キム・ジョンウン同志の司会によって進行した本総会拡大会議。記事によると大きく次の構成でした。
1.2023年度の党および国家政策の実行状況に対する総括と2024年度の闘争方向について■人民的な政治・政策の核心的特徴がよく現れている第一議案の報告構成
2.児童・生徒のための社会主義的施策の実行で責任感を強めることについて
3.党中央検査委員会の2023年度の活動状況について
4.2023年度の国家予算執行状況と2024年度の国家予算案について
5.現段階において党の指導的機能を強化するための一連の措置について
6.組織問題
第一議案の「2023年度の党および国家政策の実行状況に対する総括と2024年度の闘争方向について」について確認してみましょう。
まず報告では、人民経済の全般で収められた注目に値する成果が概括されました。
この中で農業部門への特別言及として、「全般的な経済発展と人民の生活保障において決定的意義を持つ支配的目標である穀物生産目標を超過遂行」したと発表。『朝鮮新報』の「〈そこが知りたいQ&A〉党中央委第8期第9回総会の内容は?」(2024年01月10日 15:43)によると、「22年の農業生産が十分ではなかったことで深刻な食糧難に陥っ」ていたところ、「12の重要課題のうち最初の課題として掲げられた穀物生産目標を超過達成した」ので、キム・ジョンウン同志は「23年度の経済活動で達成した最も貴重な成果」であったと指摘なさいました。
キム・ジョンウン同志は、「農業部門の活動家と勤労者自らの熱意と自信が比べようもなく高まり、喜びに満ちた決算分配集会が全国の農場で次々と行われたのは農場員の精神状態に一大革命をもたらす重要な契機にな」り、「これこそ2023年度の穀物生産目標を達成するための闘争過程に獲得した、そして今後の持続的な農業発展のためのこの上ない貴重な変革の中の本当の変革である」と述べられたと記事は報じています。また、その背景事情として、黄州キンドゥン水路工事と康翎湖淡水化工事、数千ヘクタールの干拓地地区外建設が完工したことで、30万ヘクタールの干拓地開墾目標を達成するための強固な土台が築かれたことを記事は指摘しています。
農民の熱意や努力といった精神論を単独で持ち出すのではなく、第8回党大会が定めた整備・補強戦略の一環としての灌漑等農業インフラ整備を増産の背景とした上で農民の熱意や努力を持ち出しています。また、「喜びに満ちた決算分配集会が全国の農場で次々と行われた」と敢えて言及することで、努力の物質的な成果が農民に帰属・還元されていることを強調していると言えます。
次に報告は、建設部門についての特別言及として住宅建設について言及しています。共和国では伝統的に、経済部門の成果について実際の数量ではなく前年比や計画達成率といった比率で表現をすることが多いところ、例外的に具体的な数値を挙げて言及しています。また、首都だけでなく農村住宅建設計画についても言及があります。
住宅建設の意義については、昨年12月30日づけ「諦観とソ連崩壊、その轍は踏むまいとする朝鮮労働党」や昨年末の総括記事で分析したとおり、人々が諦観を抱くことを阻止するためには非常に重要なことです。日常生活が変化・向上するからこそ「よりよい暮らしが可能だ」と希望を持って生産活動に従事できるからです。
比率表現では具体的にどれだけ国富が増えたのかは分かりにくいもの。ここで具体的な数値を挙げて成果を示すことは、より生活向上の実感を抱く効果があります。また、農村住宅建設計画への言及は、生活水準の向上が全国的になりつつあることを実感させる効果があります。
