の不信感があると考えられます(だから、自分の与り知らぬところで秘密のはかりごとが進んでいると勘ぐるわけです)が、人間が部族社会を超える規模の集団を形成して社会生活を送るようになって以来、人間同士が心から信頼しあって社会を組織したことはありません。社会の紐帯は「信頼」ではあるものの、人々は他人を完全には信頼しきれていません。そんな人間の歴史において、陰謀論は古代からさまざまな形で定期的に出没してきた点、社会歴史的経緯から現代人は、物事を陰謀論的に見がちになってしまっているのかも知れません。

しかし、いままでの歴史上の陰謀論は断片的真実を都合よく継ぎ接ぎしてデッチあげた物語であった、つまり、ところどころに真実の欠片が散りばめられていました。たとえば、東日本大震災後の「放射脳」な言論もかなり荒唐無稽でしたが、「放射脳」の言論は「原子力ムラ」という実態のある徒党による現に存在していた暗躍を下敷きとしていました。その点、誇張や誤解・無理解はあったにしても「放射脳」の言論は、まったく無根拠というわけではありませんでした。

それに対して、今回の新型コロナウィルス禍において展開されている「ライブがダメでパチンコがOKなのは、袖の下があるからではないか」だの「WHOは、中国からカネをもらっているに違いない」だのといった陰謀論は、何の証拠もない妄言というべきものです。ただ自分には事態が理解できないから「何か闇のチカラが働いているに違いない」としているに過ぎません

「新型コロナウィルスは、中国人民解放軍の極秘ウィルス兵器に違いない」が最たるものですが、今回展開されている諸々の陰謀論は、「そう考えると納得できる」のかも知れないし「そうであっても不思議ではない」のかも知れませんが、「事実としてそうである」という万人が認める科学的証拠を欠いているケースが見られます。そんなものが、かなり広範囲に蔓延し、かつ、実しやかに語られているわけです。

人間は、自分が信じたいことに関する情報ばかりを集め、ストーリーを創り上げ、考えを自ら偏らせてゆくといいます。また、陰謀論的に物事を見がちなのが現代人です。それにしても、ここまで見事に無根拠を貫いている陰謀論の蔓延は、いままでには見られなかった新たなる異常事態というべきです。

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posted by 管理者 at 23:15| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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