ウクライナ軍、東部の要衝でロシアに反撃 知事「一部を奪還」他方こういう報道も。
6/5(日) 7:31配信
毎日新聞
(中略)
ロシア軍の猛攻が続く中、英国防省は3日、「ロシア軍は今後2週間でルガンスク州を完全に掌握する可能性がある」と指摘した。だが、ガイダイ氏は「早期陥落は非現実的」と否定している。【ロンドン篠田航一】
https://news.yahoo.co.jp/articles/e32f4789e8d1bc57e2f85a343efd8b971140f04f
攻防続くセベロドネツク「ウクライナ軍が5割奪還」イギリス国防省の「今後2週間でルガンスク州を完全に掌握する可能性」に対するルガンスク州知事の「ルガンスク州最後の拠点であるセベロドネツク市で5割を奪還」。前者は州全体の戦況、後者は州内一都市の戦況です。市域の5割を奪還したとはいえ州最後の拠点を攻められていることには変わりありません。とりわけ舞台はルガンスク州――プーチン大統領の開戦演説で触れられたドンバス2州のうちのひとつです。この都市を落とし、そして州を完全掌握できればプーチン大統領としては「戦争目的の大部分を達成した」と言い張ることができるので、勝てないにしても負けることはなくなります。
6/6(月) 6:18配信
テレビ朝日系(ANN)
ロシア軍との激しい攻防が続くウクライナ東部の都市セベロドネツクで、ウクライナ軍が反撃し市の5割を奪還したと現地の知事が明らかにしました。
ウクライナ東部ルハンシク州のハイダイ知事は5日、ウクライナ軍最後の拠点とされるセベロドネツクについて、「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻し市の5割を奪い返した」とSNSに投稿しました。
(以下略)
※もともとプーチン大統領が自ら戦争目標設定し、目標達成にかかる評価もプーチン大統領が自ら行う「お手盛り戦争」なのだから、プーチン大統領が「負ける」展開は、そうそうあり得るものではないのですがね。
戦況は大局的には、ウクライナは懸命に押し返そうとはしているものの依然として崖っぷちに立たされ続けています。しかし我らが日本メディア・日本世論は「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻し市の5割を奪い返した」という一面ばかりに注目しています。
ルガンスク「州」全体とセベロドネツク「市」の戦略的価値を仮に同等と置いたとしても、そうなると今度はイギリス国防省の分析とルガンスク州知事の主張とが衝突します。こういう場合、普通の感覚の持ち主であれば「どっちが正確な見方なのはハッキリしないので、もうすこし様子を見ることにしよう」となるはずですが、やはり我らが日本メディア・日本世論は「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻し市の5割を奪い返した」という一面ばかりに注目しています。
なお、セベロドネツク「市」の戦略的価値がルガンスク「州」全体を上回るケースについては、ウクライナ全土を軍事的に占領するにあたってはそういう価値のウェイト付けもあり得るかもしれませんが、以前から述べているとおり、プーチン大統領の開戦演説からはそれを積極的な目標として掲げているとはとても読み取れません。「セベロドネツク市でのウクライナ軍の反撃は戦争の趨勢を逆転させる大反撃だ!」とは言い難いでしょう。
都合のよいニュースに飛びつく。この戦争に限った世論動向ではありませんが、「推し」のウクライナが依然として崖っぷちに立たされ続けていることから、ますます都合のよいニュースに飛びつく傾向が強まっているように見受けられます。
※都合のよいニュースに飛びつく傾向といえば、ここ1か月間NHKはずっと「ウクライナ軍反転攻勢か」と言い続けていますが、戦況は大局的には変化ありません。NHKはおそらく外信の引き写しで報道の大部分を構成しているように思われます(NHK職員自身、外信で情勢を把握しているのでしょう)。このことについては稿を改めて取り上げたいと思います。
5月17日「新たな段階に入ったプーチンの戦争 占領地のロシア化とウクライナ軍の反攻」
6月6日「ウクライナ軍“過去24時間で7回敵を撃退” 東部で反転攻勢か」