2024年06月12日

これで一体何回目?

https://news.yahoo.co.jp/articles/b8acbf38f794ed63213237a45efa35193763c80f
プーチン大統領、数週間内に訪朝へ 19日にベトナム訪問観測
6/10(月) 14:53配信
ロイター

[モスクワ/ハノイ 10日 ロイター] - ロシア紙ベドモスチは10日、プーチン大統領が数週間以内に北朝鮮とベトナムを訪問する予定だと報じた。当局者によると、ベトナム訪問は19−20日の予定だがまだ確認されていない。

ロシアのマツェゴラ駐北朝鮮大使が同紙に、プーチン氏訪朝の準備が進められていると述べた。

一方、ベトナムでは当局者がロイターに対し、訪問日程では合意がまとまったが、協議のテーマは調整中だと述べた。エネルギー、軍事協力、支払い決済、教育分野での合意などが主な議題になる見通しという。ベトナム外務省のコメントは得られていない。

(以下略)
プーチン大統領の共和国訪問は、最近の朝露関係深化の一環として位置づけることができますが、ではベトナム訪問に象徴される越露関係の現在位置は一体どういった状況にあると考えられるでしょうか?

少し前の記事になりますが、興味深い記事があります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/41001a207613b97639059ed5246a0d26df54f3dd
プーチンに来訪を招請、ベトナムは「ロシアがウクライナに勝利」を確信か
5/19(日) 12:02配信
JBpress

 (川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 2024年3月26日、ベトナムのグエン・フー・チョン書記長はロシアのプーチン大統領と電話会談して、ベトナム訪問を招請した。プーチンは喜んで応じると回答し、その時期は両国で調整することになった。

 5月16日から17日にかけてプーチンが中国を訪問することが決まると、ベトナムでは中国訪問の後にハノイに立ち寄るのではないかとの観測が流れた。だが、今回は見送られた。ベトナム訪問は6月になると見られている。

■ 中世のイタリアで中立を決め込んだ国の末路とは
 プーチンのベトナム訪問はベトナムの国際社会での立ち位置の変更につながるとともに、ロシア外交にとっては大きな成果になる。

 ベトナムはロシアとウクライナの両国と良好な関係を築いていた。ベトナムは兵器の多くを旧ソ連の時代からロシアに依存している。ベトナム戦争に勝利できたのはソ連のおかげと言ってもよい。また、旧ソ連の一部であったことからウクライナに留学した人も多い。筆者が顧問をしているビングループのファム・ニャット・ブオン会長もウクライナに留学している。そのような事情もあって、ベトナムはウクライナ戦争に対して中立を決め込んできた。

 そのベトナムがプーチンの訪越を招請した。それは立場の変更を意味する。

 戦争が起きた時に、どちらに付くかは善悪や正義の問題ではない。勝つ方に付かなければならない。戦いが終わってから旗色を鮮明にしても、勝った国から冷たく扱われるだけだ。国益を大きく毀損する。マキャベリはそのような外交では身を滅ぼすと500年も前に警告している。中世のイタリアでは、中立だった国は勝った国に攻め滅ぼされてしまった。

 全方位外交を標榜するベトナムは500年前のマキャベリの忠告に忠実に従った。ベトナムはウクライナ戦争がロシアの勝利で終わると確信したということだ。

(中略)
■ 「西側からの孤立」というリスクも
 ベトナム戦争を戦い抜いたベトナム国防省は、世界のどの国よりも、この辺りの事情を身体感覚で分析することができる。この戦争はロシアの勝利で終わる。それならば、早い時期にロシア側に付くべきだ──。ベトナムがプーチンにハノイ訪問を要請した真の理由である。

 プーチンはベトナムからの招請を喜んでいる。戦争犯罪者に指名されている身であり、不用意に他国を訪問することはできない。そのような状況下で、全方位外交を標榜している国がプーチンの訪問を要請したのである。プーチンがベトナムを訪問すれば、これまで中立を保ってきた多くの開発途上国はその外交姿勢を再検討することになるだろう。
 
