2021年10月20日

小泉・安倍・菅の流れの区切りとしての衆議院解散・総選挙にはならなそう

https://news.yahoo.co.jp/articles/4dc81f1716d9638caa9f89b6e752fef4b883aaf5
山際大臣「所得倍増は所得が2倍になる意味でない」
10/14(木) 23:27配信
テレビ朝日系(ANN)

 山際経済再生担当大臣はテレビ朝日などのインタビューに応じ、岸田総理大臣が総裁選で掲げた「令和版所得倍増」は所得が2倍になるという意味ではないとの認識を示しました。

 山際経済再生担当大臣:「文字通りの『所得倍増』というものを指し示しているものではなくて、多くの方が所得を上げられるような環境を作って、そういう社会にしていきたいということを示す言葉だと総理はおっしゃっているじゃないですか」

 山際大臣は「令和版所得倍増」の詳細については近く設置される「新しい資本主義実現会議」で議論するとの見通しを示しました。

(以下略)
所得倍増は所得が2倍になる意味でない」――立憲民主党・蓮舫氏の「ゼロコロナは0ではない」以来の破壊力のあるワード!

言いたいことは、山際大臣にしても蓮舫氏にしても大体わかります。「その心構え・精神で行こう」、そんなところなのでしょう。定量的に考えるよりも印象論が先行する国民性。印象重視戦略で行くと、こういうことになるのでしょう。

しかし、以前から申しているとおり世の中の大抵のことは、程度の問題すなわち定量的問題です。閾値をいかに科学的に設定し、それを超えた場合にどのように対応するかという問題です。「心構え」の問題ではありません。100年に一度のパンデミックでも与野党ともに「心構え」の問題に帰結してしまう・・・これは根深い思考傾向です。要するに、定量的な思考ができないということなのですから!

岸田首相が提唱している「新しい資本主義」路線は、他党がこぞってバラマキ路線を取ったこと、そして三木谷・楽天会長の「新しい社会主義だ」批判の展開によって、政策論的な深みのある議論が展開される見込みがなくなりました(財界は気難しい屋の世界なんでしょうか? 三木谷氏のような新参者に昔ながらの財界人が乗っかることは、あまり見かけないものです。どこかの伝統的大企業経営者の「苦言」の後に三木谷氏が「新しい社会主義だ」と言えば大きなうねりになったでしょうに・・・)。

選挙期間が異例の短さであることも手伝って、この選挙において国家像問題・経済体制問題の議論に深まりが見られる希望は乏しいように思われます。小泉・安倍・菅の流れの区切りとして今回の解散は良いキッカケであるはずなんですけどね・・・難しいだろうなあ・・・

野党陣営において驚くべきニュースが飛び込んできました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9292607494847360189fb9496a220de484ed72f
自民との対立回避 全トヨタ労連支援、愛知11区の古本氏不出馬
10/14(木) 21:24配信
毎日新聞

 トヨタ自動車グループの労働組合でつくる「全トヨタ労連」が支援する古本伸一郎前衆院議員(56)=愛知11区=は14日、愛知県豊田市で記者会見し、衆院選への立候補を見送ると表明した。古本氏は「組織内候補が出なければ(超党派連携の)可能性は開ける」と説明。与党との連携を模索する労連の方針に従い、同選挙区で競合する自民党との対立を回避した。

(中略)
 古本氏は6回連続当選。旧民主党政権下で財務政務官を務めるなど「民主王国愛知」の重鎮だったが、2020年の立憲民主結党に参加せず現在無所属。愛知11区では、自民の八木哲也前衆院議員(74)が3回連続で古本氏に敗れて比例復活し、今回は年齢制限で比例重複が見込めないため、一時引退の意向を示していた。他に共産新人の本多信弘氏(45)も出馬を表明している。【酒井志帆】
いわゆる組織内候補である古本氏を不出馬に追い込んだトヨタ労組。独自路線を目指す国民民主党への移籍を要求することなく、「もうお前いいよ、いらない」としたわけです。このことはすなわち、もはやトヨタ労組は、立憲民主党は勿論、国民民主党にさえ見切りをつけたというべきでしょう。

「これだから御用組合は・・・」と唾棄している場合ではありません。このことを重く受け止める必要があります。

しかし、野党第一党の立憲民主党はそんなことはお構いないようで・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e74e537d66e97c58af2030ea26b8b92c8ed47ab
通称利用どこまで?選択的夫婦別姓代表質問でも指摘
10/12(火) 22:15配信
テレビ朝日系(ANN)
(中略)
 そして、立憲民主党・枝野代表からは長年にわたってくすぶるこの問題に関する質問も…。

 立憲民主党・枝野幸男代表:「選択的夫婦別姓制度の導入を法制審議会が初めて答申したのは1996年。私は初当選以来28年間もその実現を訴え、何度も議員立法を提出してきました。もはや議論は十分です。差別的な制度を急いで改める必要を感じませんか?」

 岸田総理大臣:「選択的夫婦別氏制度の導入については国民の間に様々な意見があるところであり、引き続きしっかりと議論をすべき問題であると思っております」
選択的夫婦別姓の問題を何とかして重要論点に押し上げようとしているようです。経済政策においては与野党ともにバラマキ合戦になりつつある情勢において立憲民主党としては、安保政策か「多様性」談義しか対立軸を設定できないのでしょう。

しかし、NHKの世論調査によると、今回の総選挙で選択的夫婦別姓の問題を「衆院選で最も重視する政策課題」として取り上げる世論は、3パーセントの「憲法改正」以下。「その他」も0パーセントらしいので、選択的夫婦別姓の問題を最重要課題として挙げる人は「ほぼいない」と断定してよいと思われます。そりゃそうでしょう。コロナ禍もデフレ禍も未解決である最中に、選択的夫婦別姓の問題が浮上するわけがありません。

選択的夫婦別姓の問題についてはしばしば、「賛成」や「どちらかといえば賛成」が多数派とされています(選択的夫婦別姓、7割が賛成 早稲田大など7千人調査 2020年11月18日 12時55分 朝日新聞)。しかし、上掲NHK世論調査を見るに、以前から指摘してきたことではありますが、結局「自分自身としては別にどうでもいいよ。そうしたい人は好きにすればいいんじゃない?」くらいでしかないものと思われます。

このような論題を対決の軸に据える立憲民主党・・・野党共闘の進展により自民党の「漁夫の利」的な議席獲得がなくなる点において、おそらく議席数を積み増すとは思います。しかし、これで「政権交代」にはまず行かないでしょうね・・・

コロナ禍およびデフレ禍という、根本的な変革の必要性に迫られているさなかに、近視眼的政策や比較的優先度の低い政策しか出てこないのが日本の現実です。
ラベル:政治
posted by 管理者 at 21:13| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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