2020年04月04日

非常時にこそ「やりたい放題」を縛るための法が必要:救世主を熱望する気持ちは分かるけど・・・

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200401-04010101-sph-ent
坂上忍、新型コロナ対応で激怒「自分たちの身を守るためだったら法を飛び越えたやり方をして…」「政治判断してくれないと」
4/1(水) 13:28配信
スポーツ報知

(中略)
 これを聞いたMCの坂上忍(52)は「自分たちの身を守るためだったら何だかしらないけど、法を飛び越えたやり方を今までしてきて、文章なんてちょろちょろ書き直してたわけじゃん。改ざんなんかしちゃってさ。こういう時にさ、ちょっとそういう問題じゃないんだって、今は! 政治判断してくれないとダメなんじゃないの!」と語気を強め一気に語った。
森友問題は確かに酷い話でしたが、それを引き合いに出す感性を疑います。とりわけ、非常時にこそ「やりたい放題」を縛るための法が必要です。

絶対的権力者が反対意見を徹底的に排除し、うまく事態を収拾してくれれば独裁でもよいかもしれませんが、アホが絶対的権力を握り、科学的反論を徹底的に潰して間違った政策を推し進めてしまったら? 非常時における絶対的権力の危険性は、「読みが違った場合」にあります。

また、歴史上、とりわけ近代以降の独裁・全体主義がことごとく「非常時」を口実としていた歴史に学ばなくてはなりません。これは私が敢えて繰り返すまでもなく、「人権」と一言申せば、何を指しているのかお分かりいただけるのではないでしょうか(そうです、社民党方面からよく聞くアレです)。

この坂上忍さんは、きっと自分が何を言っているのか分かっていないのでしょうね。

先の見えない不安の中、政府に魔法のように事態を打開してほしいと願う気持ち・救世主を熱望する気持ちは理解可能です。その裏返しとしての八つ当たりや支離滅裂でヒステリックな言動も仕方ないように思われます。しかし、そこにつけ込まれるのです。

さて、ここ数日、「政治判断」なるものを求める声が高まりつつあるところです。その主軸は「緊急事態宣言」を求める声であるように見受けられます。「緊急事態宣言」という単語を目にする機会が急に増えてきました。

しかし、その具体的な構成と期待される効果を踏まえた主張は、依然として乏しいように見受けられます。たとえば、「自粛の『要請』を上回る強力な措置」を執るために緊急事態宣言を出すべきだといった主張が見られます。要するに、ナニモノなのかよく分かっていない・いるようには読めないのに、やたら「緊急事態宣言」を連呼している人がいるということです。

同宣言については、元東京地検特捜部主任検事の前田恒彦氏は、次のように解説しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20200402-00170941/
買い物や通勤は…新型コロナ「緊急事態宣言」が出たら、何が処罰の対象に?
前田恒彦 | 元特捜部主任検事
4/2(木) 9:04

(中略)
 ただ、(1)は、知事が住民に対して自宅などから外出しないように求めるというものだが、条文には「生活の維持に必要な場合を除き」「みだりに」といった前提条件が付けられている。

 すなわち、食料品や日用品の買い物に行くとか、出勤のために会社に向かうといった外出は対象外であり、よく言われる「不要不急」の外出を控えようというだけだ。

 しかも、単なる「要請」にとどまり、「指示」「命令」まではできない。要請を無視して外出し、繁華街を出歩いても、諸外国のように罰金や禁錮といった刑罰を科すことはできない。

 (2)も、知事が施設の管理者やイベントなどを開催する者に対し、使用制限やイベント停止などを「要請」できるというのが基本だ。

 「正当な理由」がないにもかかわらず、その要請に応じない場合に限り、ようやく「指示」までできる。

 こうした要請や指示に従わなかったからといって、刑罰によるペナルティはない。

(中略)
 新型コロナ対策としては、外出禁止令を含め、もっと強制力を伴った強力な措置が必要であり、今のままだと規制が緩すぎると感じる人もいるだろう。しかし、むしろ特措法は、国や自治体などによる権力の濫用を防ぐため、わざわざ次のような規定を置いている。

「国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み…対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は…対策を実施するため必要最小限のものでなければならない」

 それこそ、諸外国が行っている「ロックダウン(都市封鎖)」など、わが国の特措法の下では到底不可能だと言わざるを得ない。

 知事が新型コロナ患者のいる場所などの交通を制限・遮断できるという感染症法の規定はあるものの、最大72時間までだし、これで都市全体を封鎖できるわけでもない。

 まさしく新型コロナ対策は私たち一人ひとりの自覚に委ねられているわけで、新たな立法措置が行われない限り、これがわが国における規制の限界ということになる。(了)

このように緊急事態宣言の内容を見るに、たとえば、「自粛の『要請』を上回る強力な措置」を求める文脈での緊急事態宣言発出の要求は、そもそも筋違いということになると言わざるを得ません。

緊急事態宣言でさえこうなのだから、「政治判断」を連呼する人たちのうち、いったいどの程度の人がこういった制約を理解しているのか、疑問に思わざるを得ません。
posted by 管理者 at 16:10| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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