https://news.yahoo.co.jp/articles/05db398520b49985466680aa868d38198f594075
岸田首相、迅速対応アピール 菅政権の教訓踏まえ オミクロン株「オミクロン株」をめぐる全世界を対象とした外国人入国の原則停止。評価が難しいところです。いままでVOC認定された変異株はいずれも、それが域内に侵入して蔓延すると公衆衛上の重大な脅威となってきただけに、オミクロン株自体の詳細は未詳であってもVOC認定されたことを根拠として強力な水際対策を導入することは理解可能ではあります。
11/30(火) 7:08配信
時事通信
岸田文雄首相が新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」をめぐり、全世界を対象に外国人入国を原則停止すると表明し、迅速な対応をアピールした。
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しかしながら、ここ日本は、厳密な科学的根拠に基づく判断ではなく「ちょっと大袈裟くらいに言っておいて、幸いにして外れたら『いやあ、何事もなくてよかった!』と笑い合えるくらいが丁度よい」が罷り通るお国柄です。案の定、次のような言説が出てきています。
渡辺浩志「火事を消すのに水を使い過ぎたと非難される消防士はいません」――そんなことはないでしょうwあまりにも大量、不必要なまでに放水すれば当然、注意くらいは受けるでしょう。水だって有限資源なのですから。「もしかしたら・・・」「とりあえず・・・」といって住宅街の火事に化学消防車を出したら怒られるでしょうね。
ソニーフィナンシャルグループ シニアエコノミスト
火事を消すのに水を使い過ぎたと非難される消防士はいません。危機対応としては最悪の事態を想定して大構えの対策を取ることが重要。岸田首相が迅速に徹底した水際対策を決断したことは高く評価できます。制限の緩和は、オミクロン株の正体(感染力・毒性・ワクチンの効力等)が判明したのち、危険性の程度に応じて進めて行けばよいと思います。
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戦略的に考えるのではなく、「もしかしたら・・・」「とりあえず・・・」で考えてしまうあたり、相変わらずであると言わざるを得ません。もちろん、そう簡単に社会的な意識が変わるはずもないのですが・・・
コロナ直前のチュチェ107(2018)年及びチュチェ108(2019)年は、2年連続で日本に多大な被害をもたらした台風が襲来しましたが、これに伴い全国の鉄道各社が「計画運休」を実施しました。このことについて世論は、「ちょっと大袈裟くらいに言っておいて、幸いにして外れたら『いやあ、何事もなくてよかった!』と笑い合えるくらいが丁度よい」といった具合に概ねこれを肯定的に評価していました。
こうした世相に対して私は、BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)及びBCRP(Business Continuity & Resiliency Planning、事業継続および復旧計画)概念の欠如という観点から、ブリティッシュエアウエイズ旅客運航部長の元部長・いすみ鉄道元社長・えちごトキめき鉄道社長である鳥塚亮氏の「JRの一斉運休に見る日本のお寒いBCP事情」及び「【続】JRの一斉運休に見る日本のお寒いBCP事情」を引きつつ、チュチェ108(2019)年9月9日づけ「日本におけるBCP概念の発展成果と不十分さについて;鉄道各線の「計画運休」から」及び同10月13日づけ「BCPよりBCRP;グダグダ計画運休を巡って」を発表しました。
鳥塚氏は、BCPなき「計画運休」について、世間が称賛する中で厳しくも正しく次のように指摘されました。
BCPがきちんとしていて、自然災害が迫るときの対応手順が事前に考えられていれば、いきなり全区間の一斉運休ではなくて、もう少し業務継続ができたのだと考えますが、この会社にはそのようなBCP的考え方がないのでしょう。今回の一斉運休は「何かあったら責任が取れません。」イコール「安全が確保できない」ともっともな理由をつけて、本来行うべき輸送業務を放棄したというのが実情でしょう。だとすれば鉄道会社の英断などと称賛されるような内容ではないということになります。良くも悪くも何もしなければ何も起こりません。しかしそれは職務放棄と表裏一体なのです。個人の日常生活レベルではそうであったとしても、組織レベル・国家レベルでは決して「ちょっと大袈裟くらいに言っておいて、幸いにして外れたら『いやあ、何事もなくてよかった!』と笑い合えるくらいが丁度よい」とは言ってはいられないものです。
BCPやBCRPの概念が欠如した人物が、個人レベルの感覚で素人考えで天下国家語る風潮が、オミクロン株を巡る水際対策の評価においても出てきたというべきでしょう。
感染状況が非常に落ち着いており、一時期のパニック的社会心理状況を脱している日本の現状ですが、まだまだ「ちょっと大袈裟くらいに言っておいて、幸いにして外れたら『いやあ、何事もなくてよかった!』と笑い合えるくらいが丁度よい」は根強いようです。「もしかしたら・・・」という漠然とした可能性でいけば、「エボラ出血熱の東京大流行」や「宇宙人の地球侵略」の備えもしなきゃいけないんじゃないですか?