2022年10月15日

「追い詰められている」のはアメリカ

https://news.yahoo.co.jp/articles/595cf34f02870379fae8454bf5dd538253f4a027
「ロシア内部に働きかけよ」ボルトン元大統領補佐官がプーチン打倒作戦を提唱
10/12(水) 11:02配信
JBpress

 (古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 ウクライナでの戦闘が一段と激化するなか、米国のトランプ前政権で大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏が、今こそ米国は真剣にプーチン大統領を倒す作戦に着手すべきだ、という提案を発表した。ロシアのレジームチェンジ(政権の打倒による交代)を目指す工作を始めよ、という檄だった。

 この提言は、米国がまずロシア国内の反プーチン勢力を支援して内部からのプーチン大統領除去を第1の目標とすることを強調していた。こうした動きは、米国でプーチン政権への反発が高まっていることの表れとして注視される。

(中略)
■ このままでは苛酷な消耗戦が続く

 ボルトン氏はさらにこの論文で、ロシアでプーチン政権が続く限りウクライナ戦争が解決する可能性はなく、情勢はウクライナや欧米側にとって不利となり得るとして、以下の趣旨を指摘していた。

 ・ウクライナは現在軍事攻勢に出てはいるが、西側にとってはっきり「勝利」と定義づけられる展望が存在しない。

 ・ロシアは戦闘でかなりの被害を受け、国内でも反戦感情が高まっている。とはいえ、ウクライナ側の被害も大きく、破壊も莫大である。

 ・ロシアは核兵器使用の威嚇を続け、西欧にエネルギー面で与える被害も大きい。これから冬を迎えて、西欧側の反ロシアの団結がどこまで続くかわからない。

 ・ウクライナでは軍事衝突を止める停戦への動きはまったくなく、このままでは苛酷な消耗戦が続く展望が確実視される。

■ ロシア内部の造反を煽る

 ボルトン氏は以上のような情勢認識を明らかにしながら、ウクライナ側、さらには欧米側にとってのこの苦境を脱するには、米国がこれまでの政治的計算を変更し、ロシア側の反プーチン勢力を注意深く支援してレジームチェンジを試みる時期がきた、と述べる。そのうえで以下のような要点を強調していた。

 ・プーチン政権はかねてから「米国は様々な方法でロシアのレジームチェンジを試みている」と非難してきた。バイデン政権にはそうした動きはみられないのにロシア側はそう断定してきたのだから、実際にその工作を試みても大きな損失はない。

 ・ロシアの政権交代への障害は巨大だが、その実行は不可能ではない。だがそのためには単にプーチンを除去するだけでなく、過去20年にわたり築かれてきたプーチン中心の集団支配体制を排除しなければならない。プーチン側近にはプーチンより悪質な人物たちが存在する。

 ・米国が着手すべきレジームチェンジは外部からの軍事力を必要としない。ロシア内部の造反を煽ることを最初の手段とする。次にプーチン政権内の団結や連帯を揺るがせば、変化が可能となる。すでにロシアの軍部、インテリジェンス、国内治安担当部門などの内部には、ロシアのウクライナ侵攻に関してショック、怒り、恥辱、絶望がある。

(以下略)
戦争狂ボルトンが性懲りもなく妄言を口にしてきました。

単にプーチンを除去するだけでなく、過去20年にわたり築かれてきたプーチン中心の集団支配体制を排除しなければならない。プーチン側近にはプーチンより悪質な人物たちが存在する」などと述べたあたり、4月2日づけ「現代アメリカの「同志スターリン」」で取り上げた、米上院司法委員長リンゼー・グラムの主観観念論的妄言よりは進歩が見られます。しかしながら、強権で何とか国家を纏め上げているロシアのような国家において既存支配勢力を排除した場合どうなるのかについて、我々はすでにイラクでその末路を見ています。ボルトンという人物は、まだ20年も経っていない近しい過去から教訓を学び取る基礎的な学習能力もないのでしょうか?

とはいえ、ボルトンのような人物が「ロシアでプーチン政権が続く限りウクライナ戦争が解決する可能性はなく、情勢はウクライナや欧米側にとって不利となり得る」や「これから冬を迎えて、西欧側の反ロシアの団結がどこまで続くかわからない」、「このままでは苛酷な消耗戦が続く展望が確実視される」という見立てを提示したことは注目に値することです。

最近、希望的観測をふんだんに盛り込むことで定評のあるイギリスの情報機関がロシア軍の弾薬が底をつき始めていると発表したことを受けて、「【解説】ウクライナへの報復攻撃のコストは「約1000億円」ロシアは『弾薬やミサイルなくなりつつある』ますます劣勢へ」(10/13(木) 17:02配信 MBSニュース)をはじめとして「識者」が調子のよい「解説」を展開しているところです。このような状況において、ロシアを擁護する義理も動機もまったくないボルトンの見立てが際立ちます

朝鮮半島情勢の経過を見るに、ボルトンが敵国指導部の「斬首」を口にするときは、すなわち「アメリカに打つ手なし」であるということです。外交的交渉も軍事的恫喝も効かず、「斬首」という名の一種のテロ行為しか道がないわけです。

ロシアもかなり苦しいとは思いますが、「追い詰められている」のはアメリカかもしれません。
ラベル:国際「秩序」
posted by 管理者 at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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