2023年09月18日

朝露接近と朝日関係

http://www.uriminzokkiri.com/index.php?lang=jpn&ptype=cforev&stype=2&ctype=3&mtype=view&no=49507
朝露関係発展の新たな里程標をもたらした出来事的契機
金正恩国務委員長がボストーチヌイ宇宙発射場でロシアのプーチン大統領と歴史的な対面

【平壌9月14日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国務委員長である敬愛する金正恩同志が9月13日、極東地域のアムール州に位置しているボストーチヌイ宇宙発射場でロシア連邦のウラジーミル・V・プーチン大統領と歴史的な対面を行った。

世代と世紀をまたいで歴史の検証の中で打ち固められた朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の伝統的な友好関係は、金正恩国務委員長とプーチン大統領の厚い親交と格別な友誼の中で不敗の戦友関係、百年の計の戦略的関係により一層昇華、発展している。

立派な歴史と伝統を誇る朝露友好・協力関係の新たな拡大・発展のためにロシア連邦を公式親善訪問する敬愛する金正恩国務委員長を迎えるようになるボストーチヌイ宇宙発射場は、熱い歓迎の雰囲気に包まれていた。

(以下略)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?lang=jpn&ptype=cforev&stype=2&ctype=3&mtype=view&no=49503
金正恩国務委員長がプーチン大統領と会談

【平壌9月14日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国務委員長である敬愛する金正恩同志が9月13日、ロシア連邦のウラジーミル・V・プーチン大統領と会談した。

金正恩国務委員長とプーチン大統領は、会談に先立って朝露両国の国旗を背景に意義深い記念写真を撮った。

朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国務委員長である敬愛する金正恩同志とロシア連邦のウラジーミル・V・プーチン大統領の会談が行われた。

(中略)
全員会談に続いて、金正恩国務委員長とプーチン大統領との単独会談が行われた。

敬愛する金正恩国務委員長は、朝露両国の関係が友好と善隣、相互尊重の原則に基づいて両国人民の志向と念願に即して良好に発展していることについて高く評価した。

朝露首脳たちは、強大な国家建設の戦略的目標を実現するための政治、経済、軍事、文化の各方面で収められている注目に値する成果と建設的な協力の経験、国家繁栄と両国人民の福利のための今後の発展方向に対する深みのある意見を交わした。

また、人類の自主性と進歩、平和な生を侵奪しようとする帝国主義者の軍事的威嚇と挑発、強権と専横を粉砕するための共同戦線で両国間の戦略・戦術的協同を一層緊密にし、強力に支持、連帯しながら力を合わせて国家の主権と発展利益、地域と世界の平和と安全、国際的正義を守っていく上で提起される重大な問題と当面の協力事項を虚心坦懐に討議し、満足な合意と見解一致を遂げた。

会談は終始、同志的かつ建設的な雰囲気の中で行われた。
朝露急接近。その理由は「人類の自主性と進歩、平和な生を侵奪しようとする帝国主義者の軍事的威嚇と挑発、強権と専横を粉砕するための共同戦線で両国間の戦略・戦術的協同を一層緊密にし、強力に支持、連帯しながら力を合わせて国家の主権と発展利益、地域と世界の平和と安全、国際的正義を守っていく上で提起される重大な問題と当面の協力事項を虚心坦懐に討議し、満足な合意と見解一致を遂げた」というくだりに濃縮されているといえるでしょう。

ちなみに、朝鮮語版記事≪조로관계발전의 새로운 리정표를 마련한 사변적계기 조선로동당 총비서이시며 조선민주주의인민공화국 국무위원장이신 경애하는 김정은동지께서 워스또츠느이우주발사장에서 로씨야련방 대통령 울라지미르 울라지미로비치 뿌찐동지와 력사적인 상봉을 하시였다≫及び≪경애하는 김정은동지께서 로씨야련방 대통령 울라지미르 울라지미로비치 뿌찐동지와 회담하시였다≫では、7月のショイグ・ロシア国防相訪朝のときと同じくプーチン大統領について≪뿌찐동지≫(プーチン同志)という呼称を使っています。以前にも指摘したとおり、中国やベトナムといった社会主義同志国の指導者たちに「同志」という呼称を用いることは通常ですが、社会主義国ではない国の指導者に「同志」という呼称を用いることは非常に稀なことです。プーチン大統領について申せば、前回チュチェ108(2019)年4月の訪露報道では「プーチン大統領」という呼称で統一されていました(チュチェ108年4月26日づけ≪김정은위원장 로씨야대통령과 상봉≫、同日づけ≪김정은위원장 로씨야대통령과 회담≫、同日づけ≪김정은위원장을 환영하여 로씨야대통령이 연회≫、同27日づけ≪김정은위원장 로씨야련방 울라지보스또크시를 출발≫)。

今回、共和国は単にロシアに接近しただけではなく、かなり緊密な連携を目指し、その方向性を確立したものと考えます。具体的・実務的にどのような朝露連携の形になるのかは、今後の推移を慎重に見守る必要があります。

プーチン大統領は、公式食事会で次のように挨拶したといいます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ed4d3924deba1078354e0d68f3de33aafca07c3a
ロ朝関係、日本打倒で構築 「共闘」演出 プーチン氏
9/13(水) 20:42配信
時事通信

 ロ朝関係は、日本との戦いで築かれた―。

 ロシアのプーチン大統領は13日、極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記一行との公式食事会を催した。

(中略)
 プーチン氏はあいさつで「両国関係は1945年、ソ連兵と朝鮮兵(抗日パルチザン)が共闘して日本の軍国主義者を打倒する中で築かれた」と主張。正恩氏の祖父・故金日成主席が同じ極東ハバロフスク地方を拠点とする抗日パルチザンだったことを念頭に置いた可能性がある。
(以下略)
念のため、ロシア大統領府が公開している公式テキストをチェックしておきましょう。
http://www.kremlin.ru/events/president/news/72266
Официальный обед в честь Председателя Государственных дел КНДР Ким Чен Ына

13 сентября 2023 года12:20Амурская область

В.Путин: Уважаемый товарищ Председатель! Дорогие друзья!

