2020年12月07日

落ち目であるはずのトランプ氏が依然として強大な権力・影響力を維持している事実は、トランプ支持者」の分厚い層の存在を示している

https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20201207-00211248/
トランプ氏の支配が続く共和党 「バイデン氏の勝利を認めた共和党議員は27人だけ」米紙 米大統領選
飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト
12/7(月) 9:06

(中略)
共和党を支配し続けるトランプ
 もっとも、共和党議員の約88%に当たる220人がどちらが勝者かという質問には無回答で、トランプ氏が勝利したと回答した共和党議員は2人だけだった。

 この調査結果について、同紙はこう分析している。

「この調査結果は、トランプ氏が80年ぶりに、3人目の再選しなかった現職大統領になったにもかかわらず、多くの共和党議員が去りゆく大統領と彼の共和党支配力に対して、恐れを抱いていることを証明している」

 つまり、トランプ氏の共和党支配はまだまだ続いているというのだ。12月14日に行われる選挙人団による投票ではトランプ氏の232票に対し、バイデン氏が306票獲得すると予想されているにもかかわらず、トランピズムは健在なのである。

 実際、共和党のミッチー・マコーネル上院議長も、トランプ氏が不正選挙を訴え、バイデン氏の勝利を認めていない状況について記者団から質問された際、直接回答するのを避け、「明日は明日の風が吹く」とはぐらかした。

 共和党としては、2024年の大統領選を見据え、トランプ氏を再出馬させて政権を取り戻そうという目論見があるのかもしれない。

(以下略)
さすがに最近は下火になりつつあった「D.J.トランプ個人のせいで・・・」「D.J.トランプ個人が・・・を操っている」論の再来・・・もうまもなく退場する公算が高いD.J.トランプ氏「個人」に、いったいなぜ共和「党」員たちが恐れるというのでしょうか? トランプ氏が「人心を操ることができる超能力者だ」というのならばまだしも、そうでないのならば、冷静に考えておかしいと思わない・・・あたりが底の浅い観念論者なんでしょうね(呆)。

飯塚真紀子氏は、「トランプ氏の支配」ではなく「トランプ支持者の支配」というべきでした。党員歴が浅いトランプ氏「個人」の共和党内の政治生命は、いまや「余命1か月あまり」です。「4年後」についてだって、日本の立憲民主党ではあるまいし、そこまで人材不足ではありません。それゆえ、普通だったらトランプ氏はもう「過去の人」扱いをして然るべき人物であります。しかし、共和「党」員たちがそんなトランプ氏「個人」の顔色を依然として伺っている事実にこそ注目すべきであります。

もともと党内基盤がなく政治的には明らかに落ち目のトランプ氏がなぜ、依然として権力的な影響力を持っているのでしょうか? 彼の権力の源泉は、トランプ氏「個人」のリーダーシップ・パーソナリティにあるのではなく、彼を支える支持者たちのフォロワーシップにこそあるとみるべきです。

キム・ジョンイル総書記は、『党のまわりに固く団結し新たな勝利のために力強くたたかっていこう』(チュチェ84――1995年1月1日)において「党に忠実な中核がわたしを積極的に支持し助けてくれるので、キムジョンイル将軍も存在しているのです。一人では将軍になることはできません」と仰いました。また、権力論・リーダーシップ論によると、権力者によるリーダーシップの発揮は、フォロワーシップがあってこそのものだと指摘されています。つまり、トランプ氏個人の政治的リーダーシップは、それに対する支持者たちのフォロワーシップの賜物であり、トランプ氏個人がいくら喚き散らしていても、周囲の人々が相手にしない限りは、何の実効性もないのです。

依然としてトランプ氏は、さしたる根拠もなく「大統領選挙の不正」を主張していますが、熱心なトランプ支持者は、それを信じて疑いません。このことこそが落ち目のトランプ氏の権力の源泉であります。つまり、トランプ氏は、依然として支持者が熱心に支持しているからこそ共和党内における権力および全米的影響力を保持しているのです。支持者あってこそのトランプ氏なのです

飯塚氏の言説には、そうした視点が欠落しています。せいぜい「トランプ氏を再出馬させて政権を取り戻そうという目論見があるのかもしれない」にとどまっており、そうした見込みが実際にあるのかについては触れようともしていません。実に中途半端です。11月21日づけ「「バイデン勝利」に浮かれ、社会主義にもプログレッシブにも一切触れないリベラリストの牽強付会・観念論的英雄物語について」でも論じたとおり、「意志力」過剰なNHK大河ドラマの見過ぎというべき観念論的世界観です。

落ち目であるはずのトランプ氏が依然として強大な権力・影響力を維持している事実は、なによりも「トランプ支持者」の分厚い層の存在を示しています。

もっとも、飯塚氏においては、トランプ氏が返り咲きし得る支持者たちの思想意識的動向を今更指摘できないのかもしれません。11月8日づけ「「トランプ落選」だけを切りとり浮かれる人たちは、トランプ氏が得票率において2%弱伸び、マケイン氏やロムニー氏を上回った衝撃的事実を見落としている:「トランプ文化大革命」を生んだ「分断の構造」は依然として残っている」でも指摘したとおり、「アメリカの良識が回復したからトランプ氏は負けた」という構図を描きバイデン氏勝利に浮かれていた飯塚氏にとって、現実問題としての根強いトランプ氏人気を認めることは、自己の不見識を1か月遅れで認めるようなものですから。

いずれにせよ、先の大統領選挙での両候補の得票率(得票数ではない!)が示しているとおり、トランプ氏も相当に支持を集めています。トランプ氏支持者はアメリカにおいて相当なる勢力を維持しています。私はチュチェの社会主義者であるがえにトランプ氏を支持するはずがない立場ですが、「事実から出発する」を信条としているがために、「依然して根強いトランプ氏人気が、本来であれば落ち目であるはずのトランプ氏の権力・影響力の源泉であり続けている」という事実は、決して軽視してはならないと考えています。このままであれば、2024年には、まだ生物学的に余命があるトランプ氏個人はもちろん、「トランプ氏的な人物」は十分に当選圏内であるでしょう(関連的参考:『米国はバイデン政権で「正常に戻る」べきでない─ロバート・ライシュ元米労働長官が警告』 11/30(月) 19:00配信 クーリエ・ジャポン)。

底の浅い連中は、そこが分かっていないようです。トランプ氏的なものは滅びず、混沌は続くでしょう。
posted by 管理者 at 20:44| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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