2020年07月05日

「レジ袋有料化」を無邪気に推す「建前・宣伝・格好つけを真に受けすぎている、お人よしな社会運動」を乗り越えて

ブルジョア的小賢しさに満ちた「ええかっこしい」の魂胆がミエミエであり、また、問題解決の本質から外れたパフォーマンスに過ぎない「レジ袋有料化」が始まりました。

義務化されてしまったので仕方ないとは思いつつも、冷ややかな反応が見られます。そりゃそうでしょう。営利事業などもっと斬り込むべき部分はあるのにその点には頬かむりし、論点ずらし的に本質的でないトコロを槍玉に挙げつつ、さも環境保全に注力しているフリをしている小賢しい手合い、及び、その程度のパフォーマンスを真に受けているアホな手合いに、生活者は冷ややかな視線を送っているわけです。

エコロジー運動やSDGsを「道徳問題」として捉える向きがここ数年、隆盛を極めており、それゆえに「お人よしの観念論者」が大挙して参画しているところですが、レジ袋問題もまさしくその典型的な様相を呈していると思われます。一言で言えば、「建前・宣伝・格好つけを真に受けすぎ」ということです。これに対して生活者は割と冷静である・・・そうした構図が明確にあらわれているように思います。

キム・ジョンイル同志は「帝国主義の侵略と略奪政策は社会制度に基礎を置いているため、大統領が代わったからと言って何か「理性」的な帝国主義になるものではありません。誰が大統領になるかによって帝国主義が侵略的になったり、そうではなくなるなどと見てはなりません。歴代帝国主義国の大統領は、独占資本家の利益の代弁者でした」とおっしゃいました。ブルジョアの資本主義は、弱小国を搾取するのと同様に自然環境も強度に搾取してきた点において、ブルジョアの資本主義が「環境問題」に真に取り組めるはずがありません

レジ袋を有料にすることが環境保全につながるという観念論的な見解は、いったいどういう思考回路から出てくるのでしょうか? 下記には、その答えが示されているように思われます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/361c54fae1e478c000d346c7421a59d653a8b195
7月からレジ袋が有料化 「脱プラスチック」に向けて
7/4(土) 20:22配信
TOKYO MX

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。6月19日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、化学講師の坂田薫さんが“脱プラスチック”について述べました。

(中略)
◆脱プラスチック! まずは小さなことから
そんなバイオマスプラスチックのなかでも注目されているのが“お米”。すでに、ホテルのアメニティの歯ブラシなどに使われ、それは見た目も感触もプラスチックと同じですが、コストが少し高くなってしまうため、空洞をあけるなどして材料を減らすことで価格もプラスチックと同じにしているそうです。

最後に坂田さんは「(脱プラスチックを)小さなことから始めてみよう」と提案。それこそ使い捨てマスクにもプラスチック原料が含まれているため、今すぐに全く使わないというのは難しいので、「エコバッグを持ったり、バイオマスプラスチックの製品を買ったり、まずは小さいことから始めてみませんか」と訴えていました。

番組では、視聴者に「来月以降もコンビニのレジ袋を使いますか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆来月以降もコンビニのレジ袋を使いますか?
使う……1,032票
使わない……1,761票

最終更新:7/4(土) 20:22
TOKYO MX
「小さなことから始めることが社会全体を変える」という観念論の手本のような言説。この発想の正体を余すところなく示していると思われます。

昨年10月21日づけ「グレタ・トゥンベリさんを持ち上げている場合ではない」でも書きましたが、「人間が意識を変え行動を変えれば社会システムが変わる」という想定は、物事を個人レベルに還元し過ぎています。人間が意識を変え行動を変えることで達成できるのは、あくまでも個人レベルの課題に留まります。脳味噌一個・腕二本・脚二本で出来得る仕事の範囲は限定的なのです。

社会システムはもっと巨大で、社会的の課題は個人レベルの課題とは質的にまったく異なります。当然、解決方法も異なります。「啓蒙され覚醒した個人」が足並みを揃えて個人レベルで最適な行動をとったからといって、それで社会全体が最適化されるわけではないのです。

「小さなことから始めることが社会全体を変える」という言説は、ミクロレベルでの思考・方法論をマクロレベルに不適切に適用しているわけです。そして、人間が「意識」を変え行動を変えることによって、具体的にどのような経路をたどって社会システムが変わってゆくのかが曖昧で描き切れていないので、具体性のない空想・単なる観念論になってしまうのです。

この辺りが、建前・宣伝・格好つけを真に受ける最近の「お人よしな社会運動」の特徴だと思われます。レジ袋は、有料化したところで大勢に影響のないことなので、はっきり言ってしまって「どうでもいい話」ですが、世の中には宣伝を真に受けるアホが割といるようだということが分かりました。中学生のような純粋な正義感といえば聞こえもいいかも知れませんが、いい歳して中学生のそれの水準で留まっていては困ります。

こうした事実を踏まえたうえで、科学的に社会運動を構築・展開する必要があるでしょう。
posted by 管理者 at 00:20| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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