2023年04月09日

『社会主義強盛国家建設の要求に合わせ国土管理事業で革命的転換をもたらすことについて』から元帥様の統治の重要な要素を学ぶ

http://dprkanalysis.info/news/news_detail_597.html
国土造成に注力する北朝鮮
ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2023年04月02日(日)

 国土の面貌を一新するための事業が、全国的に力強く行われてる。国土環境保護省のキム・ジョンチョル責任部員から話を聞いた。

――2022年、国土環境保護部門で得られた成果を総合的に話してほしい。

 党と国家の政策にしたがって、国土の様子を一新するための力強い事業を行い、多くの成果を得た。各種の母木容器や機材などを生産し、重機械の稼働率を高め、道路技術の向上を積極的に推進した結果、全国の道路の安全面、文化面的質をさらに高めている。山林造成計画は超過達成し、2022年1年間で330ほどの単位が社会主義愛国林称号を受けた。

 高い正確度を保障する山林資源操作分析システムを開発し、山林資源調査を季節ごと、目的ごとに科学化できる土台を構築した。道路補修管理への国家的事業体系が立案され、全国規模で道路の実態調査が行われており、高速道、観光道路、主要道路の舗装、橋梁建設・補修、道路技術リニューアル工事を完工した。

(中略)
 2022年には金正恩総書記の労作『社会主義強盛国家建設の要求に合わせ国土管理事業で革命的転換をもたらすことについて』が発表されてから10年となる年だった。金総書記の労作で提示された課業を貫徹するためのこの10年間の事業成果を多くの討論会や発表会で全般的に総括し、新たな目標と課業も提示された。

 全国国土環境保護部門の科学技術発表会(2022年)では、植物保護区の設定と保護価値評価をはじめ山林と大気、植物、原林、動物保護における研究成果と経験を交換・共有し、それを実践に移すための事業が進められている。

(中略)
――2023年にはどのような事業が行われるのか。

 河川整備事業に継続して注力し、水害と水不足を防ぎ、道路建設と管理をきちんと行い、一日も早く社会主義文明国にふさわしい国土の面貌を一新しなければならない。緑色経済へ移行するための物質技術的土台を備え、国を立派な生態環境と景観を備えた世界先進国へと変貌させるための事業も行われている。

 すべての国土建設の対象を朝鮮労働党時代を代表・省庁となるように斬新で独特な建築様式を創造・発展させ、国土建設に最上の質的レベルを保障すべきだ。当面は津波と台風被害を防ぐための海岸防潮堤、防波堤建設と防風林造成事業に注力し、国の土地と水産資源、生態環境を保護するための事業も本格的に推進している。
『社会主義強盛国家建設の要求に合わせ国土管理事業で革命的転換をもたらすことについて』(チュチェ101・2012年4月27日。以下、「当該労作」といいます)――元帥様の統治最初期に発表されたこの談話は、新体制の方向性を示すものとして当時注目されたものであり、今日振り返るに、まさに元帥様の統治の主要な要素を示す重要労作であると言えます。

当該労作の重要ポイントは、私見では「地方都市と農村の村落を整えるに当たっては、それぞれの地方の特性が生かされ、自分の顔が現れるようにしなければなりません」と「その地域や地帯の気候と土壌条件を具体的に分析したうえで、適地適樹の原則に基づいて木を植えるべきであり、樹木の成長に有利な条件がもたらされるように針葉樹と広葉樹を取り合わせて植えなければなりません」、「山林保護のためには人民の焚き物問題を抜本的に解決しなければなりません。焚き物問題を解決しなければ、木をいくら多く植えて育てても、それをみだりに伐って焚き物として使うので、山林を保護することができません」そして「環境保護で重要なのは公害防止対策をしっかり立てることです」というところにあったものと考えます。今回は非常に僭越ながら、私なりに当該労作を読み込みつつ、キム・ジョンウン総書記の統治の重要な要素について考えてみたいと思います。

■地方や個別単位の個別具体的な状況に応じた独自性が生かされ得る理論的余地
まず、「地方都市と農村の村落を整えるに当たっては、それぞれの地方の特性が生かされ、自分の顔が現れるようにしなければなりません」という元帥様の発言。ここからは、党と国家の指導下という制約つきながらも、地方や個別単位の個別具体的な状況に応じた独自性が生かされ得る理論的余地があると私は考えます。このくだりを最初に目にしたとき私は、「これは、党や国家の総路線的な指導という大前提がありつつも、地方や個別単位の個別具体的な状況に応じた独自性が生かされ得るのではないか」と思ったものでした。「分権制」というと語弊があるが、中央集権一辺倒とも異なる展開があり得るのではないかと直感したものでした。