文脈が前後しますが、地方における経済発展と、人民の生活・文明の創造において進展が見られたというくだりがあります。「どの道でも、党中央総会の決定に反映された科学技術図書館と学生服工場、履物工場、標準薬局を建設し、高麗薬工場を改修・近代化し、育児政策の実行を推し進めるために沸き立つ高揚した闘いの雰囲気と仕事ぶりが年中持続的に堅持され」、「発電所と畜産農場、少年団キャンプ場、野外劇場、大学、伝染病予防院、基礎食品工場、山林科学研究所、乳牛牧場、航空クラブをはじめ、展望的かつ当面の経済的需要と地域人民の生活上の便宜を図ることができ、新時代の建築美学的要求にも合致する数多くの対象が新しく建設された」ことにより、「2023年は各地方でも誇るに足る建造物が目立つように多くなった名実共に変革の年になった」とのこと。特に「黄海南道でかつての営農活動で現れていたいろいろな弊害を根絶するための教育と闘争の旋風を巻き起こし、科学的農業推進組の役割を強めて穀物買付計画を遂行したのは、誰よりも農業の主人である道内の市・郡党委員会と農業部門の党組織、活動家と農業勤労者と人民が特別に多く苦労した結果である」と特筆されています。
「2023年度の党および国家政策の実行状況に対する総括」としてまず経済建設について報告し、その中でも農業部門と建設部門(住宅建設)、そして地方経済と社会における変化について特別言及するという構成からは、キム・ジョンウン同志及び朝鮮労働党の人民的な政治・政策の核心的特徴がよく現れていると言えるでしょう。
■朝鮮式社会主義建設の独自性としての「追いつけ追い越せ・経験交換運動」
報告では、続いて、龍城機械連合企業所での大型コンプレッサー製造に特別な言及がありました。記事は「党中央委員会が任せた機械製品の生産を第2のチョンリマ(千里馬)精神の創造過程、集団的技術革新の過程に転換させ」たことによって、「経済部門に潜んでいる敗北主義と技術神秘主義に痛打を加え」、「党政策の正当性と生命力を力強い実践で証明」したと報じています。
また、文脈前後しますが、次のくだりがあります。
新時代の5大党建設路線を貫徹するための闘いの中、わが党の組織的・思想的強固化と戦闘力強化の百年の大計を保証する中核的かつ革新的な党活動体系と方法が研究、実行された。集団主義・集団的革新は共和国の国是である朝鮮式社会主義の核心です。生産活動における集団的技術革新、党建設活動における所謂チョンサンリ(青山里)方式、≪따라앞서기,따라배우기,경험교환운동≫(追いつけ追い越せ・経験交換運動)が引き続き強調されています。
全党的に、強力な党員大隊を組織、派遣して両江道の農村住宅の建設を助ける活動と党中央委員会の各部署と省、中央機関が立ち遅れた農場を受け持ってもり立てる活動が企画され、展開されたのは、上部が下部を助け、立ち遅れた単位を共に発展させるわが党の伝統的な活動方法のしっかりした具現として、わが党活動におけるもう一つの貴重な進展となる。
昨年は、≪따라앞서기,따라배우기,경험교환운동≫(追いつけ追い越せ・経験交換運動)への言及が引き続き多い一年でした。たとえば、5月18日づけ『労働新聞』社説(http://www.kcna.co.jp/calendar/2023/05/05-18/2023-0518-008.html)、7月31日づけ『労働新聞』社説(http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?OEAyMDIzLTA3LTMxLU4wMTBAMkBAQDFAMTA=)、11月7日づけ『労働新聞』記事(https://chosonsinbo.com/2023/11/07-161/)などが、追いつけ追い越せ・経験交換運動に言及しています。また、12月22日のウンサン探査機械工場の竣工式スピーチでも追いつけ追い越せ・経験交換運動に触れられています(https://chosonsinbo.com/2023/12/25-162/)。特に7月31日づけ社説は、≪우리 식의 본보기들을 끊임없이 창조하고 일반화하여 모든 부문, 모든 단위가 다같이 발전해나가도록 하는 가장 우월한 방법이다.≫(われわれ式の手本を絶えず創造し一般化し、すべての部門・すべての単位が共に発展していくようにする最も優越した方法だ)と位置付けています。こうした流れを受けて『朝鮮新報』が「追いつけ追い越せ」というコラムでこの運動について取り上げています(https://chosonsinbo.com/jp/2023/11/20-122/)。