  ベトナムはいち早く勝ち馬に乗ることによって、今後のロシア外交を有利に運ぼうとしている。その一方で米国との関係は悪化する。ベトナムは半導体産業の分野で米国からの投資を強く望んでおり、それが昨年夏のバイデン訪越につながった。ベトナム戦争以来冷めていた米越関係を少しでも改善させようとしているが、そんな努力をプーチンのハノイ訪問は台無しにしてしまう。それは長期的に見た時、ベトナムの国益を大きく損なう。だが、ベトナムはそれでもよいと判断したようだ。

 ベトナムはその歴史において何度も中国の侵略を受けてきた。その結果、ベトナム外交は経済よりも安全保障を重視している。少々米国の機嫌を損じても、中国の潜在的な敵であるロシアに近付くことは安全保障につながる。

 ベトナムは、中国とロシアがいかに友好を演出しようと、本当は仲が悪いことを知っている。ベトナムがロシアと良好な関係を有している限り、中国はベトナムに手を出しにくい。

 四方を海で囲まれて少々のことでは侵略されることのない日本と異なり、中国と陸路で接するベトナムは現実の脅威と戦っている。そんなベトナムは安全保障を重視していち早く勝ち馬に乗った。

 しかし、その判断は「西側からの孤立」というリスクもはらんでいる。

 プーチン訪越の要請が吉と出るか凶と出るかは、もう少し時間が経過してみなければ分からない。いずれにせよベトナムはウクライナ戦争後を見据えて大きく動き始めた。
ビングループの主席経済顧問が見抜いている事情を「今日のウクライナは明日の台湾・沖縄」と繰り返している手合いが見抜けていないはずがありません。ベトナムのグエン・フー・チョン書記長が3月の時点でプーチン大統領の訪越を要請し、この度、実現することの意味合いは非常に大であると言えます。

しかしながら、我らが国策報道機関・プロパガンダマシンであるNHKは本件を次のように報じています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240612/k10014477991000.html
“プーチン大統領 来週前半にも北朝鮮訪問へ調整” 外交関係者
2024年6月12日 0時58分

ロシアのプーチン大統領が来週前半にも北朝鮮を訪問する方向で調整が進められていると複数の外交関係者が明らかにしました。プーチン大統領が北朝鮮を訪問すれば24年ぶりとなり、ロシアとしてはウクライナ侵攻が長期化する中、軍事的な連携をいっそう強めたいねらいもあるとみられます。

(中略)
ロシアはウクライナへの軍事侵攻が長期化し、兵器不足に陥る中で北朝鮮から砲弾などを調達しているとされ、プーチン大統領は北朝鮮を訪問してキム総書記と会談するなどして軍事的な連携をいっそう強めたいねらいもあるとみられます。

一方、北朝鮮は先月27日に軍事偵察衛星の打ち上げに失敗したばかりで、ロシアから軍事や宇宙分野などで技術支援をさらに受けたいねらいもあるとみられます。

また、外交関係者は、プーチン大統領は来週後半を軸にベトナムを訪問する方向でも調整が進められていると明らかにし、プーチン大統領が北朝鮮とベトナムを相次いで訪問する可能性も出ています。
プーチン大統領の招請に基づくベトナム訪問を明らかに小さく扱っています。プーチン大統領の共和国訪問を「ならず者どうしが接近・結託した」と言わんばかりの筆致で書き立てておきながら!

ベトナムは歴史的経緯もあって強固な反中国家。ベトナム人民軍の士官候補生が日本の防衛大学校に留学していることからも明らかであるとおり、日本にとってベトナムは対中同盟国という扱いであります。それゆえ、流石に朝露接近と同じ調子で、招請に応える形でのプーチン大統領のベトナム訪問について「ならず者どうしの接近・結託」とは書き立てられなかったのでしょう

自分たちが描き上げた筋書に沿わない現実が発生するや否や頬かむりする――国策報道機関・プロパガンダマシンとしてのNHKが、ロシアのウクライナ侵攻に際して繰り返してきた取り繕いが再び展開されたわけです。これで一体何回目?
posted by 管理者 at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | 更新情報をチェックする
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