高まる「タカ派」の声、プーチンが追い込まれているつい先日まで「この戦争はプーチン個人の戦争だ。プーチンは、厳しい情報統制によって国民に真実を隠し通すことで戦争を遂行しているが、しかし、ロシア国民は遠くないうちに真実を知ることになる。現にロシア国内で民衆の反戦運動が発生している。政権支持層からも離反者がで始めた。ロシア国内での反戦運動の高まりはプーチン失脚に繋がる。時間の問題だ。そうだそうに違いない。プーチンは追い詰められている」と言い張っていたのに、今度は「国内の好戦派の突き上げによってプーチンは追い詰められている」・・・これだけ短期間に「分析」が正反対になるのは珍しいことです。
6/16(木) 17:29配信
ニューズウィーク日本版
ロシア国内では今、反体制派ではなく、退役軍人グループや軍事ブロガーが「プーチンは手ぬるい」と不満を発している
ロシアで、ウクライナでの戦争への不満が高まっている。ただし、不満を発しているのは反体制派ではなく、タカ派の退役軍人グループや軍事ブロガーだ。
彼らは遅々とした戦況に対して膨らむいら立ちを表明し、ウラジーミル・プーチン大統領に国民総動員を要求する向きもある。
筋金入りのナショナリストたちから上がる不満の声は、プーチンが自ら招いた窮地の一端を示している。
プーチンが相手にしているのは、確実だと約束されていたはずの勝利を渇望するロシア国民と、消耗しすぎて勝利できないロシア軍だ。
(以下略)
そして、まるで正反対の理由付けながら「プーチンは追い詰められている」結論だけはブレていません。理由付けが180度変わったのならばそれなりに経緯を説明する必要があります。しかし、一切ありません。これもまた、なかなかお目にかかれない珍しい展開です。ふつうは少しくらい取り繕いがあるはずです。
「北朝鮮」報道においても述べた(チュチェ107・2018年6月10日づけ「朝米関係の行方を占うならば、朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国そのものを正面から取り扱うべき」)ことですが、日本世論は、「敵」が一方的に追い詰められているという構図でないと精神の安定が保てないのでしょうか?
戦略レベルで戦況が一進一退の膠着状態になってから、以前にも増して戦術レベルでの勝敗の情報への一喜一憂の反応が増しています。ささいな情報に飛びついて「そうだそうに違いない!」と言い張る展開が酷くなっています。ニュースつまり状況把握を願望ベースで判断する非常に危うい風潮がますます顕著になっています。
ラベル:「世間」・「世論」