共和国で社会主義的競争・集団主義的競争が展開されてきたことについては、当ブログでも繰り返し取り上げてきた(チュチェ105・2016年6月6日づけ「朝鮮労働党第7回党大会は経済改革・競争改革を漸進的に継続すると暗に宣言した画期的大会」、チュチェ106・2017年1月2日づけ「キムジョンウン委員長の「新年の辞」で集団主義的・社会主義的競争が総括された!」、チュチェ108・2019年1月29日づけ「集団的革新・社会主義的競争の旗の下に前進する社会主義朝鮮」など)ところですが、≪따라앞서기,따라배우기,경험교환운동≫というスローガン及び関連スローガンは、展開されるべき競争があくまでも集団主義的なものであり、他人を踏み台にしたり蹴落としたりするものではないことを強調していると言えます。
■先富論を基本原則とする中国の改革開放論との比較
追いつけ追い越せ・経験交換運動を基礎とする朝鮮式社会主義建設の独自性に着目すべきであると考えます。共和国で目下展開されている経済改革を「市場経済化」などとし、中国の改革開放になぞらえて「北朝鮮の改革もここまで来た」などと勝手なことをいう「専門家」が非常に多いものですが、そうした見方は現実を見誤ることになるでしょう。
中国の改革開放論は、その基本原則を先富論に置いています。先富論とは、要するにトリクルダウン「理論」のことです。習近平時代になってから共同富裕論が唱えられるようになったことが何よりもの証拠ですが、トリクルダウン「理論」としての先富論は必ずしも想定どおりには行かなかったと言わざるを得ません。
中国が先富論に基礎づけられる改革開放に乗り出したことは、結局のところ人民公社を解体したことで集団主義を破壊し個人主義を復権させたことであると言わざるを得ません。ケ小平としてはそんなつもりはなかったのかも知れませんが、人々の思想意識が十分に集団主義化していなかった状況で改革開放を始めてしまったことで個人主義に歯止めが掛からなくなったことは否定しがたいことでしょう。
これに対して、共和国の追いつけ追い越せ・経験交換運動は、集団主義を基礎として「経験交換」の部分に力点が置かれています。イデオロギー的には、7月31日づけ『労働新聞』社説(http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?OEAyMDIzLTA3LTMxLU4wMTBAMkBAQDFAMTA=)が非常に分かりやすく説明しているとおり、日本風に端的に言えば「仲間どうしでの切磋琢磨による底上げ」であると言えます。実務的には、先進単位の経験や技術を横展開し一般化するための展示会や発表会が頻回に組織されており、これは労働者の競争心を搔き立て増産に駆り立てているといいます。困難な状況下においても人民経済の現代化・増産化を実現する欠かせない要素であるといいます。
「経験交換」の部分に力点が置かれ、それが十分に実践されている追いつけ追い越せ・経験交換運動が「最も優越した方法だ」として位置づけられている点にこそ、先富論に基礎づけられる中国の改革開放の理論と現実とは異なる朝鮮式社会主義の独自性があると言えるでしょう。
また、共和国の追いつけ追い越せ・経験交換運動は、イルクン(活動家)の役割を強調しています。同上社説では「活動家は、大衆が確信をもって競争に参加できるように競争目標をはっきり明白にし、具体的な現実性があるように立案し、その貫徹のための事業を緻密に、断固として突き進めなければならない」と言明されています。
これに対して、中国共産党は改革開放の社会主義的な舵取りを十分に行ってきたのか、甚だ疑問であると言わざるを得ません。この点にも朝鮮式社会主義の独自性があると言えるでしょう。
ところで、「党中央委員会が任せた機械製品の生産を第2のチョンリマ(千里馬)精神の創造過程(に転換させた)」ってくだり、いいですよね。マルクスは、『資本論』などの著作を通じて、それまでバラバラな存在だった労働者どうしが機械制大工業における生産活動を通じて結び付けられてゆき新しい社会を担う思想意識を培ってゆくという人間改造の雄大な展望を示しましたが、機械製品の生産が第2のチョンリマ精神の創造過程になったというのは、科学としての社会主義の要点を踏まえているように読めます。なんだかニヤッとしちゃいますよね。
