2020年03月25日

よく言えば「等身大の感覚」、悪く言えば「素人考え」でコロナウィルス対策を考える風潮について

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200325-00000055-asahi-soci
「マスク送って」の豊川市に10倍の恩返し 中国側発送
3/25(水) 17:38配信
朝日新聞デジタル

 「余裕があれば、今度はこちらにマスクを提供してほしい」という愛知県豊川市からの呼びかけに、友好都市の中国・無錫市新呉区から返答があった。「新呉区が困っている時に助けてもらった厚意に恩返しがしたい」。2月に豊川市が提供した枚数の10倍以上、5万枚のマスクが新呉区から豊川市へ発送された。

(以下略)
ここ最近、1月中旬から2月上旬にかけて日本各地の自治体が中国にマスクを支援物資として送付したことについて、「国民より中国が大切だったのか」だの「媚中だ」だのと騒ぐ言説が蒸し返されています。また、本件のJーCASTニュース版のコメント欄では、豊川市長の「危機管理能力」を云々するコメントが寄せられています(ヤフコメが危機管理を語るってwww)。おそらく、「近隣国で奇病が流行っているのだから、自国民を優先して、むしろ備蓄を積み増すくらいであるべきだった」といったところなのでしょう。たとえば、1ヵ月前の記事になりますが、以下。
https://www.iza.ne.jp/smp/kiji/politics/news/200225/plt20022520000021-s1.html
国民の生命は二の次!?中国に媚びを売る媚中派たち “甘すぎる”日本の新型コロナ対応 識者「韓国を歯ぎしりさせた「戦略的放置」を中国にも断行すべき」
2020.2.25更新
産経新聞

 中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。中国本土では22日朝時点で、感染者は7万6000人以上、死者は計2345人。日本国内でも、北海道と埼玉で子供の感染が発覚して、感染者は計743人(クルーズ船の634人を含む)となった。日本政府の初動対応の遅れが指摘されているが、背景には、恩を仇(あだ)で返す、中国への甘すぎる対応があったとの見方も根強い。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、韓国を歯ぎしりさせた、日本の「戦略的放置」を中国にも断行すべきだと強調した。安倍晋三政権は、国民と旅行者の生命と健康を守るため、中国の入国拒否の対象地域を拡大するとともに、対外発信力の強化を検討している。

 新型肺炎は世界にますます拡大し、日本は初期対応のまずさから「世界第2位の汚染国」のイメージを世界中に植え付けてしまった。媚中派の自民党を含む議員や官僚などが、国民の健康や生命を二の次にして中国に媚びを売ることに懸命になったことが惨劇を招いた。

 国民がマスク不足で右往左往しているときに、マスクだけではなく、防護服まで中国に贈呈した政治家、官僚、役人は、騒ぎが終わった後、厳しく断罪すべきである。しかも、共産党独裁で利権がはびこる中国で、それらの善意の品が本当に必要な人々に届くのかどうかも疑問だ。

(以下略)
しかし、1月中旬から2月上旬といえば、まだ中国国内での封じ込めに対する期待も残っていた段階、すくなくとも当時に知られていた情報ではそう考えられていた段階でした。伝染病予防において最も効果のある手法は、何と言っても流行の局地化・封じ込めです。発生国である中国で封じ込めが成功すれば、それは日本にとっては「最大の予防」なのです。

「ヨソの状況をみてウチの備蓄を積み増す」というのは、まさに「買いだめ」の発想です。これは、自己の生活防衛だけを考えていればよく、また、何か社会的に意義のあるコトをしたくても出来ない一般庶民の考え方です(思い起こせば、東日本大震災直後、被災地でも何でもない地域でも「日本列島に連続震災近し?!」という不安が蔓延して買いだめ的な消費者行動が見られました)。しかし、公衆衛生についても考えなければならない自治体や政府においては、自国民の利益を考えればこそ、日本に本格的に侵入する前に発生国である中国国内で封じ込めを成功させる必要があったと言えます。

それゆえ、1月中旬から2月上旬にかけて中国国内での封じ込めのために日本国内からマスクを送付したことは、あの当時の情勢からいって決して間違いではなかったと私は考えます。

SNS全盛期の昨今、よく言えば「等身大の感覚」、悪く言えば「素人考え」で国家・社会を論ずる風潮が大いに広まっているところですが、「国民より中国が大切だったのか」といった言説は、その典型的な一幕と言えそうです。

ところで、各地の自治体がせっせとマスクを寄贈していた相手国が、他でもない「中国」だった点に粘着している人が、上掲の産経新聞記事を筆頭に思い起こせば少なくなかったように記憶しています。とりわけ、親中派で知られる二階・自民党幹事長がマスク寄贈について当時、コメントを寄せていたことには、あれこれとケチをつける言説があったものです。

対照実験のしようがないので想像と推測の域を脱し得ませんが、「媚中」のような筋違いの妄言まで飛び出してきた点、マスクの寄贈先がアメリカやヨーロッパ諸国、同じアジアでも東南アジア諸国や台湾などだったら、まったく異なる反応だったのではないかと思えてなりません。強大な仮想敵国・深刻な脅威としての「中国」および同国の利益になる行為をする自国民に対する反発心が見え隠れするように思われます。

どうせなら、いっそのこと「朝日新聞は呑気に『10倍の恩返し』などというが、これはまさに朝貢に対する回賜じゃないか!」くらいのことは言って欲しい(中華帝国の皇帝は、帝徳を内外に誇示するために、貢物を捧げた使節団にその数倍から数十倍の物品を下賜したものでした)ものですが、しかし、そこまでの言説は今のところ出て来てはいない点、産経方面のアホは世界史的教養と連想能力が実は乏しいのかもしれませんw

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http://rsmp.seesaa.net/tag/articles/%90V%8C%5E%83R%83%8D%83i%83E%83B%83%8B%83X%89%D0%82%F0%8F%84%82%C1%82%C4%E0t%82%E8%8Fo%82%B3%82%EA%82%BD%90%A2%91%8A
posted by 管理者 at 22:04| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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