Позвольте ещё раз сердечно поприветствовать дорогих гостей, товарища Ким Чен Ына, всех корейских коллег.

(中略)
В этом году Россия и КНДР отмечают значительный юбилей – 75 лет [установления] дипломатических отношений. Советский Союз первым признал молодую Корейскую Народно-Демократическую Республику. Наши отношения были заложены ещё в ходе борьбы Кореи за свободу в 1945 году, когда советские и корейские солдаты плечом к плечу громили японских милитаристов.

Мы и сегодня стремимся крепить узы товарищества и добрососедства, действуем во имя мира, стабильности и процветания в нашем общем регионе.

(以下略)
たしかに言っています(ついで申し添えると、プーチン大統領も「同志キム・ジョンウン」と呼んでいます)。

プーチン大統領が、祖国解放戦争での朝ソの共同戦線について触れなかったのには、何らかの意味がある可能性があります。たとえば、朝鮮人民軍兵士のウクライナ派兵問題などと結び付けて勘ぐられるのを避けたいとか、あるいは、ウクライナとの戦争を勝利のうちに終わらせたいプーチン大統領としては、帝国主義との戦いの先例として、まだ終わっていない祖国解放戦争の話よりも完全な勝利として終わった日本帝国主義者との戦いを引き合いに出したいとか、そういった可能性を想定できるでしょう。

それはさておき、この一連のやりとりを見ると、日本の対共和国外交交渉の道がほぼ完全に閉ざされたと言わざるを得ないものと思われます。

6月26日づけ「岸田首相の対話呼び掛けに即座に反応があったからといって、拉致問題が日本当局の望む方向に動く展望はないと言わざるを得ない」で取り上げましたが、今年6月に日本政府関係者は、岸田首相の対話呼び掛けに共和国が即座に反応したことについて「これまでと違う反応だ」だの「首相の発言が響いている」だのと勝手に盛り上がり、時事通信が異例の長文記事で「拉致解決へ首相訪朝はあるのか」などと書き立てたものでした。

日本政府関係者の牽強付会な解釈に対して共和国は、直ちに日本研修所研究員の談話として否定しました。6月28日づけ「「現時点においては岸田内閣を相手にしない」と言っていると思しきリ・ビョンドク共和国日本研究所研究員の談話について」で取り上げたとおり、共和国は「「被害者全員帰国」が実現しなければ拉致問題の解決などあり得ないと強情を張るのは、死んだ人を生かせというふうの空しい妄想にすぎないということを日本は銘記すべきである」とまで言い切ったことで、日本当局者の淡い期待を完膚なきまでに粉砕しました。

「困ったときの拉致問題頼み」という魂胆がミエミエだった岸田首相は、これを受けて「脈なし」と見たのか、ここ最近は拉致問題に対する言及を控えてきたように見受けられますが、9月8日発売の『文藝春秋』最新号に飯島勲氏の10年前の訪朝手記が掲載されるなど、また少し動きがみられるようになりました。

ここ20年あまりの朝日交渉を振り返るに、「拉致問題は解決済み」という立場を一貫してとってきた共和国を再び交渉のテーブルに呼び戻すためには、相当の見返りが必要だと言わざるを得ません。しかし、今回の元帥様の訪露とプーチン大統領の歓待ぶりを見るに、共和国が当面必要とする技術や物資がロシアから導入できる道筋が見えてきました。そうなると、もはや日本に割って入る余地はほとんどないと見なすべきでしょう。

共和国が反帝自主の旗印を掲げるにあたってロシアと連携を深めることは重要な契機になります。その意味では重要なニュースです。他方、朝日関係の改善を願うものとしては、朝日の離間が深まることは非常に残念なことだと思います。今やほぼ悪魔化されているロシアと、悪の権化として描かれて久しい共和国の連携は、勧善懲悪的世界観に凝り固まった日本人には非常に分かりやすい事態。染みついた差別意識も相まって、ますます共和国を彼岸化してしまうことでしょう。
posted by 管理者 at 22:16| Comment(1) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27AIT0X20C24A5000000/
新潟県立大の三村光弘教授「経済状況変化、支援意義薄れる」
 2014年のウクライナ政変後にロシアとの関係を深め始め、2022年からのウクライナへの「特別軍事作戦」を支持している。ロ朝首脳会談などを経て全面的な協力関係に入り、米韓によると北朝鮮はロシアに武器を輸出して対価を得ているとされる。そんな状況下で北朝鮮が日本や米国との交渉を望むとすれば、その目的は国交正常化にある。
(引用終わり)

 ひとまず紹介しておきます。
Posted by bogus-simotukare at 2024年05月30日 00:17
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