■社会主義全面的発展の時代
記事では、今般の5か年計画期間中の3年間について次のように言及しています。
金正恩総書記は、わが党と人民はこの3年間の頑強な闘いを通じて国家経済発展の基礎を強固に築き、持続的発展へ進むことを目的にした5カ年計画を十分に完遂することができるという確信を持つことになったと述べた。「国防分野だけでなく、経済と文化の全ての分野が同時に興起し、首都だけでなく地方も共に変貌(へんぼう)し、都市と村、山河だけでなく、人々の思想・精神の面においても大きな変化をもたらす社会主義全面的発展の時代を開いた」という表現に注目したいと思います。先軍の時代は終わり、経済も文化も、首都も経済も、山河も人心もすべてにおいて大きな変化の時代が到来したのです。もとより、社会の意識的計画的な運営によって、特定の分野や階層だけが突出して変化・発展するのではなくバランスの取れた変化・発展を期するのが社会主義。まさしく社会主義全面的発展の時代が開かれたわけです。
現在、わが人民と青年の思想・精神状態において大きな肯定的変化が起こって革命的熱意と闘争気勢が大変高揚し、各部門が活気づいて力強く興起しているのは、第8回党大会以降、われわれが堅忍不抜の精神をもって攻勢的な闘いを繰り広げた結果に獲得した有利な形勢である。
これは、今後の前進と発展において最も大事で力強い土台を持ったことになり、今やわれわれが党大会の課題を実現するための闘いで最も困難な峠、極点を突破したと確実に自負することができる。
総括的に、朝鮮革命は党中央委員会第8期に入って国防分野だけでなく、経済と文化の全ての分野が同時に興起し、首都だけでなく地方も共に変貌(へんぼう)し、都市と村、山河だけでなく、人々の思想・精神の面においても大きな変化をもたらす社会主義全面的発展の時代を開いた。
この3年間の経験は、党の指導体系が強固であり、党に対する全人民の信頼がしっかりした状況の下、際会する難局を果敢に切り抜ける勢いを堅持して用意周到に、真摯(しんし)に活動するなら、難関克服、変化・発展の重大課題を十分に成功裏に達成することができるということである。
これら全てのことは、第8回党大会が明らかにした闘争綱領が前例なく過酷な難関の中でも、朝鮮革命の前進・発展を力強く牽引する最も正確で、強力かつ威力ある旗印であることを実証しており、今後の2年間の連続的な闘いによって立派に実現するという楽観と確信を持つようにしている。
なお、先軍の時代は終わったのは、国家核武力が完成したからであると申し添えます。
■熱意や努力といった精神論だけを持ち出すのではなく、また、人民生活水準向上を実感できる方向へ
チュチェ113(2024)年の闘争課題について、記事は次のように報じています。
金正恩総書記は、優先的に注目すべき問題は国家的な行政・経済事業体系と秩序を強化することであると述べ、内閣が憲法が付与した全般的国家管理機関の任務にふさわしく国家経済の命脈を生かし、目的指向的な経済発展を牽引する上で提起される原則的問題と実践方途について具体的に明示した。一昨年末の朝鮮労働党中央委員会第8期第6回総会拡大会議では、チュチェ112(2023)年について、「2023年を国家経済発展の大きな歩みを踏み出す年、生産の成長と整備・補強戦略の遂行、人民の生活改善で要の目標を達成する年に規定し、全般的部門と単位の生産を活性化し、党大会が決定した整備・補強計画を基本的に遂行することを経済活動の中心課題に提示」していました(https://chosonsinbo.com/jp/2023/01/01-91/)。これに対して今般、「人民経済の全ての部門で生産成長に拍車をかけ、整備・補強を急いで終え」るというくだりが現れました。予定どおり基本的には整備・補強計画は完了しており、あと少しのやり残しを片づけるという段階に達しているものと思われます。
人民経済の全ての部門で生産成長に拍車をかけ、整備・補強を急いで終え、新年度も12の重要目標を引き続き押し立てて、そこに力を集中することについて強調しながら、金属、化学、電力、石炭、機械、鉄道運輸をはじめ基幹工業部門で遂行すべき重点課題を提示した。