社会主義企業責任管理制や圃田担当責任制がすっかり定着した今日改めて振り返ると、私の直感は正しかったと自負するものです。元帥様の一貫した政策の方向性であると言えると考えます。

■最新の科学技術に根ざした具体的方策を志向する元帥様の政治姿勢
その地域や地帯の気候と土壌条件を具体的に分析したうえで、適地適樹の原則に基づいて木を植えるべきであり、樹木の成長に有利な条件がもたらされるように針葉樹と広葉樹を取り合わせて植えなければなりません」という指摘からは、最新の科学技術に根ざした具体的方策を志向する元帥様の政治姿勢を読み取ることができます。元帥様は当該著作で次のようにも指摘されていました。
国土管理部門の科学技術を早く発展させるべきです。
(中略)
外国、国際機構との科学技術交流も活発に行うべきです。国土管理と環境保護部門にも、世界的な発展趨勢と外国の先進的で発達した技術を取り入れるべきものがたくさんあります。前にも述べたことですが、インターネットを通じて世界的趨勢の資料、外国の先進的で発達した科学技術資料を多く閲覧させ、代表団を外国に派遣して必要なものを多く学び、資料も収集してくるようにすべきです。
インターネットを通じた情報収集にまで言及なさる元帥様。ほぼ同じ内容をほぼ同じ表現で繰り返す『全党、全軍、全人民が山林復旧戦闘を力強く繰り広げ、祖国の山々に青々とした樹林を生い茂らせよう』(チュチェ104・2015年2月26日、以下「後続労作」といいます)ではこのくだりがはなく、その点は少し気になる(こういう微妙な表現の修正に重要な意味があるのが共和国の政治というものです)ところではありますが、後続労作でも「山林の造成・保護と関連する世界的な先進科学技術を取り入れるとともに、それを広く普及するための対策を講じるべきです」という訴えはあったので、最新科学技術志向は引き続き堅持されているようです。

■そもそも悪しき事態が起こらないように環境整備をする、という方法論
焚き物問題への言及もキム・ジョンウン時代の政治方針を非常によく示していると考えます。当該労作で元帥様は次のように指摘されました。
山林保護のためには人民の焚き物問題を抜本的に解決しなければなりません。焚き物問題を解決しなければ、木をいくら多く植えて育てても、それをみだりに伐って焚き物として使うので、山林を保護することができません。各道、市、郡は実際にそのおかげをこうむることができるように薪炭林を造成してきちんと管理し、工場、企業、協同農場は自営の炭鉱の運営に力を注ぎ、メタンガス化を広く実現して、住民の焚き物問題を抜本的に解決しなければなりません。最近、超無煙炭活性添加剤が開発されて超無煙炭とボタを焚き物として利用できる明るい展望が開かれましたが、すべての所で広く取り入れるようにすべきです。
「どうして彼らは山林を伐採するという挙に出るのか?」という問いを立てた上で、「では、どうすれば彼らが山林伐採しなくなるだろうか?」として対策を講ずる元帥様。「我ら」が日本世論であれば、その勧善懲悪的世界観ゆえに「勝手に山林を伐採する輩は取り締まればいいんだ!」で終わらせるであろうところ、そうはなさらない元帥様なのです。表層的な善悪二分法ではなく、現象の原因を追究したうえで、そもそも悪しき事態が起こらないように環境整備をするという科学的世界観・方法論に基づく政策を展開なさるのがキム・ジョンウン総書記という御仁であり、こんにちの朝鮮労働党組織なのです。

