2021年10月31日

必要なのは、環境保護の「活動家」ではなく環境保護の「政治家」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211029/k10013326431000.html
バイデン大統領 歳出法案の予算規模半減で成立に理解求める
2021年10月29日 7時15分

(中略)
この法案をめぐっては、与党・民主党内で激しい対立が生じていて、バイデン大統領は今回、財政規律を主張する中道派に配慮して予算規模を半減させた一方、演説では気候変動対策を重視する急進左派も念頭に「数百万の雇用を生み出すとともに、気候変動の危機をチャンスに変える」と述べ、成立に向けた理解を求めました。

バイデン大統領が調整を急ぐ背景には、このあと出席する国連の気候変動対策の会議、COP26を前に、アメリカの具体的な実行計画を示すねらいもあるとみられます。
アメリカ・バイデン大統領の発言。環境保護をビジネスチャンスとして捉えて雇用につなげるとのこと。以前から、環境保護の要諦は「環境負荷のある産業で生計を立てており、かつ、もはや他で潰しが効かない人々」を別産業に配置しなおすこと」だと述べてきました。バイデン大統領の発言はあくまでも産業として興すことに留まっており、労働力シフト道は示しされていませんが、環境保護と雇用・経済政策が繋がったことは確かです。

環境保護の展開にとって必要なのは、環境保護の「活動家」ではなく環境保護の「政治家」なのです。要求を並べてアジる人材ではなく社会全体をトータルに見渡して調整する人材なのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4ba3349b3bf0568a90c198b6bd59d82868f36ed4
豪、メタン削減参加を拒否 「オージー・ビーフ」打撃回避
10/28(木) 15:39配信
時事通信

 【シドニー時事】オーストラリアのモリソン首相は28日、温室効果ガスの一種メタンの排出量を世界で2030年までに20年比で少なくとも30%削減する国際的な取り組みに関して、参加を拒否する考えを示した。

 「オージー・ビーフ」で知られ、日本にも大量に輸出している牛肉の生産への影響が懸念されることが理由だ。

(以下略)
オーストラリア・モリソン首相の反応。環境保護がいかに大切でも現段階においてはココは譲れないという宣言。現実的な反応であり否定しがたいものです。

政治は理論・理屈だけでは成り立ちません。まずは今日食ってゆくこと、今日の生活なのです。いくら環境保護が喫緊の課題であるといっても今日の食事を欠くことはできないものです。

翻って日本。企業レベルでは商機として取り組んでいるところもありますが、バイデン米大統領のように「数百万の雇用を生み出すとともに、気候変動の危機をチャンスに変える」と宣言する政治家は見当たりません。むしろ、小泉前環境相のように、まるで生徒会のスローガンをそのまま行政に持ち込んでしまったかのような政策をぶち上げる始末です。誰が嚆矢なのかは存じ上げませんが、環境保護と経済政策とを二項対立構造に落とし込んだ人物、「環境保護を主張するからには産業化を抑制しなければならない」という流れに持ち込んだ人物は、非常に罪深いと言わざるを得ないでしょう。

また、モリソン豪首相のように正面から「それは困る!」と主張することは、日本の政治家たちには期待できないでしょう。基本的に日本人は感覚的・情緒的ですが、何らかの「大義名分」に接すると「スイッチ」が入ってしい一転して理屈偏重になるものです。たとえば、クレームの場面において「ちゃんと対応しなきゃ」スイッチが入ってしまうと、屁理屈と言う他ないようなクレーマー的なメチャクチャな言い分にも「まじめ」に対応してしまうように。その点、環境保護は当代の「大義名分」といいうるものであり、日本人にとって理屈偏重スイッチとなり得るものです。

いったいいつになったら日本は米豪のように現実的な環境保護政策を実現できるのでしょうか?
ラベル:政治
posted by 管理者 at 18:00| Comment(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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