結語は、機械工業の母体である龍城機械連合企業所を党中央委員会第8期の期間に現代化の標準、手本に作り、その経験に基づいて新たな5カ年経済発展計画の期間に大安重機連合企業所と楽元機械総合企業所をはじめ重要機械工場を現代化することを現段階でわが党の機械工業の発展方向に確定し、その実行のための方途的問題を明らかにした。
首都建設・農村住宅建設、国土環境保護、農業・軽工業については、次のように言及があったといいます。
結語では、首都建設と第8期党中央委員会が歴史的な決断を下して始めた重大課題である農村住宅の建設を一層迫力あるものに推進する上で提起される諸般の課題と、党中央が構想している雄大な展望建設計画実現のための実践的な問題が言及された。引き続き、単に農民の熱意や努力といった精神論だけを持ち出すのではなく、必要な投資を行った上で農民の熱意や努力を持ち出す方向性を堅持するものと思われます。また、人民生活の水準向上を実感できる軽工業部門や商業、給養、便益サービス活動の改善、文化分野での建設にも引き続き注力する方向であることを見て取ることができます。
また、国土環境保護部門と都市経営部門で5カ年計画に反映された段階別課題を着実に推し進め、全ての機関、企業所が災害危機に対処するための活動を年次別に強力に実行することについて言及された。
(中略)
金正恩総書記は、国の全般的な農業インフラの実態と農業技術力を調査、評価したことに基づいて、農業機械発展戦略と段階別目標を明確に立て、農村経営の機械化を強く推し進め、国の灌漑システムを完備する事業と干拓地の建設を引き続き力強く推し進めることをはじめ、農業の生産力を持続的に増大させるための具体的な課題と方途を提示した。
全国的に農村を積極的に支援する社会的雰囲気と風潮を一層高調させ、糧政規律を厳格に立て、小麦生産量が増えるのに合わせて各地域に小麦加工工場を現代的に建設し、小麦加工技術を改善して製品の質を高めることについて指摘した。
結語では、軽工業部門で2024年に一般消費財、基礎食品の質向上を第一の課題にして闘いを繰り広げ、軽工業工場と地方産業工場の現代化を促し、養蚕業部門を発展させ、商業、給養、便益サービス活動を改善する上で提起される課題が言及された。
(中略)
金正恩総書記は、社会主義の全面的発展に向けた今日の闘いで重要な位置を占めており、旗印を掲げて絶え間なく躍進すべき文化分野でこれまでの3年間、特に2023年の活動で得た貴重な経験と教訓に基づいて、文化建設の各方面でより力強い進軍の歩幅を伸ばすことを強調した。
■第二議案が括りだされた理由は朝鮮労働党の確固たる決意の表れ
第一議題についてはこの後、対外・対南政策について言及がありますが、これについては別稿で取り上げたいと思います。第二議案「児童・生徒のための社会主義的施策の実行で責任感を強めることについて」について続いて取り上げます。
第二議案が第一議案に含まれずに単独議案として括りだされたことに大変な意味合いがあると見なすべきです。内容としては、記事の分量から見ても第一議案に含めることも可能だったはずだからです。
記事によると、「2023年度の制服、かばん、靴の生産および供給実態を具体的に分析した」とのこと。制服の無料支給はキム・イルソン同志の時代から続くもの(https://www.afpbb.com/articles/-/2871786)であり、徳性実記のエピソードになってきたので、今回についても単なる配給ではなく政治的意味が非常に大きい象徴的出来事であるというべきです。
記事にもあるとおり、「われわれの児童・生徒のための事は経済実務的な事業である前に、わが祖国の洋々たる前途を保証する政治的事業であり、子供の明るい笑いはすなわち、社会主義制度の象徴に、朝鮮式社会主義のイメージになる」わけで、このことは「革命は代を継いで行うもの」という真理に基づいた朝鮮労働党の確固たる決意の表れであると言えるでしょう。
第三、第四、第五議題については記事からは何も分からないので割愛します。第六議題(組織問題、つまり人事異動)については、最高人民会議での人事異動を含めて別稿で取り上げたいと思います。