<北朝鮮内部>ついに死者が出始めた 深刻な人道危機は金正恩政権による人災「北朝鮮で起こっている混乱は人災である。コロナ防疫だけに没頭し、民を顧みなかったせいで発生した人道の危機だ」などと宣う石丸次郎氏ですが、逆に共和国政府が今よりも国境の水際対策を緩く行い、陸続きの中国からウィルス流入を許し、結果、国内で多くの死者・重症者を出してしまったとしたら、石丸氏の平生の主張を見るに、間違いなく「水をも漏らさぬ脱北者対策の国境封鎖が可能なのに、コロナにおいてはそれを怠り、国内で感染爆発を起こしたので、これは人災だ」などと書き立てていたことでしょう。
石丸次郎 アジアプレス大阪事務所代表
7/14(水) 11:30
人が死んでいる。食べ物がなくて、薬がなくて。今、私たちの隣国・北朝鮮で起こっている現実である。
6月に入って以降、北朝鮮の人々の暮しが、堰(せき)が切れたように悪化している。その実情がほとんど世界に伝わって来ないのがもどかしい。金正恩政権が新型コロナウイルス対策のために国境を閉じて人の出入りがなくなり、情報が出てこなくなったからだ。筆者は北朝鮮に搬入した中国の携帯電話を使って、何とか取材協力者たちと連絡を維持しているが、現況は、アジアで最悪の人道危機にあると判断している。
(中略)
北朝鮮で起こっている混乱は人災である。コロナ防疫だけに没頭し、民を顧みなかったせいで発生した人道の危機だ。さらに悲惨な事態にならないよう、隣人の窮状に関心を喚起したい。
予防や治療、検査隔離体制が十分ではない場合、人流拡大と感染拡大はトレードオフの関係にあると考えられます。そして、このトレードオフにおける絶妙なバランス調整は、いまだどこの国も完全には行えていません。各国の当局者が日々、苦心苦労していることを少しも顧みず、魔法のように事態が解決することを夢想し、それが果たされぬや否や子どものように無い物ねだりの駄々を捏ねる展開、クレーマーのように喚きたてる展開は日本においてもよく見られているところですが、石丸氏の言説はこれに類するものであると言わざるを得ません。
もちろん、現状のままでよいわけがありません。なので、本気で「さらに悲惨な事態にならないよう、隣人の窮状に関心を喚起したい」というのならば、それこそ実効性のある人道支援を呼びかける必要があるでしょう。「どうせ軍隊の備蓄に回るだけ」などと皮肉屋気取りをしているのではなく! 先代総書記は「騒擾分子は鎮圧せよ」のスタンスでしたが、現総書記同志は「民心の不安は政権の不安」とよく理解されていることが種々の事実から推察されるところです。
しかし、事態打開に資するような呼びかけさえしないのが石丸氏であります。「もっと酷いことになれば政権への打撃になる・・・」と内心では事態の悪化を期待しているのではないかと勘繰りさえします。もしそのような悪意がなく、ひたから誠意に基づく記事だとすれば、ジャーナリズムと事態の改善と歴史の前進においてまったく無力なモノであるということになるでしょう。
コロナ禍をとおしてジャーナリズム・ジャーナリスト不信が増している私ですが、石丸次郎氏のかかるお気楽な共和国政権批判を見るに、更に不信感が深まってしまったところです。
ラベル:メディア