■社会経済の目的意識的管理という社会主義の本分に合致している
環境保護で重要なのは公害防止対策をしっかり立てることです」という元帥様の発言からは、その現代的な鋭い時代感覚、そして社会主義の正道を歩む目的意識性を読み取らざるを得ないでしょう。このくだりにおいて元帥様は次のようにも指摘されています。
今、世界的に山林面積の減少をはじめ様々な要因により生態環境が破壊され、動植物の種類が次第に減少していることが人々を非常に憂慮させています。山と河川流域に分布している動植物の種類とその生息条件を随時調査し、絶滅の危機に瀕している動植物と珍しい動植物をはじめ生物品種を保護し、生物の多様性を保つための積極的な対策を立てるべきです。これとともに保護区を正しく定め、その面積を段階的に増やし、その地域で産業建築や施設をみだりに建てたり、地下資源、山林資源を開発し、山の動物を捕獲することがないようにしなければなりません。
ソ連、東欧、そして中国といった20世紀社会主義、現実社会主義(Realsozialismus)は、その生産力主義的自然観ゆえでしょうか、公害防止対策等環境保護にはあまり意識を向けませんでした。もとより社会主義は、資本主義の無政府性を克服することに主要目的の一つを持っているはずのところ、公害すなわち外部経済の問題に対して注意を十分には向けてこなかったのです。

これに対して元帥様は、公害防止対策等環境保護への関心をお持ちであるようです。このことは、社会経済の目的意識的管理という社会主義の本分に合致したものであり、元帥様が執権最初期から正しい自然観の下に社会主義の正道を歩んでいらっしゃった証左であると私は考えます。

■確信犯的ゴシップ記者でさえ山林が回復しつつあること自体は認めざるを得ないようだ
さて、元帥様肝いりの国土環境保護、とりわけ山林造成では、どのような成果が上がっているのでしょうか。最近興味深い記事が出てきました。コ・ヨンギ(コウ・ヨンギ、高英起)氏率いる「デイリーNKジャパン」の報道です。

「デイリーNKジャパン」は、チュチェ105(2016)年3月19日づけで「北朝鮮「緑化事業」で山林が減る理由」なる主張を展開していたものの、今年3月26日には一転して「山に緑が戻るほど人々が飢える北朝鮮の植林事業」という記事を公開しました。

コ・ヨンギ氏の立場は非常に明快です。とかく共和国のことを悪しざまに書き立てることが彼のライフワークです。たとえば「緑化事業で山林が減る」などと書き立てたのは上掲のとおりチュチェ105(2016)でしたが、元帥様の統治が始まり当該労作が公表されたのはチュチェ101(2012)年のこと。4年やそこらで山林造成事業が上手くいくはずがありません。元帥様が当該労作で指摘されていたとおり、「人民の焚き物問題」が存在しているのだから尚更でしょう。彼だってその程度の分別もつかない愚か者ではないはずなので、4年程度で緑化できるわけがないことを分かっていて敢えて、確信犯的に書き立てているものと思われます。

今回についても、「今回の禁止令によって何が起こるか。それは住民のさらなる困窮と食糧難の深刻化だ」などと書き立てるコ・ヨンギ氏。だからといって禿山をこのままにしておくことはできないでしょう。ちょっとした大雨ですべてが流されてしまうからです。植林をし、山の保水力を回復してこそ農業生産・食糧生産を正常化させることができます。それゆえ、元帥様肝いりの植林事業を国家百年の大計にかかるインフラ投資として継続しつつ、当座の食糧調達については国際的な支援込みで賄うというのが現実的な道筋だと私は考えます。しかしながら、アメリカ政府の意を体しているのかは知りませんが、決してその方向には話を持っていこうとはせず、難しい課題に正攻法で解決を試みている為政責任者に対してお気楽な批判を加えているのがコ・ヨンギ氏その人なのであります。

このように「確信犯」と言わざるを得ないコ・ヨンギ氏ですが、そんな彼でさえ山林が回復しつつあること自体は認めざるを得ないわけです。

■総括
パンデミックに伴う国境封鎖など、まったく予期しない事態もあり、共和国の国土環境保護には一定の制約が掛かってしまったことは事実です。とはいえ、計画に対して着実に、それも社会主義の正道という経路を辿って進みつつあるキム・ジョンウン総書記の国土環境保護政策。地球環境の劣悪化には非常なる危機感を感じつつも、「SDGsやリベラリズムなどは、ブルジョアの『やっている感』を出すための見せかけに過ぎない」と考えている私としては、社会主義と環境保全が自然観・世界観レベルで手を結んだことを私は非常に喜ばしく思います。これからも引き続き、元帥様の国土環境保護政策とそれを支える思想理論的な進化には注目し、学んでゆきたいと思っています。
posted by 管理者 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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