2020年04月09日

例外的・緊急的なご時世だからこそ、法の究極目的に照らして柔軟に条文を解釈・運用し、実利を取りに行くべき

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200408-00000063-asahi-ind
東京のタクシー会社、全乗務員600人解雇へ 自粛影響
4/8(水) 20:02配信
朝日新聞デジタル


(中略)

 担当者によると、7日から順次、乗務員に解雇を伝えているという。その際、乗務員には「感染拡大が収束した段階で再雇用する。希望者は全員受け入れる」と説明したという。同社は「休業手当を払うよりも、解雇して雇用保険の失業手当を受けた方が、乗務員にとって不利にならないと判断した」と説明している。

朝日新聞社
「レイオフ的な解雇だったらいいな」と思って記事を開いたところ、幸いにしてそのとおりだった本件。コメ欄でもそのような反応が見られるところです。
猿渡由紀
L.A.在住映画ジャーナリスト

アメリカ的なやり方です。ハリウッドの大手も含め、アメリカではコロナで多数の従業員が一時解雇(furlough)されましたが、雇用主からの通知では、たいてい、「状況が元に戻ったら再雇用します。この後X週間分の給料を払いますが、その後のために、みなさんただちに行政に失業手当申請をしてください」と、手続きについてのリンクが掲載してあるようです。健康保険については、大手優良企業だと「その間、普段は個人負担である分も含めて会社が払います」というところもありますが、そこまで寛大なのは稀で、多くは「今月末まで」など限定的なよう。そこが一番の問題です。このタクシー会社の判断は合理的だと思いますが、健康保険がどうなっているのか、そこだけが気になります。

頭いいね。
雇用保険払っているから、失業保険を貰った方が、会社も社員も助かる。

タイトル見たらぎょっとしたけど、
会社としては良い判断であり、社員も助かる。
タクシーの乗務員も感染の恐怖があったと思うし。

見出しでビックリしたけれども、政府よりも働く人の事の味方だと思う。
誰もが生活をする為に働いて賃金を貰っているのだから、正直どんなかたちであれお金が入れば気持ちは落ち着くと思う。

もちろん、ブルジョアの言い分をどこまで信用できるか等、まったく手放しで賞賛できることではありません。しかし、従業員の生活を一企業に「丸投げ」する、「中途半端な社民主義」よりは遥かにマシでしょう。とりわけ、世界史的一大事である今回の新型コロナウィルス禍においては、一企業の努力程度で従業員の生活を維持できるとは到底思えないところです。こうした選択もまた一つの方法論でありましょう。

そう考えると、当ブログでも何度か批判的に取り上げてきたNPO法人POSSE代表である今野晴貴氏の下記主張が悪い意味で目立ちます。
今野晴貴
NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

600人もの従業員を全員解雇はあまりに乱暴だ。労働契約法に明らかに違反している。他方で、国の無策がこのような経営判断を助長していることも見逃せない。
国は、緊急事態宣言をしておきながら、その間の労働者の生活保障や事業者の支援について有効な策を打ち出していない。東日本大震災の際には、雇用主に対して、労働者を解雇をせずに休業とするよう促して、労働者には特例的に雇用保険上の失業手当を給付できるようにした。この制度があれば、今回のような事態は防げたはずだ。
緊急事態宣言を出し、事業主が休業や解雇にはしることは目に見えていた。東日本大震災など過去に類似の事例があるにもかかわらず、まったくその制度に言及さえしていない。適切な対応をとっていない国の責任は重い。国の無策と雇用主の違法行為で労働者が苦しむことがあってはならない。解雇されたらすぐに労働組合やNPOなどの相談窓口に相談してほしい。
政府の制度的対応が悪いのか、企業の「悪意」が悪いのかが今一つハッキリしない言説ですが、「現行制度下においては、ロイヤルリムジン社の対応は法的にはマズいものの従業員の利益には適う」と読めました。労働契約法の法解釈はさておき、「違法」が従業員の利益になるのなら、決して褒められることではないものの、労働契約法自体が間違っているというべきなのかもしれません。

「法を守る」ことは、法治国家・法の支配下にある国家においては極めて重要なことであります。しかし、本件のような現行法の現行解釈でを乗り越えることが出来るのかという疑問が当然、浮上するものです。

私は基本的に法解釈には例外を設けたくない立場なのですが、しかし、世界史的一大事である今回の新型コロナウィルス禍においては、法の趣旨、もっと突き詰めていえばその究極目的に照らして柔軟な対応を取らざるを得ないとも考えています。その点、ロイヤルリムジン社の対応は労働契約法に照らして問題なのかもしれませんが、この異常事態・緊急事態にあっては致し方なく、また、それが従業員の利益になっている(←ここが一番大切!)点において労働契約法の根本目的がある意味で達成されていることから、とりあえず黙認することも必要なのではないかと思えます。

その点、「法原理主義」的であり柔軟性に欠けた化石のような今野氏の存在が際立つと言わざるを得ません。このご時世は例外的・緊急的なご時世なのだから、法の究極目的に照らして柔軟に条文を解釈・運用し、実利を取りに行くべきだと思いますよ。形式的な雇用を維持することが目的ではないのだから
posted by 管理者 at 19:46| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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